デザインがヨーロッパ風なら、キー配置や操作性もかなり独特だ。例えば国内向けのほとんどの端末では、[発話][終話][クリア]といったキーが数字キーの近くに配置されているが、802SEにはこれが当てはまらない。例えば普通[発話]キーが配置されている場所には、テレビ電話モードへの切換キーがあるのだ。
メールや電話帳などに専用に割り当てられたキーもなく、初めて触れるといったいどうやって電話をかけるのか、どうメールにアクセスするのかすら戸惑ってしまう。
実はこうした機能にはメニューからアクセスできる。例えば電話帳は下キーに標準状態では割り当てられているのだが(上下左右キーには任意の機能を割り当てられる)、アイコンなどもないのでなかなか把握できない。国内向けの携帯電話を利用している人が初めて触ると、面食らってしまうだろう。
電話帳もかなりクセがある。呼び出すと一覧が表示され、例えば読み仮名の先頭が「く」の人を呼び出したい場合、2キーを連続して3回叩く。キーを押す間隔を空けてしまうと読みの次の文字入力になってしまい、インクリメンタルサーチになってしまう。
インクリメンタルサーチは、文字を入力するごとに検索が行われ、候補を徐々に絞り込んでいける機能だ。もちろんインクリメンタルサーチ自体は便利なのだが、これもまたマニュアルで確認しておかないと戸惑う部分だ。
分かってしまえば、どうということはないのだろうが、電話をかけようとしてこれだけ戸惑った端末も久しぶりだ。ベースがワールドワイド仕様の端末のため、国内向け携帯電話のような操作性に対するガイドラインが厳しくないのだろう。ほかの端末から乗り換えるなら、ほとんどの人がマニュアルの熟読と多大な慣れを要する製品である。
既に触れたとおり、802SEのディスプレイ解像度は176×220ピクセルとQVGA対応ではない。アドレス帳一覧などではインクリメンタルサーチに慣れてしまうとさほど不満には思わないものの、やはりQVGAを見慣れた目には、1画面100文字以下の表示能力は情報量不足を顕著に感じる。
日本語入力には「T9」と読み予測入力も採用している。日本語のほか、英語、スペイン語、ポルトガル語の利用が可能だ。「ソニー・エリクソン端末なのにT9?」と思わないこともないが(7月29日の記事参照)、英文入力においてはT9のメリットは大きいため、ワールドワイド向けの端末としては仕方のない部分だろう。
むしろ候補一覧が1行だったり、予測候補の一覧が縦一列であったりと画面情報量の少なさが気にかかる。こうしたところから日本語入力は“後付けしました”という感が強い。ヘビーにEメールを利用する人には正直ちょっとお薦めしにくい。
充電端子はSonyEricsson独自形式。ほかの3G端末との互換性はない。右の小さな端子は、miniA型のUSB端子。PCとの接続ケーブルは付属している |
今回はUSBケーブルやドライバCD-ROMといった付属品、マニュアルもなしの状態での検証だったので、専用ユーティリティである「PC Suite for Vodafone 802SE」を利用したPC連携機能は試せなかった点をお断りしておく。「PC Suite for Vodafone 802SE」はかなり多機能で、これを利用すればまた802SEの違った一面も見えてくるのではと思う。
デザインは間違いなく魅力だが、デザインだけでなく操作性を含めてさまざまな点で独自性が強い。例えば充電端子も独自であり、3G向けとされている汎用のACアダプタなども利用できない。ワールドワイドモデルがベースなので致し方ない部分もあると思うが、キャリアごとにある程度統一された操作性や仕様に慣れている国内ユーザーには、相当違和感があるのも間違いない。
802SEはドコモやau向けのソニーエリクソン製端末とも全く異なる操作性のため、従来の国内向けのソニー・エリクソン端末に対する評価は全く当てはまらない。買い換えを考えるユーザーは、できれば店頭などで実機に触れ、事前に使い勝手を確認したほうがいいだろう。
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