News 2002年9月27日 11:15 PM 更新

非接触型から顔の“鍵”まで――ICカードフェア2002(2/2)


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 今回のICカードフェアではこのような住基ネット関連が目立ったほか、富士通のブースではICカードを利用した電子投票システムを紹介するなど、「電子政府関連」の展示が数多く見られた。


ICカードを使った富士通の電子投票システム

 今年の6月23日に、岡山県新見市の市長・市議選で全国初の電子投票が実施された。新見市で使われたのは富士通のシステムではないが、同社のシステムも採用候補に上がっていたという。新見市の時は投票データの記録メディアとしてコンパクトフラッシュが使われたが、同社のシステムではMOを採用。「一般で使われているMOとは違い、絶対に外部からデータを改ざんできない保護機能を持っている。セキュリティの面では、当社のシステムの方がより強固に仕上がっている」(富士通担当者)。

「ICカード」+「顔の“鍵”」で、セキュリティをより強固に

 ICカードを使った入退室や勤怠の管理システムは、今や企業では一般的になりつつある。社員証にICカードを利用する企業も増えてきた。しかし、かざすだけで認証されてしまうICカードでは、本人以外がなりすまして使用することも簡単にできてしまうため、セキュリティ上の課題も多い。

 この問題を解決する方法の1つとして紹介されていたのが、東芝ブースの「ICカード対応顔照合システム」。同社独自の顔認証エンジンを使い、CCDカメラから入力した顔の画像からさまざまなデータを抽出してシステムとICカードの両方に顔データを記録。そのデータをもとに本人認証を行うセキュリティシステムだ。会場では、コンビニにあるようなマルチメディア端末に顔照合システム一式を組み込んだ端末機が参考出品されていた。ユーザーは、自分の顔の特徴を数値化したデータが入ったICカードを端末機に差込み、画面に向かう。その下にはCCDカメラが搭載されており、これで本人認証が行われる。


顔照合システム一式を組み込んだ参考出品の端末機

 身体的特徴をもとに本人認証を行なう「生体認証」では、比較的データ化しやすい指紋や虹彩(網膜)などが一般的。逆に、表情や経年の変化がある人間の顔は、生体認証には難しいとされてきた。それが昨年10月に、オムロンが顔認識入退室管理システム「Face Key」を発売したのを機に、一気に脚光を浴びた。


オムロンブースで紹介していた顔認識入退室管理システム「Face Key」

 オムロンのシステムでは、顔認証にモノクロの静止画データを使うが、東芝の顔認証エンジンは、動画像を用いた認識アルゴリズムを採用。「わずか1秒で認証を行い、認識率も高い」(同社)のが特徴だ。

 それでも、生体認証で広く普及している指紋認証と比べると、認識率/認証スピードともに劣るという。では、顔認証にはどのようなメリットがあるのだろうか。

 「顔による生体認証の利点は、なんといっても認証時に顔のデータが記録として残るところ。他人がなりすました時に、顔の画像が証拠となるので追跡しやすい。さらにICカードと併用することで、より強固なセキュリティを築ける。また、認証データはCCDカメラで取り込むため、指を置いたり眼球をスキャンされることもなく、ユーザーに不快感を与えない」(東芝担当者)。

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[西坂真人, ITmedia]

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