2年後のことはドコモにも分からない──ケータイデザインの今WPC TOKYO 2006(2/2 ページ)

» 2006年10月23日 12時50分 公開
[平賀洋一,ITmedia]
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みなさんケータイのご用意を

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 会場ではパネリストの質問に、来場者が挙手ではなく携帯の液晶画面を掲げることで答えるという“仕掛け”が用意された。「今日一度も通話していない」「今日一度もメールしていない」などの設問が出され、薄暗い会場を照らす数々の液晶画面に「綺麗ですねぇ」という発言も。

 「携帯電話は価格で選ぶ」という人が多いのは当然ながら、「3カ月以内に機種変した」「携帯は自分で決める(店員の意見は聞かない)」という設問で、多くの来場者が携帯を掲げ、その興味と意識の高さに登壇者らが驚いていた。

 携帯選びのポイントが、デザインか機能かという質問では、「携帯は機能で選ぶ」とする人が多く、「携帯はデザインが大事」と答える人は機能を選ぶ人の半数程度になった。さらに、「欲しい機能のある端末なら、デザインが気に入らなくても選ぶ」という問いに多くの来場者が賛成し、柴田氏、堀木氏の両デザイナーが「意外」と漏らす一幕もあった。

 また、「今の携帯の機能で充分かどうか」という質問には、数十人が手を挙げ、「こんなにいるとは思わなかった」(堀切氏)という感想のほか、「もう少し多いと思った。皆さんもうおなかいっぱいなのでは?」(小牟田氏)という声も聞かれた。

 来場者の声からは携帯電話がデザインで選ばれつつあるものの、現状ではまだまだ価格や機能を重視するケースが多いことが分かる。「携帯を買う(機種変更する)ことは大きなイベントか?」という最後の質問には、会場のほとんどが手を挙げ、キャリア代表の増田氏が、「嬉しい」とコメントする一幕もあった。

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携帯の賞味期限とは

 生活の中で存在感が増す携帯について、機能やデザインだけでなく、価格や短いモデルチェンジの期間についても話が及んだ。

 小牟田氏は、「5年前は携帯を持つか持たないかという議論が成り立ったが、今ではどんな機種を持つかという議論になる。また、かつてデザインが悪いとさんざん言われたが、いまは携帯はデザインそのものだと言われる。2年後、3年後に携帯についてどんなことが話題になっているのか何も予測できない」と、携帯そのものだけなく、受け止めるユーザーや社会についても変化の速さが増しているという考えを示した。

 変化が早く、短いサイクルで携帯電話を消費するような実情について、だからこそ全力で取り組む意義があるとするのが堀切氏の意見だ。「携帯と時計は似ている面もあるが、祖父や父の時計を自分が継ぐ経験はあっても、携帯ではそれはない」とし、ほとんどが1〜2年で端末を変えるという会場アンケートの結果を挙げて「携帯は時計のように個性を表すアイテムであると同時に、技術的にもデザイン的にも今を切り取るアイテムではないだろうか。賞味期限が短くても、お寿司のように良質な物はある。“旬”の機能やデザインを出していけば良いし、ユーザーはそれを楽しめばよい」と述べた。

 増田氏は「1つの機種を長く使って欲しいと思うが、長く使えるデザインは地味だったりシックなものになる。こういった携帯はなかなか売れないという面もある」と、ロングライフモデルを開発することの難しさを指摘した。また、小牟田氏の「デザインにしても機能にしても、供給側(キャリア・メーカー)の都合というか、計画で決まる面はないだろうか」という懸念に対して、「実はドコモでは2年後のロードマップは白紙。どんな機能を搭載するか、今決めるのはあまり意味がない。それくらい携帯の動きは読めない」と、キャリアであっても携帯の進化を予測することが難しいと明らかにした。

 小牟田氏は「思った以上にユーザーの声に左右される業界なんですね」と話し、「良し悪しではなく日本の携帯の進化は面白い。口コミの力や、機能とデザインを両立させるセンスなどほかのプロダクトにない雰囲気がある。、皆さんがそのマーケットを構成していることを意識して欲しい」と、今以上のユーザーの意識の高まりを訴えた。

 パネルディスカッションの最後には、柴田氏が「携帯のデザインが日本のデザイン界をひっぱっている面もある」とコメント。「現在、日本のプロダクトでは、携帯に似たデザインであったりカラーリングの影響を受けることが多くなった。携帯がさまざまなデザインの指標になりつつある。携帯のマーケットは流れが早く、なによりもユーザーの声を大事にする。だから、デザインについてもっと意見や要望を出して欲しい」と来場者に呼びかけた。

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