背面には中央に大きく2.1インチの液晶モニタがある。これは16:9のワイドサイズで、その上に「STD/WIDE」切替スイッチがあるのがひとつの特徴だ。スイッチをワイドに切り替えると、上下がトリミングされて16:9のハイビジョン比率になった写真を撮影できる。
同等の機能を持つデジカメはほかにもあるが、メカニカルスイッチでここまで目立つ場所にその機能を置いたのはこのシリーズだけ。トリミングすることで解像度は落ちるが、元々600万画素(出力画素数は1200万画素相当)あるので、3968×2232ピクセルと十二分すぎるほど画像サイズは大きい。
ちなみに4:3のスタンダードモードでは最大4048×3040ピクセルである(横幅の微妙な違いが不思議)。これが12Mモードで、その下に6Mモード、3Mモードなどが用意されているので、ファイルサイズを気にする人は6Mモードを常用するのもいいかも。
液晶モニタはワイドなので、スタンダードモードだと左右に黒いスペースができるが、このときの方が実質的な画角は広い。
モニタの右には円筒形のダイヤルがある。これがユーザーインタフェース上のポイントだ。絞り値やシャッタースピード、プログラムソフトのほか、左下の露出補正ボタンを押しながら回すと露出補正、連写ボタンを押しながら回すと連写モードを変更できる。
連写にはブラケットや4コマまでの連写に加え、シャッターを押している間は連写をし続け(最大40コマ)、指を離す直前の4コマだけを記録するサイクル連写、0.6秒間隔で最大40コマまで連写するMEGA連写(ただし、画像サイズは2M相当に固定される)も使える。
ボディ前面にはレンズ横に「C-AF」ボタンがあるのが特徴だ。オートフォーカス時はこれを押している間だけコンティニアスAFモードになるし、エリア選択AF時はこれを押しながら十字キーを動かせばAFエリアを選択できるし、マニュアルフォーカス時はこれを押しながらジョグダイヤルを回すことでフォーカスを手動で合わせられる。なかなか凝ったインタフェースになっているのである。
なお、FinePix F810のバッテリーは薄型のリチウムイオン充電池。容量は710mAhとさほど多い方ではなく、バッテリの持ちは標準レベル。記録メディアはxDピクチャーカードだ。
便利なのはクレードルが付属していること。クレードルに載せるだけで充電できたり、クレードルのスイッチ操作でパソコンへの画像転送が簡単にできたり、背面の液晶モニタを使った画像再生もできる。大容量のメディアを1枚入れておけば、ほとんどメディアの出し入れをすることなく過ごせるのはなかなか快適だ。
まとめてみよう。FinePix F810は最近流行の薄型軽量デジカメに比べるとやや大ぶりではあるものの、操作感は実に快適。サクサク動くし構えやすい。マクロ時にワイド端固定されることが気になるくらいだ。
F710と比べると感度面やダイナミックレンジで不利だが、逆に解像感は高く、ISO80からスタートできる分ノイズも抑え気味にできるし、一般的なCCDを使う製品に比べると高感度に強くて、300万画素モードながらISO800までフォローしてくれる。レンズのズームレンジもなかなか扱いやすい。
ワイドモードは実質的にトリミングになるだけであって必然的な機能には思えないが、それでもこれがあるとついついワイドで撮って遊んでしまう魅力がある。レンズが28ミリからの4倍ズームと、もっと広角ならいうことなかったのだが、しょうがあるまい。
よって、マニュアル系に強い高級コンパクトデジカメを探しているなら、有力候補にして間違いはない。幅広いシーンで使えるだろう。個人的にはFinePixシリーズの中でこれが一番楽しめると思う。
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