コラム
2006年03月27日 09時30分 更新

小寺信良:

中古販売実質容認報道の罠 (1/4)

PSE法こと電気用品安全法の本格施行まで、残りあと1週間を切った。先週から急速に政策が転換し、情報としても非常に混乱している。ここでその経緯などを含め、一度状況を整理しておこう。
小寺信良

 3月24日。筆者はそのとき、渋谷NHK本館13階のスタジオの中にいた。3月25日の夜に放送されるラジオ番組「土曜ジャーナル」で、「どうなる電気用品安全法」と題してゲストとしてしゃべることになり、その事前収録を行なっていたのである。

 NHKの事前スタジオ収録は、民放のそれとはかなり違う。あとで編集するにしても、一応生放送のつもりで頭から通して一気に収録してしまうのである。事前に原稿をまとめていたこともあり、収録自体は約10分押し程度で収まったが、18時40分ごろにとんでもないニュースが飛び込んできた。経産省がこれまでの方針を転換して、中古品の販売を事実上容認する、というのである。

 ニュース原稿を見せて貰ったが、筆者にはその原稿の内容が全くわからなかった。いや文章自体はちゃんとした日本語になっているのだが、結局どういうことなのかという意味がわからなかったのである。

 番組プロデューサー、ディレクター、アナウンサーも交えてその原稿を読みほぐしていき、どういう事なのかをおぼろげながら理解できるまで、10分ほどかかっただろうか。

 番組はもちろんこの発表などない前提で構成していたため、もしこれが本当に事実上の容認ということになれば、番組の方向性もまたそれに合わせなければならない。とりあえずこのニュースに対してのコメントを追加で収録し、編集で再構成を行なうということになった。

 このコラム掲載時にはもう放送は終わっているはずであるが、今の原稿執筆時点では、番組がどのようになったのかはまだわからない。

ビンテージ特別承認制度の曖昧さ

 PSE法こと電気用品安全法の本格施行まで、残りあと1週間を切った。そもそもは新製品の製造、輸入、販売に関して事業者に安全性の確保を求める法律が、今年に入って中古品もこれに含むとの判断を経産省が示したため、中古市場が混乱し、消費者からも強い反発の声が上がっているというのは、すでにご承知と思う。

 筆者としては、4月1日の本格施行後に市場の動向や現状をふまえて、もう一度この問題を取り上げるつもりであった。だが先週から急速に政策が転換し、情報としても非常に混乱している状況にある。ここでその経緯などを含め、一度状況を整理しておこうと思う。

 これまで経産省も二階経産省大臣も、中古製品もPSE法の適用を受けるというスタンスで、4月からの経過措置終了にともなう本格施行まで、周知周知の一点張りでそのまま強行するという姿勢を見せていた。

 ところがその姿勢が崩れ始めたのが、3月14日の「電気用品安全法の経過措置の一部終了に伴う対策について」という発表である。この発表のポイントは2つ。1つは中古販売店が製造者の申請をするというのを前提に、絶縁耐力試験を行なう際の便宜を図るというものと、もう1つはいわゆるビンテージ品の販売の簡素化である。

 要点をまとめると、絶縁耐力試験の援助策に関しては、

1)検査機器をの無料貸し出し
2)無料での出張検査

が柱で、あとはそれに対して公的機関、民間に協力を要請するというもの。

 ビンテージ特別承認制度では以下の条件を満たせば簡単な手続きで売買ができるというもので、その条件とは、

1)対象製品は、電気楽器、電子楽器、音響機器、写真焼き付け機、写真引き伸ばし機、写真引き伸ばし用ランプハウス、映写機のみ。
2)生産が終了してほかに代わるものがなく、希少価値が高いもの
3)旧法(電気用品取締法)の表示があるもの
4)ビンテージの取り扱いに慣れた者に、国内で販売する

とある。この発表を受けて、状況は不満から混乱に変わった。これにより、いよいよ販売店は製造事業者の届け出をして、絶縁耐力試験に臨まなければならない、ということがはっきりしたのである。

 ちなみに約7万5千人の電子署名を集めたJSPAの要望書は、この翌15日に二階経産省大臣宛に提出されている。

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