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自発光の極み――パナソニックの「Neo PDP」が見えてきた?(2/2 ページ)

» 2008年10月08日 12時41分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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 もともと動画に強いといわれるプラズマテレビは、現在のフルハイビジョンタイプで720本以上の動画解像度を実現しているという。しかしNeo PDPの場合は上限の1080本。より高速に画面をスクロールさせた場合(グラフ中のスポーツや高速テロップ)でもグラフは下がっていない。しかも同社の担当者によると、「あのグラフはむしろ控えめ。Neo PDPの場合、実際には1080本を裾野にして山を描くイメージになる」という。つまり、フルハイビジョン以上のパネルが出てきても、実解像度並みの動画解像度を維持できる。「ブラウン管のように見やすいテレビになる」(同社)。

 動画ボケのないクリアな映像を表示するディスプレイを「ブラウン管」に例えることは多い。ブラウン管は原理的に“動画ぼけ”が発生せず、高速に画面内を移動する物体もクリアに表示することができる。薄型テレビが主流になった今でも、ブラウン管のファンが多いのはここに起因することが多い。

 ただ、過去の例を思い起こしてみると、FEDSED、あるいは有機ELの製品を“ブラウン管画質”と評価することはあっても、同じ自発光デバイスでありながら、プラズマテレビにそうした表現が持ちいられることはほとんどなかった。同じ自発光デバイスでも、感覚的にプラズマはブラウン管を超えていないのかもしれない。

 しかし、パナソニックの担当者は自信満々だ。

 「われわれは、Neo PDPを“自発光の極み”と思っている」

 残念ながら動画解像度を向上させる“新しい駆動方式”について詳細を聞くことはできなかったが、直近の例で思い当たるフシが1つだけある。それは、フルハイビジョン解像度のまま立体映像を表示できる「3Dプラズマ・シアターシステム」。プラズマパネルを120Hz駆動して、左目用/右目用のフレームを交互に表示するもので、高精細で滑らかな立体視を実現した(→パナソニックの“立体シアター”を見てきました)。

photo パナソニックが描くVIERAの将来像

 あくまでも予想だが、Neo PDPを構成する要素技術の1つには「駆動の低電圧化」がある。駆動の低電圧化が可能なら、逆に「電圧はそのままで、より高速に駆動する」こともできるはず。前述のように、要素技術の進歩は製品開発のオプションを増やすものだ。120Hz駆動と中間フレーム生成のような技術を組み合わせれば、プラズマテレビの動画解像度もさらに向上する可能性がある。

 発表会で森田氏が示したVIERAの将来像には、IP TVやワイヤレスHD、白物家電とも連携するユビキタスデザイン(CEATECではネオ・ビエラリンクとしてデモしていた)などと並び、「リビングで臨場感ある3Dシアターを実現する3D TV」が挙げられていた。リビングルームに常時120Hz以上で駆動するプラズマテレビがあれば、赤外線アダプターと専用メガネを買ってくるだけで3Dシアターができあがる……そんな未来像を描くことも不可能ではない。


 最近はLEDバックライトの液晶テレビや有機ELテレビに話題が集まりがちな薄型テレビ市場だが、プラズマテレビからも目が離せそうにない。もう1つ加えるなら、Neo PDPはパナソニックが独自に開発を行ってきたものであり、その技術にパイオニアとの協業や日立製作所との提携による成果は含まれていない。Neo PDPに両社の技術が投入されたとき、一体どのようなプラズマテレビができあがるのだろうか。

 Neo PDPのプラズマテレビは、2009年に登場する予定だ。パナソニックによると、来年1月の「2009 International CES」で、その成果を披露できる見通しだという。

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