「君は人のために死ねるか」と歌ったのは杉良太郎ですが、ここでは直接関係ないですか、すみません。ガンバでは、冷酷なノロイの手にかかりドバドバ血が流れるし、ネズミたちは次々と死んでいきます。
一方、最近のアニメや邦画は死なない作品が多い気がします。「おおゆうしゃよ しんでしまうとは なさけない」(ドラゴンクエスト)といわれた辺りから、私たちがエンターテイメントに求める生死観が変わってきたのかもしれません。
でも、だからこそ今「ガンバ」に食指が動いてしまうのです。我が家のガキにも見せたりしているわけですが、衝撃をもって受け止めているように思えます。食育ならぬアニメ育。何を見せるかで子供の人格形成にも影響を与えることでしょう。
「ガンバ」といい「ザンボット3」といい「ウルトラセブン」といい、ホントあんたが持ってくるビデオにはがっかりだよっ、と思われているフシもなきにしもあらずではありますが……。
申し遅れましたが原作はガリ勉野郎の基本「岩波少年文庫」所収、斎藤惇夫「冒険者たち」より。原作は、主要キャラとの死別も描かれるなどより渋い展開。
何かと重くなりがちな素材を小気味よく見せてくれた大きな要因は、作画監督・椛島義夫によるキャッチーなキャラクターデザインとピュンピュン飛ぶようなガンバ走りの動画テクニックに他なりません。こうしたわかりやすいフックがなければ、エンターテイメントとはいえません。職人のワザですな。
加えて忘れてならないのが、「ルパン三世」「七人の刑事」のテーマで知られる山下毅雄による、パーカッシブでジャジーなBGM。ガンバとサンバは相性がいい。底抜けに明るい。
最近のサンバネタでいうと「映画クレヨンしんちゃん 伝説を呼ぶ 踊れ!アミーゴ!」なんてのがありました。「ゼイリブ」みたいな危ない話とサンバの素敵な出会い、でございました。
そしてエンディングはやはりバラードでシメ。各話の終わりに「冒険者たちのバラード」がしめやかに流れます。出だしの歌詞はこんな感じ。
「さかまく/なみとひらめく/そらが/ガンバと/なかまをうちのめす〜」嗚呼、絶望。
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