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お父さん、ホームシアター作りませんか?――ヤマハ体験講座インタビュー(2/2 ページ)

» 2006年07月05日 10時18分 公開
[平賀洋一,ITmedia]
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新しいユーザー層を呼び込みたいもう一つの理由

 90年代後半まで、同社のAV製品の収益は順調に推移していた。実績にちょっとした変化が現れたのは、2000年のこと。プレイステーション2の発売により、手軽にDVDビデオの楽しめる環境が普及。5.1chサラウンドを聴くために、数万円台のエントリークラスAVアンプがヒットしたのだ。

 「新しいタイプの製品が増え、多様化が進みました。同時に、多くの方がサラウンド環境や、ホームシアター環境を手にいれたわけですが、すべての方がその魅力を楽しめたかというとちょっと疑問でした」

 サラウンドに対する知識が乏しいままに製品を購入し、数回だけ5.1ch環境を試して使わなくなったケースや、無造作にスピーカーを設置し、製品の性能を引き出せずに使い続けるケースを数多く目にしたという。

photo 石川氏も講師として登場(提供:ヤマハエレクトロニクスマーケティング)

 「このままでは良くないなと感じたんですね。製品を買っていただくのはありがたいのですが、正しく使ってもらっていないのでは意味がない。オーディオやホームシアター市場全体に悪い印象を与えかねませんし、なによりメーカーとして不誠実です。これまでヤマハは楽器を売るだけでなく、ヤマハ音楽振興会や全国の音楽教室などを通じて、教育や文化新興といった面にも力をいれてきました。AV機器についても同様のスタンスを取りたいと考えました」

 5月末に名古屋で行われたセミナーのテーマは「初任給?で買えるホームシアター構築術」。初任給ということで、20万円前後でできるシステムを持ち込み、基礎知識から、設置方法、グレードが違う製品との音の違いを実演。毎回テーマは少しづつ変えるものの、内容に大きな差は付けていないという。

photo 「DSP-AX759」

 「メインで使用しているAVアンプは『DSP-AX759』で、普及価格帯のモデルです。より高いモデルと安いモデルも使用して、聞き比べてもしてもらっていますが、特定のモデルを買ってほしいのではなく、予算や好みに応じて製品を選んでほしいのでこのモデルを利用しています。ただ、AVアンプやスピーカー、ウーファーをそろえて20万円くらいというのが、一番コストパフォーマンスが良い価格帯だと思いますね」

 気になる受講者からの評判だが、「もっと高度な内容を教えて欲しい」という声も中にはあるという。過去にオーディオに凝っていたり、すでにホームシアターを構築している参加者が再入門として受講する場合があるためだ。

 年配の夫婦がカップルで参加したり、子どもを伴った家族連れが受講することもあり、今後は講義内容について検討していく必要があるとしている。「“ホーム”シアターというくらいですから、家族みんなで楽しめるものでなくてはいけません。今後も、どんな方にも楽しめるような、分かりやすい講座を心がけたいですね」

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