Mobile:NEWS 2003年10月6日 05:58 PM 更新

「このデザインで半歩先を行く」〜INFOBAR

マグネシウム合金ボディにタイルキーを配置。厚さ11ミリ、重さ87グラムというスタイリッシュなストレート端末は、デザイン性がウリだ。カメラ付きでアプリおよびGPS対応など機能も削られていない。

 折りたたみばかりで機能偏重の携帯電話が多い中、斬新なデザインの端末がKDDIから登場する。「INFOBAR」と名付けられたこの端末は、約2年半前にデザインモックとして発表されたものだ(5月22日の記事参照)。

 「高い剛性を持つマグネ合金でできたボディに、大きなタイルキーを配置。思わず触れてみたくなるような質感があるだけでなく、見やすさ、押しやすさをハイレベルで実現している」とauチーフデザイナーの小牟田啓博氏は説明する。


NISHIKIGOI(錦鯉)と名付けられた赤、ICHIMATSUという白黒、BUILDINGという名の白がラインアップ。三洋マルチメディア鳥取が製造した


側面には高い剛性を持つマグネシウム合金を使い、ズボンの尻ポケットなどに入れられることも想定した。背面は樹脂を使っている。鮮やかで質感の高いカラーリングは携帯初となる、赤が美しいNISHIKIGOIではマグネシウム高光沢3層コート塗装、ICHIMATSUとBUILDINGでは高輝度2層コート塗装を施してある。従来難しかったアンテナ部にも同様の塗装がされている

 INFOBARをデザインしたのは、タカラやダイヤモンド社と協同で「±0」という家電・雑貨のブランドを提唱した深澤直人氏(IDEO Japan深澤氏のページ参照)。

 深澤氏は、「携帯は急速に発達したが、今後身につける機械としては、時計に変わる装身具になると考えている。しかし、それにしてはどうもプロダクトアウト、実質的な形が表に出過ぎている。これからデザインというものにユーザーのみなさんが興味を持つのではないか」と話す。

 選んだ形状は、タイルパターンの大きなキーを備えた薄型のストレートタイプだった。「自分だけの個性を表現できるようなフレキシビリティを持たせることを考えた。当時、二つ折りが主流の形になってきたが、それだけではないだろう」(深澤氏)


深澤氏と2000年発表当時のINFOBARのデザイン。オリジナルのイメージを、忠実に再現しつつ商品化を果たしたことが分かる


「電話機本体のデザインだけでなく、メニューや卓上ホルダ、パッケージなど、一環したデザインのもとに制作されている」(小牟田氏)。お持ち帰りの袋はカラーリングごとに別のものが用意され、メニューのアイコンは3パターンが用意されている

 デザインのイメージモックを発表したところ、反響が大きく、開発につながったと言う。

既存端末に劣らぬ機能〜「A5306ST」ベース

 デザインに注力しつつも、機能面の妥協はない。背面には31万画素のCCDカメラを搭載、高輝度LEDを使ったライトも備えた。メインディスプレイは2.0インチの6万5536色TFT液晶(132×176ピクセル)を搭載している。

 カメラはVGAサイズの静止画のほか、動画の撮影・再生にも可能。着うたや着ムービーも利用できる。BREWアプリに対応しているほか、GPS機能も備え現在いる場所の地図を表示させることもできる(MS-Basedには対応しておらず、EZナビウォークには非対応)。

 ソフトウェアは、かな漢字変換は「ATOK for au V2」を搭載するなど、「A5306ST」をベースとした端末であることが分かる。

INFOBARに続くか? au design project

 KDDIのデザインチームは「au design project」を立ち上げ、内外のデザイナーと組んで毎年のように新しい“ケータイのデザイン”に取り組んでいる。昨年は、「INFOBARと組になる」という、石ころ型のコンセプトモデルも発表し(2002年5月の記事参照)、今年は、海外のデザイナーであるマーク・ニューソンデザインの「talby」という端末を展示した(5月20日の記事参照)。INFOBARのようなデザインを重視した端末が、これからも出てくるのか、期待は高まる。

 auプロダクト統括部長の牧俊夫氏は、「年間数機種は出していきたい、という思っている。ただし展示会で出したものをやるかどうかは不明。他社もデザインに注力してきているが、半歩先を進みたい」と、デザイン端末が今後も続くことを示唆した。

 そもそもINFOBARの商品化に手間取った理由は、「台数が売れるか不安があり、ふっきれなかった」(牧氏)ため。auの端末販売台数は年間で約1000万台。年間約16機種を投入する中で、平均して1機種、60万台程度売れる必要がある。「au design project」発の端末が続々登場するかどうかは、INFOBARがどのくらい売れるかどうかにかかっている。

 機能面でA5000シリーズとA1000シリーズの中間にあるINFOBARは、価格もA1000よりは高く、A5000よりは低くなるという。


 主なスペックは以下の通り。

製品名INFOBAR
連続通話時間150分
連続待受時間200時間
サイズ(幅×高さ×厚み)42×138×11ミリ
重さ約87グラム
データフォルダ容量約3Mバイト(または500件)
着信メロディ最大40和音
発売時期11月初旬



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関連リンク
▼ au design project
▼ IDEO JAPAN

[斎藤健二, ITmedia]

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