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2003年7月4日　02:18 PM 更新

携帯単独でGPS測位〜NECがチップセット

これまでのGPSケータイはサーバとの通信が必須だったが、カーナビのように単体で測位を行う自律測位が可能な携帯電話向けチップセットが登場する。サーバ支援型もサポートし、コスト優先の測位、精度優先の測位など、状況に応じて最適な方式を選択できる。

　NECエレクトロニクスは7月4日、携帯電話向けのGPS測位用システムLSIセットを開発、販売を開始した。3種類の測位方式を1つのセットで実現できるのが特徴。カーナビのように携帯電話単体で測位計算を行い、通信が発生しない「Autonomous」（オートノーマス）方式のほか、従来の「MS Assisted」「MS Based」をサポートする。

　単体での測位計算は、測位に時間がかかるほか演算処理負荷が高いため、携帯電話には不向きと言われていた。同セットでは高速処理ハードウェアの開発と演算手法の採用によりこれを実現した。IFフィルタ、ADコンバータ、メモリなど、通常外付けになる部品を内蔵し、測位時の消費電流も61ミリアンペアに抑えた。PDC/GSM/CDMAなど各種ネットワークに対応している。量産開始時期は2004年4月を予定している。

携帯電話の3つの測位方式

　既に570万台を超えたKDDIの「GPSケータイ」に代表されるように（6月6日の記事参照）、携帯電話への位置情報取得機能は普及を始めている。

　しかし、カーナビなどと異なり処理能力や利用できる電力に制限のある携帯電話では、サーバの補助を受けて位置の測位を行うのが一般的だった。

測位方式	概要
MS-Assisted	ネットワーク支援型。最終計算はサーバで行う
MS-Based	ネットワーク支援型。サーバからのアシストデータは利用するが、最終計算は端末で行う
Autonomous	自立型。すべての計算を端末で行う

NECエレクトロニクス資料より

　KDDIのGPSケータイに採用されている米クアルコムの技術、「gpsOne」はMS-Assisted型に当たる。GPS衛星の情報をサーバに用意しておくことで衛星の捕捉を容易にし、さらに測位の最終計算をサーバで行うことで、携帯電話側の負担を軽減すると共に、測位精度を上げられるメリットがある。

　ただし、MS-Assisted型では測位ごとにサーバへの通信が必要となり、通信コストが発生するほか測位に時間がかかるという問題があった。クアルコムジャパンによると、1回の測位に必要な通信コストは5−8円。そのため、クアルコムでもMS-Based型を開発しており、KDDIも秋から冬にかけての端末で実装する予定になっている（2002年8月の記事参照）。

　NECエレクトロニクスが開発したLSIセットは、さらに一般に自立型と呼ばれる、サーバを必要としない測位方式をサポートしているのが最大の特徴。感度や測位時間は悪化するが、通信コストがかからずサーバとやりとりできないエリアでも測位が行えるメリットがある。

NECエレクトロニクス資料より

　3つの方式を切り替えて利用できることで、「コスト優先の測位、精度優先の測位など、利用状況に応じて最適な測位方式を選択できる」（NECエレクトロニクス）としている。

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[斎藤健二, ITmedia]

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