新バイオC1ファーストインプレッション(3/3)

1280×600ピクセル液晶搭載

 これまでのバイオC1シリーズは,1024×480ピクセルという解像度の液晶ディスプレイを搭載していたが,横幅は十分なのだが縦幅がVGAクラスと大変短いのがネックだった。しかしPCG-C1MR/MRXには1280×600ピクセルの液晶ディスプレイが採用され,縦幅がSVGAクラスにまで広がった。

 液晶ディスプレイの高解像度化によって「表示できる情報が多くなる」のは単純に嬉しい。標準システムがWindows XPになり,より大きなデスクトップを使った方が使いやすいだけに,特にそう感じさせられる。Web画面も従来より見渡しやすくなっている。

 ただ,この高解像度化によって「文字やアイコンが小さくなる」という副作用もおきた。ディスプレイのサイズそのものは同などであるため,ここに多くの情報を表示するとなると,文字やアイコンが小さくなってしまうわけだ。これが思ったよりも辛かった。小さな文字だと身を乗り出さないと読めないこともあり,またタスクバーに入っているような小さなアイコンをクリックするのに微妙な操作を強いられるからだ。

 筆者はこのディスプレイのスペックを見たとき,解像度が上がったことを単純に喜び,普段も比較的小さな文字を表示させているので使いこなす自信があった (17インチディスプレイで1280×1024ピクセル) 。しかし,PCG-C1MR/MRXの文字やアイコンは筆者の許容を越えかねないほどの小ささである。常用するとなったら文字やアイコンのサイズを大きくするようにして使うだろう。

 明るさや色合いについては従来の液晶ディスプレイと同レベルである。表示できる情報が多くなったこともうれしい。しかし,購入前にはこのディスプレイが表示する文字やアイコンをきちんと読むことができ,操作できるかどうかを実物で確認することをお勧めする。

最高のバイオC1であることは間違いない……しかし

 そのほか,こまごました点を。

 CLIEユーザーでもある筆者はメモリースティックの使用頻度が高い。これまでのバイオC1シリーズの場合,メモリースティックスロットはPCカードスロットの下 (左側面) にあったが,PCG-C1MR/MRXでは手前側に配置され,大変アクセスしやすくなっている。これは◎だ。

 バッテリーテストをする時間まではなかったので実測値は提示できないのだが,スペック上では標準のバッテリーパック (S) で約2〜4時間となっている。ただし,4時間という数字はCPUパワーや液晶の明るさが極端に低下する「スタミナモード」での値であり,テキスト入力程度の使い方ならともかく,内蔵ビデオカメラやインターネットを多様するには少々厳しい。筆者なら約200グラムの増量になるがバッテリーパック (L) を購入し,約4.5〜8時間というスペックで使うことになるだろう。

 筆者が初代C1で感動したのは,単なるオマケだと思っていた内蔵ビデオカメラに,思った以上の活用法があり,それを実現するためのアプリケーションが標準添付されていたからである。しかし,PCG-C1MR/MRXでは「より新しいことができる!」というようなアプリケーションはない。リアルタイム映像配信を可能にする「パーキャスTV」も興味深いが,バイオGTシリーズから可能になっていたものであり,ビデオチャットを可能にする新ソフト「Q-ze Talk」も,ほかに代替品はあった。もちろん,内蔵ビデオカメラがあることで,普通のノートパソコンよりも楽しみの幅は広いのだが,「これまでのバイオC1シリーズでできていたことがWindows XPでもできるようになった」というレベルにとどまってしまっていることは正直少々期待を外された。

 ……PCG-C1MR/MRXは最も新しいバイオC1シリーズとして完成された形であることは間違いない。デザインうんぬんでは人それぞれの意見があるだろうが,性能や機能については文句なく最高のバイオC1シリーズである。

 もし「バイオC1シリーズを前々から欲しいと思っていた」のであれば,この新モデルを買って後悔することはないだろう。これまでのバイオC1シリーズの楽しみを全て盛り込み,最新のシステムによって固められたPCG-C1MR/MRXは満足できるはずだ。

 また「バイオC1シリーズを趣味だけでなく仕事でも使っており,Windows XPへの移行を考えている」場合であっても,PCG-C1MR/MRXは唯一の選択肢となり得る。これまでできていたことをWindows XPという世界で実現してくれる。

 少し悩まされるのは,「バイオC1を趣味だけのマシンとして使っている」場合だ。エンタテインメント性の高いバイオC1は,仕事ではなくプライベートで使いたいと考えている人も少なくないと思うが (筆者もそうだ) ,そういったユーザーにとってはシステムの進化はどうでもよく,「新たにできることがどれだけ広がっているか」が重要となる。

 古いモデルを使っているユーザーにとってはメモリースティックスロットの有無という決定的な違いがあるものの,そのほかについてはどれも代替可能なものばかりであり,新しい何かを見つけることはできない (もちろん,PCG-C1MR/MRXだと手間なくできるようになったことが多数あるのだが,手間を考えなければ新バイオC1でも旧バイオC1でもできることはほぼ同じ) 。買い換えを検討しているがWindows XPの必要性がないというのであれば,見合わせることも選択肢の1つとなるだろう。

 ……さて,筆者はどうなのだろうか。大きなメジャーアップデートのたびに買い換えを考え,さらに今回は「Windows XPマシンが欲しい!」という仕事面での必要性がある。しかし,今回は見合わせるつもりだ。

 決定的な理由は「初代C1でも同じことができるから」である。それでも仕事面でWindows XPが必要だということを考えれば「筐体デザインがイマイチ」や「液晶の文字やアイコンが思ったよりも小さすぎた」くらいのことは我慢できるが,さらに「無線LANよりもBluetoothの内蔵を優先した」となると,さすがに考えさせられる。

 いまのところ「内蔵ビデオカメラはないけど無線LANはあるバイオSR」と「内蔵ビデオカメラがあって無線LANは内蔵でないバイオC1」とでどちらを選ぶか悩んでいる最中だ。仕事の比率が高ければSRだろうし,趣味を優先させるならC1……結論はまだ出ていない。

Prev 3/3

[濱田宏貴,ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.



モバイルショップ

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!