News 2002年9月27日 11:05 PM 更新

非接触型から顔の“鍵”まで――ICカードフェア2002(1/2)

ICカード関連の展示会「ICカードフェア 2002」が都内で開催された。非接触型ICカード技術「Felica」やその応用製品、「ICカード」+「顔の“鍵”」でセキュリティをより強固にする顔認証システムなど、注目の展示を紹介したい

 ICカードが、本格的な導入段階を迎えている。特に近年は、カードの抜き差しが不要な非接触方式の台頭で利便性が一気に高まったことが普及を加速させている。e-Japan構想など政府の後押しもあり、IT社会実現の起爆剤としてもICカードへの期待は大きい。

 9月26、27日に都内で開催されたICカード関連の展示会「ICカードフェア 2002」では、ICカード、ICチップ、ICタグに関する最新技術動向や応用製品、各種サービスの展示が行われ、ICカードによって実現する本格的なIT社会の将来像が紹介された。


ICカード関連の展示会「ICカードフェア 2002」

 2001年11月からスタートしたJR東日本のICカード乗車券「Suica」は、利用者が半年で400万人を突破したという。また、面倒な小銭の出し入れが不要となるプリペイド型電子マネー「Edy」は、コンビニエンスストアのam/pm全店で今年7月から運用が始まった。Suicaは自動改札機にかざすだけ、Edyはレジ前にあるリーダ/ライタに置くだけという非接触方式の“簡便さ”が、普及の一因となっている。

 このSuicaやEdyで使われているICカードには、ソニーと独Infenion Technologiesが開発した非接触ICカード技術「FeliCa」が採用されている。同社のブースでは、このFeliCa技術の説明が行われていた。


非接触ICカード「FeliCa」の仕組み(左)とさまざまなFeliCa仕様のICカード(右)

 交通系ICカードの共通化を定めた「日本鉄道サイバネティックス規格」に準拠したFeliCaは、国内だけでなく香港やシンガポールなど世界各国で累積3000万枚以上の納入実績を誇る。ICチップに8ビットのRISC系CPUを搭載し、データの読み書きが約0.2秒という高速処理や、強固なセキュリティシステムが特徴だ。ICカードとリーダ/ライタとの通信距離は、Suicaが約10センチ、Edyが3ミリと意外に短い。

 「実はこの数値は、ユーザーが非接触型ICカードを“能動的”に使うための最適な距離。FeliCa自体は、技術的には1.5メートル離れても届く仕様になっているが、通信範囲があまりにも広いと別のユーザーのカードにも反応してしまう」(ソニー担当者)。

 凸版印刷のブースでは、このFeliCaをPCセキュリティに応用したシステムを紹介していた。PCからの機密漏えいを防止するこのシステムは、ソリトンシステムズのPC認証アプリケーション「SmartOn」とFeliCaの汎用リーダ/ライタを組み合わせ、ICカードの所持者だけがPC上の情報をアクセスできるようにするもので、10月から販売開始するという。


FeliCaをPCセキュリティに応用したシステム

 ICカード+ライセンス+USBリーダ/ライタで約9500円(USBリーダ/ライタを1000台受注の場合)と価格の安さも特徴。「FeliCaを採用した理由の1つが、トータルコストを下げられる点。特にUSBリーダ/ライタが2000-3000円と、他方式のリーダ/ライタに比べて安かったのが決め手となった」(凸版印刷担当者)。

各社が注力する電子政府関連

 このほかにも凸版印刷のブースでは、2003年8月から運用が始まる住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)で利用される住民基本台帳カード用のICカード「Smartics-AD」と、その発行機が紹介されていた。


住民基本台帳カード用ICカード「Smartics-AD」

[西坂真人, ITmedia]

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