Mobile:NEWS 2002年8月29日 03:56 PM 更新

「504i」ただいま200万台〜mobidec、夏野氏の講演より

モバイル開発者向けのコンファレンス「mobidec2002」が開幕。オープニングとして、ドコモの夏野氏が「iモード流ネット生態系入門」と題した講演を行った

 モバイル開発者向けコンファレンス、mobidec2002が8月29日から、東京・青山で始まった。オープニングの講演を務めたのは、NTTドコモのiモード企画部長、夏野剛氏。今回は講演内容を一新し、iモードの今後の展開方針や海外でのiモード戦略を盛り込んだ。


504i、ただいま約200万台

 iモードで培われたポジティブフィードバック戦略は、Javaの開発でも大きな効力を発揮したようだ。約1500万台稼働しているiアプリ(Java)対応端末のうち、「504iが約200万台。発売から3カ月でこんなに大きなプラットフォームになった」(夏野氏)。

 「504iが不調」という報道に対しても、「価格を見てほしい」と反論。単に数を出したいなら安くすれば売れる。「純増におけるシェアよりも、いかに使ってもらえるかが重要」だとした。

 夏野氏はiモードのパケット利用量の推移を見せ、ユーザー数が3400万人まで増加してもパケット利用量がほとんど減少していないことを強調。新規サービスの導入が減少をくい止めているとした。低調といわれるFOMAにしても、「FOMAのユーザーにはこれだけ(1日800パケット)使ってもらっている」としている。


iモードのパケット利用数の推移(左)。iモード全体の平均パケット利用量が1日約200パケットなのに対して、iアプリ対応端末は約2倍の利用量で推移している。iモードユーザーの有料コンテンツ市場(右)。夏野氏によると、デジタルコンテンツだけで現在月間約90億円の市場となっており、「2003年には年間1000億円市場になる」(6月6日の記事参照

 昨今、“モバイルコンテンツ市場の飽和”がささやかれることもあるが、「(iモードは)3400万人にまで広がっていて、半数は有料コンテンツにお金を払っていない」と夏野氏。飽和までにはほど遠いとした。


夏野氏は、PCインターネットユーザー数を、携帯インターネットユーザー数が上回っていると指摘。携帯コンテンツの市場規模をドコモが試算したところ、全体の23%がモバイルインターネット市場という結果になったという。PCインターネットに比べて、着メロや待ち受け画面などデジタルコンテンツの市場規模が大きいところに特徴がある

海外のiモードJavaは、MIDPではなくDoJaで

 スタートから4カ月。契約者数が10万に留まり「低調」と言われることの多かったドイツのiモードだが(8月20日の記事参照)、「海外のiモードには、意外と、今のところ満足している」と夏野氏。

 「人口が日本より少なくて、(通信キャリアの)マーケットシェアもドコモより少ない。1万円以下の端末が90%を占める欧州という市場では、(4カ月で10万契約は)良い数字だと思っている」(夏野氏)。

 夏野氏は、「機種が増えるにしたがって、伸び方が加速していく。年内に数機種出て、来年も何機種か出る」とし、Javaについても「海外でもJavaを入れていく。DoJaでスタートする」と語った。J-フォンやauが採用している標準規格、MIDP(用語)ではなくドコモ独自のDoJaを海外でも採用することで、Javaコンテンツの海外展開を支援する。


世界各国のモバイルインターネットユーザー数。「日本勢でほとんど世界の80%を占めている」(夏野氏)

バリューチェーンをさらに拡大──2003年のiモード

 夏野氏の視点は、“モバイルとしてのiモード”から、“インターネットサービスの1つとしてのiモード”に移っている。「携帯電話のサービスとして大きいというだけではなく、インターネットのサービスとして大きい、という意味を込めて」(夏野氏)、講演タイトルも「iモードストラテジー」から「iモード流ネット生態系入門」と改題した。

 夏野氏が“生態系としてのiモード”を強調するのは、iモードのオープン化に伴って総務省などが要求する「水平分業化」の否定の意味もある。分業ではなく、通信キャリアによるバリューチェーンの構築が、iモード成功の理由というのが主張だ。

 2003年以降は、このバリューチェーンをさらに拡大する。1つはコンテンツとゲートウェイサービスとの間を埋めるプラットフォームの構築だ(8月12日の記事参照)。「Eコマースのためのプラットフォームなど、コンテンツプロバイダやユーザーにとってベストなプラットフォームを付けていく」(夏野氏)。

 具体的には、ドコモが各コンテンツプロバイダに代わってiモードユーザーの認証を横断的に行うことなどが想定されている。夏野氏は、米AOLの「マジックカーペット」や米Microsoftの「.NET Passport」の例を挙げて、「世界のビッグプレーヤーは、コンテンツの提供がより容易になったり、ユーザーが便利になったりするバリューチェーンの構築を目指している」とした。

 「コンテンツとネットワークの融合だと言われたこともあったが、違うと思っている。コンテンツプロバイダができることは(ドコモは)極力やらない。便利なプラットフォームをさらに便利にすることに注力する」(夏野氏)。

 さらに、インターネットではない外の世界──自動販売機などとの連携を積極的に押し進める方針。「携帯のよさは持ち運べること。(外部のバリューチェーンに)つなげていくことを考えている」(夏野氏)。

 iモードユーザーは既に3400万人に達し、「もうすぐ(iモードは)AOLと同じくらいのユーザー数になる。世界最大のプレイヤーだ」と夏野氏。iモードの圧倒的なシェアを背景に、夏野氏の関心はバリューチェーンの意欲的な拡大に向いている。



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関連リンク
▼ mobidec2002

[斎藤健二, ITmedia]

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