無線LAN接続の簡略化とローコスト化を実現する「Soft Wi-Fi」(2/2)

【国内記事】 2002年4月18日更新

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 これにより,アクセスポイント構成の作業が簡略化され,高価なアクセスポイントを購入しなくてもインフラストラクチャモードの無線LANを構成できる。同時にセキュリティに関する設定もウィザードで行わせ,かつ低価格のアクセスポイントがほとんど対応していない,802.1xを用いた認証ベースのセキュリティやAESベースの暗号化も利用できるようになる。

 家庭に無線LANを普及させる際に問題となる構成の複雑さ,(セキュリティ設定のスキルがないための)セキュリティの欠如,そしてアクセスポイントの価格の高さなどを,Soft APで解決できるわけだ。

 さらにクライアントとして利用する際の仕組みにも,より簡単な利用環境を目指して新しい考え方が持ち込まれた。Soft Clientには,SoftSTA(STA : スパニングツリーアルゴリズム)と呼ばれるモジュールが組み込まれ,複数の接続経路(つまり複数のアクセスポイント)の中から利用可能な最適経路を自動的に選択する仕組みが提供される。

 現在のWindows XPでも,例えばアクセスポイントを自動的に検索し,アクセス先を自動的にリストアップして接続するといった具合に,ある場面だけを見れば使い勝手は非常に良くなっている。しかし,複数のアクセスポイントが混在している環境で利用してみると,意図するアクセスポイントに接続できなかったり,そもそもアクセスポイントが見つからないなどの問題が出る場合もある。さらにアクセスポイント間をローミングすると,そのたびに802.1xの認証を個別に取るのも,エンドユーザーにしてみると実に面倒な操作だ。アクセスポイントごと,一度認証のIDとパスワードを登録すれば,以降,自動的に処理する機能も欲しいところ。

 Soft ClientではSoftSTAの働きで,ある経路で通信が行えない場合,自動的に別経路(別アクセスポイント)を探して通信の継続を試みる。SoftSTAは複数のネットワークアダプタにまたがって機能するため,異なる周波数の無線LAN(例えば802.11aとb)を自動的に切り替えて利用することが可能。さらに802.1x認証処理を行うモジュールもSoftSTAと連係して動作するため,経路変更時に自動的に再認証を行ってくれる。

 なお,これらSoft Wi-Fiの機能を利用可能にするには,ネットワークドライバに若干の書き換えが必要になる。

実装はいつ?

 Soft Wi-Fiについて,Microsoftは具体的にいつからサポートを行うか明言を避けている。あくまでも「将来のWindows」と述べるにとどまっており,それがWindows XPのサービスパックになるのか,あるいは「Longhorn」になるのか(もしくはさらにその先になるのか)は不明だ。

 しかしながら,MicrosoftはLonghornまでに家庭でのシンプルな無線ネットワーク環境構築の基礎的な要件をそろえることを目標としており,少なくともLonghornには標準で実装されることになるだろう。

 あまり時間がかかるようだと,せっかくのSoft APも,アクセスポイントハードウェアの低価格化やゲートウェイ製品の高機能化などで,実装されたときにはコスト的なメリットがなくなってしまう可能性がある。シンプルな設定と操作で無線LANを滞りなく活用できるようになればメリットだが,それは無線LANが普及途上の今だからこそ大きな意味を持つ。

 今回のWinHECでは実際のソフトウェアを用いたデモンストレーションは行われなかったが,Windowsへの早期実装に期待したいところだ。

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[本田雅一,ITmedia]

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