超低電圧版Dothanコアで駆動時間そのままパフォーマンスアップ──dynabook SS SX/2211LNKW(1/2 ページ)

» 2004年07月27日 16時49分 公開
[平澤寿康,ITmedia]

 発表になったばかりの最新CPUである超低電圧版Pentium M 733を採用することで、バッテリー駆動時間を犠牲にすることなくパフォーマンスアップの実現を目指すdynabook SS SX/2211LNKW。従来のSS SXで評価の高かった仕様はそのまま継承している。このレビューではその使い勝手を中心に評価していくことにしたい。

 ちなみに、今回試用したのは試作機のため、実際の製品版とは若干仕様面で異なる部分がある可能性がある点はあらかじめお断りしておく。

dynabook SS SX/2211LNKW

超低電圧版Pentium M 733でアップするパフォーマンス

 90ナノプロセスで製造されているDothanコアを採用したPentium Mは、これまで主にA4サイズノートPCを中心に採用されてきた。なぜなら、DothanコアのPentium Mは発熱量が多く、強力な放熱機構が不可欠となっていたため、薄型・小型ノートPCへの搭載が困難であったためだ。

 しかし、ようやく発表された超低電圧版Pentium Mによって、サブノートクラスの筐体にもDothanコアのPentium Mを搭載できることになった。dynabook SS SX/2211LNKW(以下SX/2211LNKW)に搭載されているCPUも、このDothanコアで実クロック1.1GHzの超低電圧版Pentium M 733である。

 従来モデルでは、Baniasコアの超低電圧版Pentium M/1GHzが採用されていたので、動作クロックでは0.1GHzのアップとなる。それに加え、DothanコアのPentium MではCPUに内蔵されるL2キャッシュ容量が2MBと、BaniasコアのPentium Mから倍増しており、クロック数以上のパフォーマンスアップが期待できる。

 もちろん、パフォーマンスが向上したからといって、その分バッテリー駆動時間が短くなってしまってはサブノートPCとしての魅力が失われてしまうが、SX/2211LNKWではバッテリー駆動時間が約4.8時間と、従来モデルからほとんど変わっていない(従来モデルは約5時間)。クロック上昇分を考えると、十分満足できるバッテリー駆動時間を実現していると考えていいだろう。

 また、従来モデル同様、CPUの冷却ファンが搭載されている点も特徴だ。最近のこのクラスのノートPCではファンレス仕様のものが多くなっている。ファンレス採用マシンでは、CPUの熱を筐体に拡散して放熱する構造になっており、使用時に筐体がかなりの熱を持ってしまう。また、場合によっては放熱が追いつかずにCPUの動作クロックが低下してしまう場合もある。

 それに比べSX/2211LNKWでは、放熱が追いつかなくなった場合に空冷ファンが動作し強制的に冷却するようになっているため、常にCPUのパフォーマンスを最大限に引き出せる。

 空冷ファン動作時にはファンレス仕様のマシンに比べてたしかに音が出るものの、騒音自体はそれほど大きくなく、図書館などの静かな場所で利用する場合でもまったく問題ないレベルだ。

CPU以外のハードウェア仕様は前モデル踏襲

 SX/2211LNKWのCPU以外のハードウェアは、基本的に前モデルの仕様がほぼそのまま踏襲されている。

 チップセットはIntel 855GMを採用し、グラフィックス機能はチップセット内蔵機能が利用されている。メインメモリは標準で256Mバイト(PC2100 DDR SDRAM)をオンボードで搭載し、最大1280Mバイトまで増設が可能。HDD容量は40Gバイト。液晶ディスプレイには、12.1インチ1024×768ドット表示対応低温ポリシリコンTFTパネルを採用。

 また、標準でIEEE 802.11b/gのデュアルバンド対応無線LAN機能を内蔵する。このように、基本スペックは従来モデルとほとんど同じとなっている。スペック面に大きな不満があるわけではないが、HDDは60Gバイト以上の、より大容量のものを搭載してもらいたかったところだ。

 用意されているインタフェースが豊富なのも従来モデル同様だ。本体左側面には、CF TYPEII対応のスロットとSDカードスロット、USB 2.0対応のUSBポート、LAN、さらにフルサイズのVGAコネクタが用意される。

 また本体右側面には、TYPE II×1のPCカードスロット(CardBus対応)とUSB 2.0対応のUSBポートが二つ、そしてモデムコネクタをそれぞれ搭載している。

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