プレゼンテーション後の質疑応答では、現在のウィルコムユーザーが気になっているであろうポイントにも言及があった。
まず、携帯電話では今や標準搭載といってもいいほど普及が進んでいるワンセグとFeliCa(おサイフケータイ)について、現行のラインアップには1台もないことを指摘され、今後搭載する予定はないのかと問われると、喜久川氏は「ワンセグやFeliCaは搭載しないというわけではない。どこかのタイミングでやりたいと考えている」と答えた。
「今回発表したのは、音声定額サービスに魅力を感じ、2台目の端末として契約してくださるお客様のための端末。あくまでも2台目利用に絞った使いやすさを考えた。時期を見て、ワンセグなりFeliCaなり、その他の機能を搭載した端末を紹介する」(喜久川氏)
また、世界に1億以上PHSユーザーがいるといっても、そのほとんどが中国市場である上、中国ではPHSの契約数が純減中であることについては、「中国といろいろ協力してやって行くべく、さまざまなことを手がけている。中国でもパケット通信を共同で研究していく予定で、ゆくゆくはW-SIMを中国網通でも使えるようにしたりすることも協議を進めている。中国では確かにPHSの契約数は踊り場に来ているが、3G携帯電話の普及している日本で、PHSを伸ばしているウィルコムのエッセンスを取り込み、事業を進めていくという話も聞いている。中国との関係は今後も強化改善していく」と話した。
なおウィルコム定額プランが、月額2900円で24時間の自社内通話定額とメール送受信無料を実現しているのに対し、ソフトバンクモバイルは月額980円の「ホワイトプラン」で1時から21時まで(家族間なら24時間)自社ネットワーク内の通話定額を実現しており、約2000円の差にどれほどのメリットがあるのかと問う声もあったが、これについては「ウィルコム定額プランとソフトバンクのホワイトプランでは、少しマーケットが違う」と喜久川氏は回答した。
「我々は制限がないサービスを提供しており、ぜいたくに、ものすごくたくさん使っても安いというポジショニングだ。このサービスで、“時間を気にせずしゃべりたい”というマーケットの掘り起こしに今も成功していると思う。ソフトバンクとは掘り起こしているマーケットが違う」(喜久川氏)
これまでは、ウィルコムのメリットを24時間通話定額の1本に絞って、強力に訴求してきたウィルコム。しかし、今回の新ラインアップでメール機能の強化を果たしたことから、今後はメールでのコミュニケーションも訴求していく。
「まずは2台目需要を掘り起こし、ウィルコムに加入していただく。そして、弊社のサービスにマッチする人には1台目として使ってもらえるようになればいい。仮に2台持っていたとしても、ウィルコムをメインで使ってもらえるようにするのが大きな戦略だ」(喜久川氏)
一方で、従来から1台目として使っているユーザーに対して、サービス改善やプロダクト改善も行っていく必要があるが、喜久川氏は「1台目として使っていただくためには、ワンセグやFeliCaといった機能を視野に入れる必要があることは理解している。そういった戦略も、次には生かしていきたい」と話すにとどめた。
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