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2002年6月19日　01:42 AM 更新

Palmデバイス向け「ブンコビューア」を試す

ドコモのPDA向け電子書籍配信試験サービスで、電子ブックリーダ「ブンコビューア」のPalm版が公開された。ただ、PCでのデータ変換が必要など、ほかのPDA用のものと操作が若干違うので注意が必要だ

　ドコモのPDA向け電子書籍配信サービスで、Palmデバイス向け「ブンコビューア」が6月11日公開された。ブンコビューアは、NTTドコモとシャープの共同開発による電子ブックビューワ。Pocket PC、ザウルス、Windows CEに対応したバージョンは既に公開されており（5月16日の記事参照）、Palmデバイス対応版の登場が待たれていた。

　このPalm版では動作環境が特に明記されておらず、動作確認機種として「CLIE PEG-N750C」「Palm m500」、OSがPalm OS 4.0および4.1日本語版と表記されている。しかし、動作が確認されていないm505で試したところ、特に問題なく閲覧することができた。

m505で閲覧した書籍データ

同じ書籍データをPocket PCで閲覧

電子ブックデータはPCで変換してからHotSync

　Pocket PCやザウルス、Windows CEの場合はデバイスに通信カードを差して、デバイス内に直接書籍データをインストールできるが、Palm OS版の場合はいったんPCで書籍をダウンロードし、試験サービスサイトに用意されるWindows版変換ツールでzbf形式からpdbに変換する必要がある。これは、Palmデバイス本体に書籍データをインストールする際に「データベース形式にする必要があるため」（シャープ広報）だという。

変換ツールのインタフェース。書籍データをドラッグ＆ドロップすることで変換できる

　試しに朝日新聞社刊、ナンシー関著の「小耳にはさもう」の書籍データを選ぶと、「06A1_h.zbf.pdb」「06A1_h.zbf」「01H3_h.zbf」という3つのデータがダウンロードされた。それぞれのデータ容量は279Kバイト、278Kバイト、1.05Mバイト。変換する必要があるのは「01H3_h.zbf」で、変換後にファイルサイズが変わるといったことはなかった。

　変換ツールの動作環境はWindows 98/Me/NT/2000/XPで、Macintosh版は用意されていない。ドコモによれば、Macへの対応は試験サービス、本サービスともに未定となっている。

ビューワは3つのファイルから構成

　Palmデバイス版のブンコビューアは「プログラムファイル」「設定ファイル」「操作説明書」の3つのファイルから構成され、約650Kバイトほどのデータが常にビューワ分として占有されることになる。書籍データのサイズはものによってまちまちだが、先に触れたナンシー関の電子ブックは1Mバイト超、前回取り上げた上村愛子の自伝「だから、いつも笑顔で」（実業之日本社）は約420Kバイトだった。

　書籍データは外部メモリ上に置くこともできる。この際にはまずメモリカード上に「book」フォルダを作成、ダウンロードした.zbfファイルを「book」フォルダ内に入れる。HotSyncによる外部メモリへのインストールは「現段階ではサポートされていない」（シャープ広報）といい、カードアダプタなどを利用して、PCから直接.zbfファイルを置くことになる。

　外部メモリに書籍データを置いて利用する場合には、.pdbに変換する必要がないため、Macintosh環境だけでも書籍データを入れることが可能だ。

Palmデバイス版でできないこと

　ビューワの設定項目や機能を見ていくと、Pocket PC版でできることは、ほぼPalmデバイス版でも可能になっている。たとえば、本文や背景の色の変更、縦書き/横書き、自動ページ送り、文字の大きさや字間、行間の設定、パラパラアニメ表示やティッカーといった機能もサポートされている。

ビューワに用意される設定項目

Pocket PC版とほぼ同じ設定項目が用意される

パラパラアニメにも対応（右）。ブックリスト画面（左）。書籍データを外部メモリに置くことも可能。メモリカード内に「book」フォルダを作成し、変換前の.zbf形式の書籍データを入れる

　Pocket PC版と大きく違うのは、「Palm版では音楽および音声再生に対応していない点と、スタイラスでの画像のドラッグ＆ドロップができない点」（シャープ広報）。また、Palm版では画像表示を100％、50％、Fitの3通りから選択できるようになっている。この設定項目があるのは「ハイレゾをサポートしているCLIE以外のPalmデバイスでは画像の解像度が低いため、ザウルスやPocket PCなどと同じ書籍を読み込んだ場合、画像が大きすぎてはみ出してしまうことがある」（シャープ広報）からだ。

　Pocket PC版での閲覧と比較した場合、Pocket PCでは瞬時に起動するのに対し、Palmデバイスでは4秒ぐらいかかった（書籍データの容量が大きいものは10秒弱かかることもあった）。Palmデバイスでは、起動時に「書籍読み込み中」「画像読み込み中」という表示が現れるが、Pocket PCで起動した場合には特にそのような表示は現れない。また終了時にも「しおり書き込み中」「オプション書き込み中」「一覧作成中」という表示が出て、ブックリストに戻るまでに3秒ほどの時間がかかった。

　シャープによれば、Palm版とほかのデバイス版のソフトは基本的に同じ作りとなっている。ただ、PalmデバイスのCPUがPocket PCやザウルスに比べ非常に遅いため、時間のかかる処理では何らかの表示を出すようにしたという話だった。

電子書籍の画面キャプチャは実業之日本社の許諾を得て掲載している。(C) Aiko UEMURA 2001 Printed in Japan

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[後藤祥子, ITmedia]

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