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れこめんどDVD:「ブラッド・ダイヤモンド」(Blu-ray Disc)DVDレビュー(2/3 ページ)

» 2007年09月28日 08時00分 公開
[飯塚克味,ITmedia]

「ブラックホーク・ダウン」に匹敵する高音質

 BD版の映像圧縮方式はVC−1。音声はオリジナルの英語をリニアPCMとドルビーデジタルの5.1chで、日本語吹替版をドルビーデジタルの5.1chで収録している。RUFの襲撃シーンで感じられる銃声の恐怖はリニアPCMでより強調されており、対応アンプをお持ちの方なら聞き逃すことはできないものとなっている。

 特に少年兵が人殺しに慣れさせられるため、目隠しのまま人質をマシンガンで撃ち殺す場面は強烈なインパクトを与えるはずだ。市街戦で再現される音響も近年のサウンドデザインの最高峰とされる「ブラックホーク・ダウン」(2001)にまったくひけを取らないものとなっていた。

 ディスクの視聴は、プレイステーション3からYAMAHAのAVアンプ「DSP-AX4600」をHDMIで経由し、映像は42インチのプラズマと液晶プロジェクターによる80インチのスクリーン再生で行った。

各チャプターをチェック!Blu-ray Discは微妙な階調も再現

 CH-1はシエラレオネの美しい実景から始まる。朝日が川に反射し、まるで黄金のように輝くその様はこの地域が宝そのものであることを雄弁に語っているかのようだ。SD画質でも充分美しく感じるだろうが、HD画質になることでよりその美しさは際立っている。しかし、ここは内戦によって血塗られている土地であることがすぐ分かる。

 ソロモンが住む村は瞬く間にRUFに制圧されてしまう。RUFの目的は政府が行う選挙に人々が参加できないよう、腕を切り落とすことだった。カットが早くてDVDなら見落としそうな台に付着した血糊が妙にリアルで怖い。ソロモンは家族を逃したものの、捕獲されてしまい、その体格のよさからダイヤの採掘に廻されることになる。

 CH-2ではダイヤモンドについての8カ国協議が行われている様子と、採掘現場に連れて行かれ、この世の地獄を見ることになるソロモンの姿が交互に描かれる。青く冷ややかな会議場とうだるような暑さの採掘場の様子が鮮烈なコントラストを生み出し、会議で交わされる言葉が机上の空論に思えてしまう。小さな1粒のダイヤをくすねた男が問答無用に射殺される場面も、銃声の響きが強烈だ。

 CH-3でようやくレオナルド・ディカプリオ扮する密売人アーチャーが登場。サングラスをかけているが、これは相手に表情を読み取らせないため。微妙なボタンのかけ違いが命のやり取りに直結することがすぐ分かり、緊張感はオープニングからまったく途切れないことに驚かされる。

 アーチャーが取引をするRUFの軍人は暗いトンネルでテレビを見ているのだが、着ている服も黒、肌の色も黒、背景も黒につぶれているが、Blu-ray Discでは微妙な階調をしっかり再現しており、薄暗い画の中にも立体感を感じさせる。ダイヤを手にしたアーチャーだが、ヤギに隠して運送している途中、今度は政府軍に見つかり、すべて没収、逮捕されてしまう。

 CH-4でソロモンは物語の核心になる巨大なピンク・ダイヤモンドを発見する。もちろん原石の状態だが、その凄さは映像からしっかりと確認できる。ソロモンは何とかダイヤを隠すことに成功するが、政府軍の襲撃に遭い、やはり逮捕されてしまう。都市部に移動してからはジャングルとは違った情報量に圧倒される。カメラもドキュメンタリー調で、自由自在に街の様子を切り取っていく。

 CH-6では釈放されたアーチャーが行きつけのバーでジャーナリストのマディーと知り合う。最初は身分を隠していたマディーだが、幾多の犠牲の上に成り立った“ブラッド・ダイヤモンド”の流れをアーチャーに質問し、記者であることを察知される。2人の会話はクローズアップの切り替えしで見せられるのだが、その芝居にすっかり魅了され、日本のテレビドラマのように小じわがどうのといった点に気持ちが流れないことに後で気付かされた。

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