Mobile:NEWS 2003年2月7日 02:27 PM 更新

コンピュータを着る時代を作り出す(2/3)


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 かっこ悪いと思う、というときに挙手したのは、年配の方が多かったようである。HMDがかっこ悪いと思ったあなた。もしかして、ちょっと年齢層、高くないですか?

 アンケートしてみて驚いたのは、「HMDを身につけてもよい」と考えている人が、なんと20%ほどもいたことだ。塚本助教授が話すのを聞けば、20%もの割合でHMDを付けたくなるのだとしたら、HMDビジネスはすぐにでも立ち上がるだろう。

 「ウェアラブルは実用ではなく、エンタテインメント、時代の象徴としてのファッションとしてブレイクするだろうと考えています。ファッションとしてブレイクするとしたら、ブレイクするのは一瞬です。ほかの企業の後追いをするのではなく、トップランナーになりたいのなら、今しかチャンスはありません」──。塚本助教授の説得にも、いっそう熱がこもる。

ビジネスとして立ち上がるウェアラブルPC

 果たして、HMD、ひいてはウェアラブルPCはビジネスになっていくのだろうか。

 ビジネスとして考えると、塚本助教授の姿は、あまりにも異様に見える。2001年4月からウェアラブルコンピューティングの実戦を始めたという塚本助教授は、「2年近くものあいだ、ほかにウェアラブルを実践する人が出てこなかったのは意外だった。研究者のなかには追従してくる人が出てきてもおかしくないと思ったのだが」と打ち明け、会場から笑いをとる。


講演中の塚本助教授。そのボディじたいがなによりのプレゼンテーションツール


移動中の塚本助教授。移動中でもHMDはつけている。見慣れると自然に思えてくる?

 HMDは異様である。だが、異様であるがゆえにかえって、見慣れると「そういうものか」と認知してしまうところもある。見慣れるまでの時間は、思ったよりもずっと短いようだ。

 1日の密着取材では、池袋、渋谷、本郷などの繁華街や路上、地下鉄などでの移動の最中も、最初は遠巻きに見てみぬふりをする人びとが、すぐに慣れてしまうところも目にした。大型のサングラスが流行っている最近では、HMDもふとサングラスに埋没してしまう瞬間さえあることにも気づいた。

 “HMDはファッションなのだ”ということを主張するために、塚本助教授はファッションにもこまやかな気配りをしている。長髪は脱色して金髪にし、カラーコンタクトにサングラスと、徹底的に若者指向を取り入れる。その一方で、ビジネスの場で恥ずかしくないスーツを身に着け、一分のすきもない。

 ビジネスマンがネクタイの色でファッションを主張するように、HMDもファッションの一部なのだ、ということを、態度で表現している。徹底的な自己管理、自分がどう見えるのかということを演出しきった態度は、「ウェアラブルが一部の好事家だけのものではない」「ウェアラブルは可笑しいものではない」と、強く印象付けようとしているのである。

 強靭な意志がなければ、続けられるものではない。

 “HMD=異様なもの”というのは、古い常識に縛られた観念なのかもしれない。

 ちょうど、「人間が二足歩行したのは、草原を歩いたからだ」という常識にとらわれることなく、体脂肪の多さ、潜水反射(水に入ると瞬間的に心拍数が下がり、四肢への血流が少なくなる)、体毛のなさなどから総合的に考え、人間はかつて水中生活をしたことがある、と結論づけ、人類の起源論争に無視できないくらいの影響を与えたウェールズの劇作家エレイン・モーガンのアクア説のように、である。一度アクア説に触れてしまうと、草原に降りたので猿は裸になり二足歩行を始めた、などというばかげた進化論が、全く根拠のない空想に思えてくる。

使い勝手は改善される

 ウェアラブルPC/HMDの使い勝手はどうなのだろうか。

  • 頭は痛くないのか? 痛くないそうだ
  • 汗はかかないか? 夏にはかくそうだ
  • コードは邪魔じゃないか? よくドアノブに引っかかり、ドアは天敵だそうだ
  • 文字入力はたいへんじゃないか? キーボードを持ち歩いているそうだ

[美崎薫, ITmedia]

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