新世代フォーマット時代のAVセンター完成形――ヤマハ新AVアンプ「DSP-AX3800」(3/3 ページ)

» 2007年10月01日 00時00分 公開
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音声ソースの持つ質感を損なわない新しいDSP処理

 新しいDSP処理についても、詳細に紹介しておかなければなるまい。

 CINEMA DSPは3D CINEMA DSPと名称を変更し、反射音の高さ方向も考慮した現実感の高い音場処理を行うようになった。このためヤマハは、従来のDSP処理に使っていたデータ使用を止め、より生データに近い段階までさかのぼり、これまでのデータ加工のノウハウの蓄積を生かしたうえで三次元データを作り上げている。

photo 新開発の3D音場「3D CINEMA DSP」を制御するDSPボード(DSP-AX3800)

 高さも意識した立体的な音場の反射音を、ヤマハ独自のフロントエフェクトスピーカーを用いて分離、再生させ、包み込むように柔らかで自然な音場を作り出す。

 なお、3D Cinema DSPはDSP-AX3800のみに搭載。DSP-AX1800との機能差はこの1点のみで、あとは音質チューニングと使用パーツのクオリティ差となっている。

 実際に体験してみると、十分なエフェクト音が音場を包んでいるにもかかわらず、いわゆる"風呂場効果"と呼ばれるような、不自然なエコーのかかった音が直接耳に飛び込んでこない。ここ数年のCINEMA DSPは不自然さをなくす方向でチューニングされ、かなり違和感ないところまで来ていたが、しかし3D化されたプログラムと比較すると、ソース音源に含まれている音源の音色が変化して聴こえる。

 ところが、3D CINEMA DSPでは元となっている音そのものは、ストレートデコードで聴いた時と同じ実在感を持った音像として定位し、そこに包み込むようなアンビエントが加わってくる。ソース自身が持つ貴重な情報、質感を損なわず、音場だけを上手に作り出してしまうのだ。

photo 「3D CINEMA DSP」のイメージ図(DSP-AX3800)

 この効果を得るためにはフロントエフェクトスピーカーの設置が必須となるが、これだけ明白な利点が感じられるのであれば、サラウンドバックを置くことをあきらめてでも、フロントエフェクトを置きたくなる。

 このクラスの製品に興味を持つ、ある意味こだわりを持ったユーザーの多くは、音楽ものなどでストレートデコードを好む傾向が強いと思う。筆者自身もそうだ。しかし、3D CINEMA DSPならば、決して邪魔にならない。これならば、新世代の高音質音声トラックを含む映像ソフトにもマッチするに違いない。

トータルで高い完成度の新世代AVアンプが生まれた

 このほかにもDSP-AX3800/AX1800には、本来ならばもっと誌面を割いて紹介すべきテーマがいくつもある。たとえば新しいCompressed Music Enhancerは、マルチチャンネル音声に対しても各チャンネル独立して圧縮音声に対する倍音付加の処理を行える。

 これはいわばAAC音声対策だ。デジタル放送の低ビットレートな音声、特にサラウンド放送時の音声は、音数が少なくやや寂しい印象すら受ける。しかし圧縮音声向けに倍音を付加する処理を行うことで、AACのやや寂しい音場に華を加えることができる。またUSBメモリ、DLNAサーバ、iPodの音楽ファイルを再生するネットワーク機能も高い利便性を提供する。

 とはいえ、それも高音質あってこそのものだ。トータルでの音のインプレッションを最後に記しておきたい。

 上位機種のDSP-AX3800は明るくゆったりとした鳴り方だ。PureDirectで聴いた音質からすると、音楽のタイプとしてはポピュラー系のボーカルものが合うだろう。試聴ではリビングストン・テイラーのアルバム「Ink.」を聴いたが、ゆったりとした空間にハリのあるヴォーカルが浮かび上がってきた。

 Pure Directをオフにすると、S/N感はやや落ちるが、中音域にふくよかさが出て落ち着きが出てくる。多少、音像はソフトタッチだが、その分、リラックスして楽しめる。

 そのサウンドは、映画では音場をやや狭めに取り、静けさを表現できるS/N感も備えるが、一方でやや禁欲的な抑制感がある。しかし3D Cinema DSPと組み合わせることで、音色に変化を与えることなく部屋に広さと適度なアンビエントが加わってくる。

 3D Cinema DSPを省略したDSP-AX1800は、選択している部品の違いからか、全く同じシャシーや回路構成でありながら、DSP-AX3800とは音の傾向がガラリと変わる。より開放的でロックからポピュラーまで、幅広く楽しめる音だ。DSP-AX3800では控えめだったニッケルバックの「All Right Reason」が、DSP-AX1800ではノリよく聞こえる。

 S/N感の良さや音像のフォーカスなどは、DSP-AX3800よりも若干落ちるものの、価格差を考えれば大変にお買い得。プレゼンススピーカーを用意できないようならば、低価格なDSP-AX1800をおすすめしたい。

photo

 このように、よく検討された音質を製品の基盤として据えた上で、最新のフォーマット、最新の技術を湛えたDSP-AX3800/AX1800は、トータルでの完成度が高い、まさに新しい映像パッケージソフト時代に即したAVアンプに仕上がっている。

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提供:ヤマハエレクトロニクスマーケティング株式会社
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2007年10月31日