Mobile:NEWS 2003年11月4日 02:23 PM 更新

ケータイ新市場を狙うユーリードの「DesignWire」(2/2)


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 試しにいくつかのページを取り込んでみたが、〈table〉などを使ってレイアウトしてあるようなページでは、テーブル内部ごとに区切ってケータイページを作成しなければならないだろう。そのままではあまりにも表示面積の差が大きすぎるのである。

 またケータイWEBにはページの容量制限があり、画像が多すぎると、この制限にも引っかかってくる。だが写真などもそれなりに縮小して画面内に見えるよう変換してくれるので、ちょっと手直しすればだいたいWEBと同じ感じようなものができるのは手軽だ。

 一つのデバイス用にサイトを作ったら、「WebSite」を使って他のキャリアや端末用にページを変換できる。ページの作り方によっては、すべての端末でまったく同じように見えるとは限らない。機種依存文字などがあるからだ。その場合はアラートが出て、代替えの文字を指定できるなど、可能な限り機能差を吸収しようという努力の跡が伺われる。


一つのデバイスでサイトを作れば、他の機種用に変換できる

ヒットに立ちふさがる問題

 端的に言ってDesignWireは、個人サイトをケータイでも見られるようにしたいといった、プライベートな用途にも使える。だが中心はやはり、ケータイ専用のコマースサイト構築に芽があるツールだろう。ビジネス的側面からみれば、「情報は無料」が原則のインターネットWEBと違い、ケータイWEBでは常に課金システムと一体にある。したがってなんらかのサービスやモノの販売といった方向性に伸びやすい。

 ちゃんとした商売を考えている会社にとっては、このようなツールの出現はありがたいことだろう。専用ツールの割には価格も安く、標準価格1万4800円である。シミュレータの「PreviewSimulator」もかなり細かいところまで練り込んだようで、機能としての粒はそろっている。おそらくeコマースを考えている、または既に行なっている企業の多くが、このツールを導入することだろう。


いわゆるブラウザに相当する「PreviewSimulator」

 ただちょっと問題なのは、ユーリード製品はこれまでコンシューマー用途ではまあそこそこ使われているが、プロや業務用途で使われるケースは少ない。その理由はいろいろあるが、筆者がもっとも感じるのは、機能的には盛りだくさんだが、突き詰めていくと細かいところに破綻や矛盾があるところだ。

 DesignWireも、ドラッグ&ドロップでコンテンツが変換できるとアピールする割には、有無を言わさず最大画面表示で起動してくる。だいたいケータイみたいなちっちゃい画面を作るのに、最大表示は必要ないと思うのだが。また画面を縮小すると、その分だけ画面上部のツールバーがどんどん見えなくなっていくというのも、よろしくない。

 こういったお行儀はどうあれ、安いし機能的に問題なければ気にしない、という人もいるかもしれない。コンシューマー市場ならともかく、コンテンツ制作はデザインワークだ。プロの現場でデザインをやる人が、そういうツールで我慢できるだろうか。

 ユーリードが、世間のデザイナーにも認められるかは、いかに現場ユーザーが「おかしい」と感じた部分のフィードバックに対して迅速に対応できるかが勝負だろう。さらに情報家電の中で、もっとも進化の度合いが激しいケータイの機能拡張にも、追従しなければならない。

 ユーリードもまた、大変なところへ向かって船出しちゃったものである。

小寺信良氏は映像系エンジニア/アナリスト。テレビ番組の編集者としてバラエティ、報道、コマーシャルなどを手がけたのち、CGアーティストとして独立。そのユニークな文章と鋭いツッコミが人気を博し、さまざまな媒体で執筆活動を行っている。

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[小寺信良, ITmedia]

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