映画はそのまま現代へ。男たちが生き埋めになった洞穴が発見され、洞穴ダイバーの紹介へと移る。テンポのいい演出が映画を見る心地よさを感じさせてくれるだろう。ダイバーたちはメキシコのユカタン沖で作業中。ここで主人公となる兄弟が微妙に反目しあっていることも描かれ、キャラクターの紹介も手際がいい。ダイバーたちが潜っている海の青さは「イントゥ・ザ・ブルー」ほどではないが、充分な鮮度を保っており、Blu-ray Discの画質の良さを実感させてくれる。
洞穴にいるニコライ博士の依頼を受けると次はもうヘリで現場に到着する場面。辺地にヘリで向かう場面はどことなく「ジュラシック・パーク」を思わせる。到着した隊員たちに博士は図面で洞穴の規模を説明。ここはCGで沈没のメカニズムを説明した「タイタニック」からのいただきか?
地下90メートルにある洞穴に降り、そこから地下水脈に入っていくのだが、洞穴の広さはB級レベルではない。メジャースタジオ製作の映画らしいスケールが感じられる。特にBlu-ray Discで表現される洞穴の奥行きは、DVDと違って見えるはずだ。
この後、水脈の先に偵察に隊員の1人が向かう。こちらとしては「ちょっとあんた、1人で行くわけ?」とも思える展開だが、案の定、通信が途切れて隊員と科学者たちは全員で向かうことになる。少し水脈を進んだところで洞穴になっていたのだが、この辺から洞穴がだんだん不気味に見えてきて、サラウンドも四方八方から鳴り響き始める。
隊員たちはこの後、謎のモンスターに襲撃され、1人1人、血祭りにあげられていく。だが血糊の量は「ディセント」ほどではないので、残虐性は薄い。死体もほとんど画面に登場しないので、その点では安心して見られる。ただしドッキリ演出は結構うまいので、何度か飛び上がることは覚悟しておいた方がいいだろう。
映画は人類とモンスターだけの対立ではなく、サソリ軍団が出現したり、激流に巻き込まれたり、「バーティカル・リミット」のような岩盤上りの見せ場もありサービス満点。モンスターの描写からは「エイリアン」や「プレデター」の影響もかなり見え隠れするので、そうしたディテールも大いに楽しめる。
本作を楽しめるかどうかは、部屋を暗闇にできるかどうかも大きく関わってくる。暗い場面が多いので、明るい部屋で見てはせっかくの高画質も生きてこない。プロジェクターで見ている人は当然だろうが、プラズマなどで見ている人もちょっとでいいから部屋を暗くして欲しい。そうするとサラウンドも大いにリアルに感じられ、お化け屋敷的な演出も絶対楽しめるはずだ。
このディスクは片面1層。圧縮方式はMPEG−2。音声はオリジナルをリニアPCMとドルビーデジタルの5.1chで、日本語吹替版をドルビーデジタルの5.1chで収録している。
特典はメイキングが2種類。水中撮影のスタッフが洞窟ダイビングの魅力と危険性を語る「洞窟の中へ」(約19分)と、クリーチャーがどのように製作されたかをスタッフが語る「デザインの変異」(約11分)。特に後半の特典は映画を最後まで見ても分かりづらかったモンスターの全貌をはっきりと確認できるだけに、うれしい内容となっている。
一般的なメイキングは収録されていないが、音声解説で監督らのコメントを聞ける。予告編は近日Blu-ray Disc版が発売予定の「ホステル」のみ。本作の予告編は収録されていない。特に日本版の劇場予告は川口浩探検隊を思わせる作りが楽しかっただけに未収録は残念だ。
とはいえ、こうしたB級作品を、劇場レベルを超えるハイクオリティで楽しめる時代になったことはジャンル系のファンにとってはうれしい限り。劇場で見た人も改めて本ディスクのクオリティに驚愕してもらいたい。
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