エイチアイ、ARM9のPrimeXsys上で3Dポリゴンエンジンをデモ携帯電話の3Dポリゴンエンジンの提供元として知られるエイチアイが、ARM9の開発プラットフォームPrimeXsysのコミュニティプログラムに国内企業として唯一参加した。PrimeXsys上にMascot Capsuleエンジンのバージョン3を既に移植済み
携帯電話の多くには、組み込みCPUとしてARMコアが採用されている。そのARMの開発プラットフォーム「PrimeXsys」のコミュニティプログラムに、3Dポリゴンエンジンで知られるエイチアイが国内企業として唯一参加した。 今回、ARM9のPrimeXsys上で「Mascot Capsule Engine Micro3D Edition Ver.3」をデモンストレーション。エイチアイの川端一生社長は「何らかの形でARMコアを使っている端末メーカーは多い。(PrimeXsysコミュニティに参加することで)我々の知識だけで開発するよりパフォーマンスも上がっている」と話し、ARMと共同でMascot Capsuleの展開を狙う。
エイチアイは、J-フォンやNTTドコモなどに3Dポリゴンのエンジンを提供している企業。現在、各端末が搭載しているのはバージョン2だが、来年には空間表現の実現やゲーム向けAPIを準備したバージョン3(8月30日の記事参照)が端末に搭載されてきそうだ。 「高機能なものは既にできている。そのときの(CPUなどの)環境に応じて適切なバージョンを投入する」と川端氏。 “プレイステーション1並の3D表現”をうたうバージョン3は、60MHz以上のクロックを持つCPUで動作する。現在の携帯電話のCPUでは少々苦しいが、川端氏は「ARM9の上では(バージョン3が)かなり快適に動作する」とし、ARM9クラスのCPUが採用される来年の端末にはバージョン3搭載の可能性があることを示唆した。
ARM920Tを使ったPrimeXsysプラットフォーム。テスト環境は140MHz。3DポリゴンエンジンのみでCPUのすべてのパワーを使うわけではなく「30〜40%に留めている」(川端氏)という
組み込み機器向けCPUコアとして高いシェアを持つARMだが、国内の携帯電話ではまだ“圧倒的シェア”には至っていない。各端末メーカーは自社端末のCPUコアを公表していない場合が多いが、KDDIのcdmaOneチップがARMコアなほか、J-フォン向けベースバンドチップのかなりの数がARMコアのようだ。 対して、ドコモ向けの端末では各社が独自にカスタマイズしたCPUの採用が多いようだ。3G端末では、ベースバンドチップ、アプリケーションプロセッサ共にARMコアを想定しているメーカーが多いが、3Gが伸び悩んでいることからARMへの移行も足踏みしている状態だ。アームのマーケティング・ディレクターである岩瀬貞二郎氏も「日本で苦しんでいるのは確かだ。今後に期待している」と話す。 開発プラットフォームであるPrimeXsysも、マーケットの拡大と従来の顧客のサポートを目的とする。プラットフォーム上のOSやツール、検証ツールの提供のコミュニティを作り、「PrimeXsys技術対応」製品の互換性を保証することで、開発期間の短縮を目指すものだ。 「携帯のマーケットでは短期間での開発を迫られる」と岩瀬氏。PrimeXsysプラットフォームは、まだプラットフォームを持っていないメーカーに向けて、また標準プラットフォームとして独自プラットフォームとは別の選択肢としても提供される。 PrimeXsysプラットフォームは「ARM926」コアを使ったワイヤレスプラットフォーム向けのもの、「ARM946」コアを2つ使ったネットワーク機器などに向けたもの、「ARM1136」を使ったハイエンドなものが準備される。ARM11版は来年早々に提供される予定。
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