Mobile:NEWS 2003年8月12日 07:53 PM 更新

11月、ソウル――デジタルコンテンツの未来は見えるか?(2/2)


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 「そういった現状は韓国も全く一緒です。確実に利益を上げているのは、着メロとキャラクターです。ゲームも少しづつ広がり始めており、今後期待できます。流行ということで言えば、韓国では、電話をした側に音楽が流れる『通話連結音』というサービス(電話を受ける側が有料で行うサービス)が人気です。受ける側がメロディを変更できたり、時間帯によってメロディを切り替えたりできるサービスで、。日本でも、KDDIやNTTドコモが検討中であると、聞いています」(リー氏)

 「韓国も日本も、モバイルコンテンツのニッチマーケットがあるのは確かです。昨年、KDDIのモバイルゲームサービスの人気ランキングで、韓国産のゲームが一位になりました。何もない環境でラウンチするわけではなく、日本である程度知名度のあるキャラクターやゲームなどは、可能性があると思います。キャラクターだと『マシマロ』など。日本で放映されたドラマなども、期待できるコンテンツです。ネットワークゲームの『リネージュ』『ラグナロク』なども、モバイルコンテンツとしてのニーズがあると思います」(同氏)

 「VOD(Video On Demand)サービスは、かなり人気があります。コンテンツすべてを見せるのではなく、ダイジェスト版を見せるものです。また、少し前までは他のメディアの補完手段としてモバイルが使用されましたが、今ではモバイルが一つのメディアとして認知されてきて、モバイル専用の映画などのコンテンツが作られ始めています。携帯電話の画面サイズなので、人の顔をクローズアップする画面を多くするなど、工夫を施していますよ」(同氏)

 VODやモバイル専用の映画は、日本のキャリアやコンテンツ事業者もかねてより挑戦してきた。しかし、結局のところ、うまくいかなかった、というのが現時点での一般的な評価だろう。例えばモバイル専用映画は日本でもあるが、エンドユーザーレベルでの認知度は高いとはいえない。

 なぜ日本でうまくいかなかったものが、韓国ではうまくいきつつあるのだろうか。韓国では日本よりも有料サービスに抵抗感が少ないといわれるが、それも一因だろう。また、いち早く3Gを導入、通信コストを下げられたことも、リッチコンテンツを受け入れる上で寄与したはずだ。いずれにせよ、こうした日本では“これから”の分野も含めたデジタルコンテンツが一堂に会するイベントが、DICON2003というわけだ。


昨年の会場風景

DICON2003はモバイルコンテンツに注力

 2002年のDICONは、アニメの分野が最も多く出品された。また、PCWWという放送系展示会も併催していた関係で、映像分野も多かったという。そして次がモバイルコンテンツ。契約実績でもこの順番だったそうだ。韓国文化コンテンツ振興院として、DICON2003をどのように運営したいと考えているのだろうか?

 「アジアのコンテンツ市場の中心として、機能させていきたいと考えています。韓国と日本、韓国と中国など、コンテンツ制作のマッチング・コンサルティングサービスも重要だと考えており、そういったイベントも用意しております。ハードウェア系も展示されるイベントや、コンテンツの一つの分野に特化したイベントは他にもありますが、デジタルコンテンツの総合展示会としてはアジア最大だと自負しています。今年はモバイルコンテンツをメインテーマとします」(チョウ氏)。

 韓国内でアニメーションやモバイルコンテンツを制作している企業の海外進出を助けるため、海外のコンサルティング会社を誘致し、そのためのプログラムを用意するそうだ。また韓国文化コンテンツ振興院も独自に投資組合を運営しており、世界中から投資を受け入れる体制をとっている。

 「韓国と日本の違いで言えば、日本は優れたコンテンツを韓国よりたくさん持っています。ですが、たまたまブロードバンド環境の普及が日本に先行したことで、ブロードバンドコンテンツは日本より先に花開きました。DICONでは、韓国のブロードバンド・モバイル分野の動向を肌で感じることができます。実際にコンテンツのトレードでいらっしゃっていただきたいですし、韓国マーケットのリサーチという意味でも、是非ソウルまで来ていただければと思います」(チョウ氏)

著作権保護は次のフェイズに

 かつては韓国も、日本の海賊版コミックや映像コンテンツが横行したことは周知だろう。だが、状況は変わってきている。韓国では1996年に著作権保護に関する国際条約であるベルヌ条約に加盟。管理の体制が整備されてきた。

 「今、著作権関連で最も問題になっているのは中国です。中国で利用されている韓国のブロードバンドコンテンツやオンラインゲームの70〜80%は違法なもので、(対応が)悩ましいところです。ただ、違法コピーの根本的な原因の一つに、ニーズがあるのに正規に売ってくれるところがない、ということがあります。例えばプレイステーション2などは、韓国では正規の発売が始まっていなかった時、韓国のマニアはみな秋葉原に行って買って持っていました」(パク氏)

 コンテンツを売ろう、という立場に変わったということは、逆に言えば著作権意識がしっかりとしてきた、ということでもあるだろう。コンテンツを韓国から持ってくるにせよ、日本のコンテンツを韓国へ持っていくにせよ、ビジネス面の環境は整備されつつある。DICON2003は、アジアでのコンテンツビジネスの発展を占う上で、注目に値するイベントになるだろう。

[大出裕之, ITmedia]

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