韓国は世界でも指折りのカード大国だ。クレジットカードの利用率が高いのはもちろん、地下鉄やバスに乗る際にも交通カードまたはその機能つきのクレジットカードを利用する。学生証や社員証も、ICカードが普及している。
そんな韓国で3月24〜26日、「カードコリア&ユビキタスビジネスショー2005」が開催された。世界で一歩先を行く、韓国のカード事情をリポートする。
韓国は1999年から「クレジットカード使用活性化政策」により、政府主導でクレジットカードの利用促進が図られてきた。金融決済院の発表によると、クレジットカードや電子マネーなどの電子決済利用率は、2003年には75.6%と、世界の平均である63.5%を大きく上回っている。また100万人あたりのATMおよびクレジットカード端末機の設置台数も6万4092台と世界一だ。
最近はこのカードを、単なるプラスチックではなくICカードにしようという動きが活発だ。日本同様、銀行カードを偽造し、顧客の口座から大量の現金が引き出されるという事件が発生した後、積極的にカードのIC化に努めるようになっている。
今年中に銀行カードの100%、クレジットカードの25%がICカードに変わり、2008年までには残りのクレジットカードをすべてがICカードにするという計画がある(3月24日付の「電子新聞」)。昨年発行された新規カード約300万枚がICカードだったのに対し、今年はそれが3000万〜4000万枚に達する展望だ。
今回開催された「カードコリア&ユビキタスビジネスショー2005」は、参加企業が計29社と小規模なものだったが、その中にも注目すべき展示がいくつかあった。そのうちの1つが、優れたカードに送られる「Best Card Awards」にも選出された「KTXファミリーカード」だ。これはソウル市の交通カードとシステムが非常に似ており、ポイントを貯めて、それを電子マネーとしても利用できるという多機能なカードだ。
KTXは、昨年4月に開通したばかりの韓国版新幹線。今年から発行されているICチップ内蔵のファミリーカードには「X-Point」「X-Cash」「X-Ticket」の3つの機能があり、単なる会員カードとしてではなく決済カード機能も備えている。KTXファミリーカードの開発・管理を行っているインターナショナルパス&コマース社は、昨年9月に創設されたばかりの会社。このKTXファミリーカードも、昨年10月26日に発行されたばかりの新しいサービスだ。
X-Pointは、KTX乗車券額の3%、加盟店での買い物額の最高5%のポイントが積み立てられるポイント制度だ。ポイントが5000点以上になるとそれをX-Cashという電子マネーに換えられ、KTXの乗車券を買ったり加盟店で電子マネーとして利用できる。1ポイント1ウォン(約0.1円)だ。
電子マネーのX-Cashは基本的にプリペイド式で、WebサイトやKTXの駅内にある特定のKIOSKで電子マネーをチャージできる。X-Cashが使えるのはデパートやファミリーレストラン、オンラインショップなど特定の加盟店のみとなり、今後は銀行や地下鉄駅などに設置されているATM端末でもチャージ可能になる予定だという。
またX-Ticketは、カードがチケット代わりとなってリーダー機にかざすだけで鉄道に乗れ、座席番号まで確認できるなどのチケットレス機能となっている。鉄道のほかに映画や各種公演、文化施設など幅広く利用できるよう、5月のサービスインに向けて準備が進められている状況だ。ちなみに携帯電話内蔵型は、6月1日からサービス開始予定だという。
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