ITmedia NEWS >

れこめんどDVD:「スーパーマン ディレクターズカット版(Blu-ray Disc)」DVDレビュー(2/3 ページ)

» 2007年04月27日 08時56分 公開
[飯塚克味,ITmedia]

「スーパーマン」が大ヒットしたワケ 

 さて、話を第1作に戻すと、日本での公開は「スター・ウォーズ」公開の翌年である1979年夏。同時期に公開された夏休み映画は「エイリアン」「銀河鉄道999」「リトル・ロマンス」「チャンプ」「ドランク・モンキー/酔拳」「ハロウィン」などだった。しかし「スーパーマン」の存在はやはり圧倒的に群を抜いていた。膨大な宣伝量にかつてないほどの劇場数をそろえ、映画館も大盛況となった。

 「スーパーマン」が大ヒットした理由に、「スター・ウォーズ」が別世界を舞台にしたおとぎ話だったのに対し、現在の社会を背景にしたことが挙げられるだろう。実在のニューヨークで空に舞い上がるスーパーマンの存在は特撮の分野に新たな活路を生み出し、宣伝文句どおり「あなたも空を飛べる」と観客に感じさせる説得力が映像に備わっていたのである。

 「ゴッドファーザー」のマーロン・ブランド、「フレンチ・コネクション」のジーン・ハックマンとオスカー俳優を揃えたのも見事だが、同時代を体験した者にとっては何と言ってもスーパーマンを演じたクリストファー・リーヴの存在感が圧巻だった。

 どこからどう見てもスーパーマンにしか思えない。正にスーパーマンを演じるために生まれてきたような俳優だと当時は感じていたものである。しかし、後に思いがけぬ非劇に見舞われ、2004年秋に若くしてこの世を去ったことは映画ファンであれば知らぬ人はいないだろう。そんな形で世を去ったリーヴだが、映画の中では今も我々に夢を与え続けてくれる永遠のヒーローとして存在し、こうしてブルーレイでも初公開時と変わらぬ姿でやってきてくれるのだ。

さて、Blu-ray Disc版の出来は? 

 このディスクの圧縮方式はVC-1。画質に関してはおおむね良好だ。ソフトフォーカスで撮影されたカットが多いので、最新作に比べればやや甘めに感じるかもしれないが、これまでリリースされたソフトの中では抜群の高画質となっている。

 音声はドルビーデジタルで5.1chサラウンド音声を収録。せっかくの次世代ディスクなので、リニアPCM音声も収録してくれなかったのは残念だ。ドルビーサラウンドからリミックスされているが、アナログ的な雰囲気を残した音響となっている。時々こもり気味に聞こえるが、ドルビーサラウンド初期の作品なので、その辺は止むを得ないところだろう。

 ディスクの視聴は、プレイステーション3からYAMAHAのAVアンプDSP-AX4600をHDMIで経由し、映像は42インチのプラズマと液晶プロジェクターによる80インチのスクリーン再生で行った。

 CH-1ではあまりに有名なメインタイトルが見られる。立体的な文字がシネスコの画面いっぱいに登場するこのタイトルは、「スーパーマン リターンズ」でもしっかり再現されていた。ジョン・ウィリアムズのテーマ曲もぴったりはまっていて、いまだにこの場面を見ると胸が高鳴ってしまう。画面のサイズを大きくするほど迫力が伝わってくるので、是非スクリーン再生でチェックしたいところだ。

 CH-2の惑星クリプトンの場面では、裁判で裁かれているゾット将軍の鋭い目つきが印象的だ。クローズアップになっているので、DVDでも意図するところは伝わってくるが、シャープさはBlu-ray Disc版の方が数段上回っている。裁判官の大きな顔が並ぶビジュアルも冷たい雰囲気がよく感じられるようになった。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.