キューブ型筐体をベースとして自作する場合、筐体内部にスペースが限られるため、内蔵パーツのバッティングや配線の工夫、エアフローの確保など、組み立て時に注意すべきポイントが多い。
その点、組み込んだ状態で届くBTO PCであれば安心感がまるで違う。もともと、Shuttle製のケースとマザーボードのコンビが採用され、それだけ内部設計に無駄が少ないが、きっちりとした配線処理も同社ノウハウの跡がみられる。
では内部を見ていこう。
すべてのベイが埋まっているため、スペースの余裕は少ない。しかし、ファンやメモリに触れているケーブルはなく、フロント部分まで空気の流れが行き通るだけのスペースは確保されている。
内部を混雑させがちなフラットケーブルは適度な長さで、コンパクトに折り込まれていた。メモリスロットが3.5インチベイ下の空間にあると増設時に苦労するが、ケーブルの障害がないだけで断然組み込みやすくなるだろう。
静音PCと銘打つCube51D-ITMの最大の特徴となるのがヒートパイプを使ったICE TECHNOLOGYの採用だ。ヒートシンクが吸い上げた熱は4本のヒートパイプを通って、内部の熱と一緒にケースファンにより排気される仕組みとなっている。
大型のケースファンをCPU冷却用としても兼ねるような設計となっており、ファン数の削減、大型化によって静音化が図れるうえ、ケース全体の空調が格段にスムーズになる。発熱量の多いCPUも搭載できるため、メインマシンとして必要十分に活用可能である。
CPUの載せ替え時には、当然ながらヒートパイプを外す必要がある。内部が狭いためさすがに手間取るが、ケースファンを外してしまえば、通常のCPUクーラーと同じ要領で作業可能だ。取り付け時は、ケース側から固定できるので、見た目よりも扱いやすかったのも好感が持てる。なお、ヒートパイプの裏側は、アルミより熱効率の高い銅のプレートでできている。
マザーボードは、チップセットにSiS651を採用するShuttle「FS51」となる。2002年の夏から見かける息の長い製品ではあるが、AGPスロットを搭載し、CPUはFSB 533MHzのPentium 4/3.06GHz、PC2700 DDR SDRAM 最大2GBまで搭載可能となっている。
では、基本性能をベンチマークでチェックしてみよう。
今回の構成は、別途グラフィックスカードを搭載せず、内蔵グラフィックス機能を用いるものとしたため、3D機能はさすがに遅れをとっているのはいたしかたない。3Dゲームを楽しむならグラフィックスカードの装着が必須だろう。
3D Mark2001SEのベンチマーク測定結果 | |
1024×768 32ビット | 783 |
1024×768 16ビット | 782 |
拡張の余地が少ないので大幅なパワーアップは難しいが、最大の魅力は、静音性と、記録型DVDドライブ、光デジタル出力インタフェース搭載を活かしたバランスの取れた構成そのものである。個人用AVマシンとして使うにはもってこいの製品といえるだろう。
BTOメニューによりパワーアップするならグラフィックスカードを追加し、別途外付けTVチューナー付きビデオキャプチャーカード、光出力に対応したアンプとスピーカーなどを揃えるとより楽しめるAVマシンになることであろう。
なお、このITmediaオリジナル7万円モデルと同じものをITmedia読者用にご用意いただいた。そのまま購入していただくもよし、BTOにてもう少しパワーアップするもよし。少しでも「おっ。いいかも」と思った読者は、この機会にぜひともお買い求めいただきたい。(表示価格は税込み)
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