前述したように背面の中央には1.5インチの液晶モニタがある。1.1インチだったUに比べるとボディがひとまわり大きい分、1.5インチの搭載が可能になった。
液晶パネルは屋外では透過型として作用するハイブリッドタイプで、光学ファインダは持たない。最近のモニタとしては小さめで7.68万ドットと解像度は高くないが、視認性は悪くない。液晶パネルの解像度が落ちた分文字も大きくなっているが、もともと多機能を駆使するデジカメでもないので気にはならない。
液晶モニタの下にはボタンが画像サイズ選択/削除、ディスプレイ(バックライトオン/オフ)、メニューと3つ並び、さらに右側に十字スティックがある。基本構成は他のコンシューマ向けサイバーショットに準じた形だ。
ISO感度はオートと100-400、ホワイトバランスはオートと4種類のプリセット(ただしモードによってはオートしか選べない)、AFは5点測距のマルチポイントかスポット、フラッシュはスローシンクロ発光も可能、彩度やコントラスト、シャープネスの強弱調整が可能であるなど、撮影機能も他のサイバーショットに準じている。機能的な問題はないだろう。
シーンモードはメニューの中にあり、夜景・夜景&人物・風景・スノー・ビーチ・ソフトスナップ・キャンドルの7種類が用意されている。
連写は4枚までで、動画はMPEG-1形式で640×480/30fpsが可能だ。
バッテリーはTシリーズなどと同様のインフォリチウム「NP-FT1」。このボディに入るわけだから非常に小さいが、CIPA規格で約250枚。多くの薄型コンパクト機が200枚以下であることを考えると持ちはなかなかいいと言える。
面白いのは底面。三脚穴はないが、小さなねじ穴が切ってある。ここに本体に付属する三脚アダプターを装着すると三脚が利用可能になる。三脚穴に対するニーズは非常に高いらしく、苦肉の策であろう。
つまるところ、質感重視の大人向けに進化したUという印象だ。ただUの持っていたスピード感はやや失われた。特に起動速度はもうちょっと速いとうれしい。
もう一つ気になったのはマクロ。シームレスに近接距離撮影ができるのはうれしいが、最短距離が12センチに止まっているのだ。こういうポケッタブルで常時バッグに忍ばせたりぶら下げたりするデジカメは小物や料理などマクロな被写体を撮ることが多いと思われるので、もうちょっと頑張ってほしかった。
だが32ミリからの3倍ズームはとても使いやすいし、カメラの性格を考えると望遠よりは室内や身近な撮影に強い広角側に少し動かしたのは高く評価したい。機能的にも必要最低限は揃っており、画質もまとまっているし、バッテリーの持ちもいい。カメラとしての個性はあまりないがその分デザインで勝負といった感じか。
「セクシーなサイバーショット」というほど「セクシー」かは別にして、このスタイルが自分に似合う、と思ったら買っても損はないまとまったモデルだ。
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