Mobile:NEWS 2002年12月24日 05:57 PM 更新

通信手段もISPも選ばないデータ圧縮サービス“i-Accele”(2/2)


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破綻のない画像圧縮を行うWebブラウズ

 WebブラウズではIEにi-Acceleのツールバーが追加され、ここでアクセラレータのON/OFFが可能になる。切り替えごとにリロードされるようになっており、「普段はアクセラレータONだが、画像を劣化なしで見たい」といった場合にはこのツールバーを操作するだけでいい。

 画質レベル、つまりデータ圧縮率はタスクバーのアイコンを右クリックし、「設定」を選択すると4段階に切り替えられる。最高速、つまりデータ圧縮率を最大にしてもJPEG画像は大きく破綻しない程度の圧縮率(クオリティ)に抑えられており、GIF画像では階調を落としている。画像の対象がなんなのか分からなくなるようなことはなさそうだ。


IEにはアクセラレータをON/OFFするためのツールバーが追加される。画質レベル、つまり画像圧縮率はタスクバーのi-Acceleアイコンから「設定」を呼び出すと4段階に変更できる

 データ圧縮効果のチェックはISDNの64Kbps接続で行っている。ISPは@niftyで、スループットとしてもおおむね64Kbpsがしっかり確保できている状況だ。

 画像が多めのニュースサイトとして「Crush.net Japan」(http://www.crash.ne.jp/)のトップページ、画像中心ということでJPEGはWebコミックであるVwalker.com内の「ボブ&キース」の1ページ、GIFはDDIポケットのサービスエリアマップへの表示にかかる時間を計測した。ブラウザ終了時にキャッシュをクリアする設定にし、上記の2つのページをスタートページに設定してブラウザの起動から表示完了までの時間を計測した。


 表示完了までの時間は、設定がきれいに反映された結果になった。アクセラレータ未使用時に対して最高速では約半分、主にGIF画像で構成された地図では3分の1の時間で表示完了している。このくらい違うと体感でもはっきりと違いが分かる。なおJPEG、GIFともにアクセラレータをONにするとインタレース表示は解除される。

 実際に読み出したページを構成するファイルサイズの合計はちょっと変わった結果になった。アクセラレータONでは画質レベルがきれいに反映されているが、アセラレータOFFの方がファイルサイズが小さかったりする。本サービスのサーバ側で単に画像を圧縮(正確には再エンコード)するだけではなく、サーバとクライアントソフト間で独自圧縮も行い、クライアントソフト側で画像を展開しているのだろう。


アクセラレータ効果の大きなメール

 メールでは添付されたOfficeのファイル、画像ファイルなどが主にデータ圧縮の恩恵に与れる。またWeb同様こちらでもタスクバーのアイコンから設定を実行すると、画質レベルを4段階に変更できる。またアクセラレータの一時的なON/OFFをアカウントごとに設定することも可能。

 アクセラレータの効果は結構強力だ。例えばここで利用しているWord、Excel、PowerPointのデータはZIPで圧縮するとそれぞれ80%、30%、40%程度のファイルサイズまで圧縮される。しかしグラフを見てもらうと分かるが、受信時間の高速化はそれ以上だ。


 どうやら本サービスはデータ圧縮に“Quick CAT”を利用しているようだ。Quick CATは対応したファイルタイプではそれぞれに適切なデータ圧縮を行う技術で、Officeデータに対応しており、オリジナルの情報を失わない可逆圧縮を行う。OfficeデータならZIPなどで圧縮してからメールに添付するより、そのままメールに添付して本サービスを利用した方が高速に送受信できるし、オリジナルデータの情報も失われることはない。


このようにクライアントソフトには“Quick CAT”のロゴが見える

 画像ファイルではJPEG、TIF(非圧縮)でのデータ圧縮効果が大きい。

 ただしbモバイルやPRINのそれと異なり、メールでも画像に関しては非可逆圧縮だ。筆者が確認した限り、非可逆圧縮になっていたのはJPEGファイルだけであったが、厳密にいえばオリジナルと異なる画像ファイルに変換される可能性がある点には注意がいる。

 JPEGではオリジナルの1Mバイトに対し、受信したファイルは750Kバイトに変換(再エンコード)されていた。ぱっと見では画質の劣化は分からないが、厳密に比較すると多少の画質劣化が認められる。それでも受信時間が7分の1ということを考慮すればアクセラレータの意味は大きい。

 ファイルサイズが4分の3なのに、受信時間が7分の1という点に疑問を持つ人も多いだろう。これはおそらく画像の圧縮にもQuick CATが利用されているからだ。送受信時はQuick CATの圧縮状態で行い、受信側で専用クライアントがJPEG画像として再エンコードしているのだろう。これがファイルサイズは4分の3、受信時間は7分の1のからくりだ。

 TIFは、おおむね20分の1程度まで圧縮できた。Quick CATでは非対応のファイルはZIP圧縮を行うので、ZIP圧縮してからメールに添付した場合とほぼ同等の結果が出たということになる。また画像ファイルもオリジナルとまったく同じものであった。

 添付した画像が変化する点には注意がいるが、受信したメールをメールサーバから削除しない設定にしておけば、アクセラレータをOFFにして再受信することもできる。例えばモバイルのノートPCではメールは受信するだけでメールサーバから削除せず、自宅のPCでの受信時にメールサーバから削除する、といった使い方もできるだろう。

モバイルやナローバンド常時接続ユーザー向けなら効果大

 本サービスはISPを選ばず、インターネット接続時の通信速度が遅ければ遅いほどメリットは大きい。AirH"やPHS、ISDNといったナローバンドでのインターネット接続はもちろん、PacketOneやFOMAといったデータ量課金のインターネット接続では、通信料金の削減という意味でもメリットは大きい。

 またIE+Outlook/OutlookExpressという極めてスタンダードなインターネット利用ならば、ほとんど設定作業がいらない点もポイントだ。ただし筆者の確認した限り、「Norton Anti Virus 2003」ではメール送受信時のウイルスチェック機能が機能しなかった(受信済メールのチェックなどはもちろん機能する)。この点はbモバイルやPRINと同様であり、注意が必要な部分だろう(9月27日の記事参照)。

 気になるのは1年単位という契約期間だ。月額にすればリーズナブルだが、やはり年単位の7480円となると躊躇してしまう人もいそうだ。多少割高になってもいいので、3カ月、半年といった単位での利用プランも期待したい。

 12月20日にはパッケージ版となる「i-Accele+」も販売開始されており、7日間利用可能な体験版も準備されている。体験版利用のIDはパソコンショップのチラシ、もしくはメールでの請求が必要と、少々手間が掛かるが、年間単位での料金だけに興味のある人は試用してみることをお勧めしたい。

 なお筆者が個人的に強く気になったのは利用可能なブラウザがIEのみという点。現状のブラウザのシェアを考慮すればIE5以降のサポートは妥当なところだが、日常的にタブブラウザ(Donut P)を利用している筆者にとってはかなりきつい制限だ。フリーソフトのタブブラウザへの対応が難しいなら、ぜひNetFrontのようなタブブラウザ機能を含む製品には対応を望みたい。



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関連リンク
▼ インフォシャワーエックス
▼ インフォシャワーエックス i-Accele

[坪山博貴, ITmedia]

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