韓国の金融・バンキング事情2──LG Telecomに聞く、モバイルバンキングの現状韓国携帯事情(2/2 ページ)

» 2005年09月29日 20時55分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]
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 今年以内には、アパートの管理費の納付機能や、1度しか使えない使い捨てのパスワードを生成する「One Time Password」サービスの提供、加盟店で割引サービスなどが受けられるLGTメンバーシップカード機能を搭載したいほか、現在一部銀行でしか対応していない公共料金の支払いサービスを全体に拡大するなど、サービスの拡大をはかっている。

実際の利用率は低め

 ところで気になるのが実際の利用率だ。これに関してはリサーチ会社のMarketing Insiteが、今年3月に約1万1494人を対象とした調査を行っている。

 それによるとモバイルバンキング対応携帯電話を所有している人の率は11.2%で、そのうち「月1回以上(モバイルバンキングを)利用」と答えた人は20.8%と、「あまり利用しない」(16.1%)と「全く利用しない」(63%)を合わせた79.1%を大きく下回っている。利用しない理由として最も多かったのは「特に必要がないので/銀行取引が多くないので」が28.8%となっており、続いて「オンラインバンキングの利用で十分なので」(26.4%)、「利用時、複雑で不便そうだから」(18.3%)、「保安に対する不安があるので」(16.6%)となっている。

モバイルバンキングの利用状況と、利用しない理由

 また、モバイルバンキング機能搭載の携帯電話を購入するかとの質問に対しは、「あまり購入しようと思わない」(38.7%)と「全く購入しようと思わない」(13.3%)の合計52%が、「必ず購入しようと思う」(7.3%)と「ある程度購入を考えている」(40.7%)の合計48%を上回っている。購入しない理由としては「特に必要がないので/銀行取引が多くないので」(27.6%)、「オンラインバンキングの利用で十分なので」(26.7%)が全体の半分以上を占めている。

モバイルバンキングフォンの購入予定と、購入しない理由

 利用率の低さの理由を見ると、「特に必要がない」という認識が大半を占めていることが分かる。これは一部の人を対象にした調査結果でしかないが、各キャリアではモバイルバンキングが必要と思わせるきっかけ作りが必要だろう。

 こうした現状に対しLGTでも新しいサービスの提供を企画しているという。同社は長期的なサービス拡大予定として、保険の加入および保険金納付サービスや、銀行窓口で1〜2時間程度かかるというアパートの分譲申請と当選結果照会を挙げ、今後M-Commerceの機能を強化するとしている。利用者により身近なサービスを提供するため、バンキングと金融・決済サービスとは統合されていくことになりそうだ。


佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。

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