News | 2001年7月12日 11:55 PM 更新 |
最近,冴えない話題の多いBluetoothだが,思わぬところでBluetooth搭載を謳った製品に出くわした。場所は東京ビッグサイト。といってもPC関連のショウではない。「第12回国際文具・紙製品・事務機器展(ISOT)」(主催・社団法人全日本文具協会,13日まで)という文房具や事務機器関連のイベントだ。
そこで行われていたのは,パイロットと三菱鉛筆による,Bluetoothを搭載したデジタルペンの参考展示だった。
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パイロットのPilot Pentopia Digitalペンのプロトタイプ |
このペン,どこかで見た覚えのある人もいるだろう。そのとおり。これは昨年末来,話題になっていた,スウェーデン・Anoto社が開発した「アノトペン」(4月26日の記事)の,日本でのライセンス先2社が行ったデモだったのである。
ペンとBluetoothで一体何をやるのか。前回の記事を読み落とした人のために簡単に説明すると,このペンは特製の紙とのセットで初めて利用できる。特製の紙(アノト・ペーパー)にはごく小さな無数の点(ドット)が印字され,そのドットパターンが2ミリ四方ごとに微妙に異なっている。これはある数学的なパターンに基づいており,ペンが紙のどこの部分にあるのか識別できる仕組みだ。
一方,ペンの先の部分(ペン先のすぐ下)には赤外線カメラが組み込まれており,これでパターンを読み取る。この処理は1秒間に100回(100ショット)行うことができるという。データはすぐさまペン内にある画像処理用の専用プロセッサで処理され,パターン上の座標を計算する。これで,ページ上のどの位置をペンが通ったかがわかるわけだ(つまり実際の描線を読み取るのではなく,ドットパターンからペンの動きを算出するわけだ)。
ペン内にはメモリがあり,A4サイズの書き込みを約50ページ分ぐらい一時保存できるが,このペンのウリはもちろんBluetooth。データをBluetoothトランシーバで飛ばし,PCや携帯電話に転送して,画像を表示させることができるのである。
日本側では,デジタルペン側をパイロットと三菱鉛筆の2社,専用紙側をコクヨとダイゴーの2社がAnoto社からのライセンシーとなって,実用化へ向けた研究開発を進めている。
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三菱鉛筆ブースでの展示。なかなか力が入っている |
かなり大掛かりな仕組みだが,これがBluetoothの面白い使い方だということは確かだ。ペンの提供する「未来」とも言える。だが,会場での説明を聞いていると,現時点ではいろいろ問題があることもわかった。そして,それは,現時点でのBluetoothの問題とも二重写しになってくる。