東芝が4月7日に発表した液晶テレビ「REGZA」には、3つの“Z”が用意された(→発表記事)。いずれも倍速駆動と黒挿入を組み合わせた「Wスキャン倍速」や進化した超解像技術を搭載した意欲作。中でも同社初のLEDバックライトを搭載して200万:1のダイナミックコントラストを実現したZX8000シリーズは、間違いなく「REGZA史上“最強”画質」(同社)の素養を持つ。各担当者のコメントを交えつつ、新しいZシリーズを細かく見ていこう。
シリーズ | ZX8000 | ZH8000 | Z8000 | ||||
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画面サイズ | 55V型 | 46V型 | 55V型 | 47V型 | 47V型 | 42V型 | 37V型 |
液晶パネル | VA方式フルHDクリアパネル | IPS方式フルHDクリアパネル | |||||
バックライト | LEDバックライト | CCFLバックライト | |||||
録画機能 | 外付けUSB HDD/NAS対応 | 300GバイトHDD内蔵(USB/NAS対応) | 外付けUSB HDD/NAS対応 | ||||
価格 | 60万円前後 | 50万円前後 | 50万円前後 | 40万円前後 | 37万円前後 | 32万円前後 | 27万円前後 |
発売日 | 7月上旬 | 6月下旬 | 5月中旬 | 5月上旬 | 5月上旬 | 4月25日 | 5月中旬 |
まずは外観をチェック。Z/ZH8000シリーズはおなじみのブーメランスタンドを採用しているが、ハイエンドのZX8000シリーズだけは上から見るとラグビーボールのような、どちらかといえば自己主張を抑えたスタンドになっている。スピーカーはいずれのモデルも下向きの配置によって前面からはまったく見えない“インビジブルスピーカー”。光沢ブラックの狭額フレームは4辺の端にグラデーションを描いている。
同社デザインセンター デジタルプロダクツデザイン担当の佐川崇参事によると、今回のデザインコンセプトは、「画面が空間に浮いているイメージ」。余分な装飾を廃し、光沢ブラックがグラデーションを介して外(壁)にとけ込むような印象に仕上げたという。
そのグラデーションは、単にフレーム上に描いたものではない。緩やかに傾斜したキャビネットと前面のクリアパネルの2重構造になっており、キャビネットにはダイヤカットをくわえてダークシルバーに塗装し、その凹凸とクリアパネル上の印刷で前後の奥行きを感じさせるという凝った造りだ。「質感の表現に気を使ったが、照明のあて方で表情が変わるフレームに仕上げることができた」(佐川氏)。
今回のZシリーズにおいて、もっとも大きな変更はグレア仕上げ(光沢)液晶パネルの採用だろう。光を素直に通すグレアパネルは、色の純度を上げ、明瞭(めいりょう)感や解像感を増す(=落とさない)効果がある。ただし、照明などの映り込みにより、とくに外光の入る昼間は見にくくなるという側面もある(→本田雅一のTV Style:グレアとアンチグレア)。
昨年のモデルにハーフグレア(半光沢)液晶パネルを採用した際、同社テレビ事業部グローバルマーケティング部の本村裕史参事は、画質と映り込みをてんびんにかけ、「ハーフグレアが落としどころではないか」と話していた。しかし今回は、3つのZシリーズすべてにクリアパネルを採用した。
理由については本村氏は、「確かに、“映り込みがない”のが液晶テレビという意識があり、手を出しにくかったのは事実だ。しかし、クリアパネルは明所コントラストを約30%向上させ、引き締まった黒を実現する。さらなる画質の向上を考えると、どうしてもやりたかった」と話す。
背景には、ZX8000シリーズで初めて採用したLEDバックライトシステムをはじめ、3つのZシリーズに搭載した新しい倍速技術「Wスキャン倍速」、進化した超解像技術「レゾリューションプラス2」といった新技術がある。底上げされた画質が表面処理によってスポイルされることを避け、むしろ相乗効果を期待できると判断したという。東芝デジタルメディアエンジニアリングで新メタブレインプロを担当する住吉肇氏は、「新しいZシリーズでは、クリアパネルの採用によって画素単位のボケが発生しなくなった。とくに超解像処理と相性がいい」と話している。
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