急接近する自動車とケータイモバイルクロスオーバー(3/5 ページ)

» 2004年01月13日 15時53分 公開
[神尾寿,ITmedia]

 なぜなら、インターナビプレミアムクラブの主サービスは、カーナビの基本機能である「道案内の精度を通信を使って向上させる」点に絞られており、ドライバー支援のためのテレマティクスと、コンセプトと機能が明快で分かりやすい。実際に使ってみても、一般ユーザーがすぐにメリットを感じられるだろう。

 インターナビプレミアムクラブの柱になるのは、3つのテレマティクスサービスだ。

 1つは「オンデマンドVICS」。既に多くのカーナビが利用するリアルタイム渋滞情報「VICS」を補完する機能で、FM電波で届く従来型VICSで不可能な都道府県の境を越えた先にある渋滞情報を携帯電話の通信経由でダウンロード。地図やルート検索に反映できる。

 2つ目は「プレミアムメンバーズVICS」。この機能は、自分を含めて実際に走行中の同機能対応車が集めたリアルタイム渋滞情報を、ユーザーが情報をダウンロードする際に自動的にアップロードしてもらい、VICS以上のエリアと精度で渋滞情報を蓄積、提供するサービスだ。VICSが渋滞情報を取得している区間の約3倍の範囲で渋滞状況が分かるという。

 そして3つ目が、刻々と変わる渋滞状況や道路規制状況をダウンロードして“最も早い道”を選ぶ「ダイナミックルートガイダンス」と、これから起こる渋滞を蓄積された過去のデータから独自のアルゴリズムで分析して、将来の渋滞を避けるルート検索を行う「渋滞予測」だ。

渋滞予測システムなしと実際の道路状況、予測機能を使った場合の所要時間のグラフ
渋滞予測システムの有無による目的地到着時間の平均値グラフ。驚くべき効果が実証されている。都市部ドライバーを中心に垂涎の機能だ

 ホンダのテレマティクスは、どれも自動車メーカーならではのものであり、ドライバーの利便性が高い。ホンダはあらゆるニーズに合わせてプラットフォームを拡大するのではなく、「運転」というクルマの本質に即して、その魅力を増す機能としてテレマティクスを位置づけている。

 通信インフラに関しては、今のところ携帯電話のケーブル接続が中心で使い勝手はよくない。一部の車載端末は定額制PHSカードが使えるカードスロットを用意するが、ホンダが本命視しているのはBluetoothによる3G携帯電話の接続で、携帯電話キャリアのBluetooth搭載が進むのを待っている状況だ。トヨタのDCMのような内蔵通信モジュールも、「モジュール価格が2万円以下になったら採用の可能性はある」(本田技研工業インターナビ推進室の今井武室長)という。

利便性とUIを重視する〜日産「カーウイングス」

(左)カーウイングスのオペレーターサービス「コンパスリンクライト」では、オペレーターとの会話によって施設や目的地の検索、リモートでルート設定ができる。(右)コンパスリンクライトやコンテンツサービスの接続ボタンはクルマに最初から用意されている(写真はエルグランドのもの)

 カーウイングスはクルマの利便性向上をサービスの柱にしている。

 その代表が、オペレーターによる情報検索・カーナビ設定サービスの「(コンパスリンク)」だ。このサービスはカーウイングスの基本料金内で無制限に使える(通話料はかかる)基本サービスで、オペレーター(人)と音声で話して、行きたい場所や施設を探して、オペレーターがクルマ側のカーナビ設定まで遠隔操作でしてくれる。

 筆者も試したが、例えば「JR中野駅周辺の老舗の蕎麦屋」や「勤務するオフィスビル内か近隣にある歯医者」といった曖昧かつ難しい条件でも、親切丁寧に対象を探してくれる。オペレーターの呼び出しやカーナビの遠隔操作開始の操作は専用のボタン1つを押すだけ(コンパスリンクライトの場合。コンパスリンクは自動)。ある意味、非常に単純なサービスなのだが、運転中にカーナビを操作せずに高度な検索ができるのは便利だ。

 カーウイングスにはG-BOOK同様にiモードライクなコンテンツサービスも用意されている。コンテンツの質・量はG-BOOKのほうが上だが、カーウイングスはコンテンツアクセスに専用ボタンを用意し、メニューの階層構造を行わないなど、ドライバーやITリテラシーの低い人でも使いやすいように配慮されている。

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