ギガビットEthernetに対応したパーソナルNASの新モデル――ロジテック LHD-NAS250V(2/2 ページ)

» 2004年10月27日 18時06分 公開
[平澤寿康,ITmedia]
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 従来モデルとの違いとして最も大きな部分は、ネットワークアダプタが100BASE-TX対応から1000BASE-Tに強化されている点だろう。ギガビットEthernetに対応したことにより、ファイル転送速度が大幅に向上。実際に試用機でファイル転送時間を検証してみたが、1000BASE-T接続時には、100BASE-TX接続時と比較して30〜40%程度の高速化が実現されている。

 数Mバイトのファイルを一度に多数転送した場合には、転送速度の向上度合いがやや少ないものの、大容量のファイルを転送した場合には、その差が歴然と現れている。パソコンを使ったテレビ録画が日常的に行われるようになり、数Gバイトクラスの大容量ファイルを扱うことも珍しくなくなっているが、1000BASE-Tで接続した状態では1Gバイトほどのファイルでも1分半弱で転送できており、実用性は大きく向上ししている。

ファイルの種類 1000BASE-T 100BASE-TX
WMAファイル(156ファイル約980Mバイト、1ファイル平均6Mバイト) 約1分21秒 約2分07秒
MPEG2ファイル(1ファイル約1.1Gバイト) 約1分28秒 約2分27秒
ファイル転送時間

Webブラウザ上で設定可能、各種バックアップツールも付属

 NASの各種設定は、従来モデル同様、Webブラウザ経由で独自の設定メニューにアクセスして行う。「Logitec NAS Assistant」という付属の管理ツールを起動すれば、ネットワーク上のNetPocketが自動的に検索され、管理ボタンをクリックすればWebブラウザが起動し設定メニューに接続される。

 詳細な設定を行うにはネットワーク関連の知識が必要だが、標準でDHCPクライアントとして動作するように設定されており、単純にネットワークに接続してネットワークストレージとして利用したいだけであれば、IPアドレスを設定せずともきちんと動作する。これならネットワーク初心者でも戸惑うことなく利用可能だ。

 対応するネットワークプロトコルはTCP/IP、AppleTalk(管理用のSNMP、内蔵時計設定用のNTPにも対応)でファイルシステムはSMB(CIFS)、AFP、NFSとなっており、Windows、Macintosh、UNIX/Linuxと各種クライアント環境に柔軟に対応可能だ。もちろん、各クライアント間でのファイル共有も可能だ。また、NASシステムはFreeBSDがベースとなったSynology製のNASシステムで、こちらも従来モデル同様である。

 また、Windows用の各種バックアップツールが付属している。クライアント側からNASに自動的にファイルのバックアップを行う「LogitecNAS Client Backupツール」、NASに保存されているデータのバックアップを行う「LogitecNAS Backupツール」、さらにNASに登録されているユーザーデータのバックアップを行う「MediaKeeper」の3種類だ。

 このうち、クライアントデータのバックアップを行うLogitecNAS Client Backupツールは、クライアント側のデータを監視し、追加や変更が行われた場合に自動的にNASにバックアップするのはもちろん、データの暗号化や圧縮もサポート。さらに、最大20世代にわたる世代管理も可能。最大で20世代まで世代をさかのぼってファイルを保存・管理できるため、単純にファイルをバックアップするだけというシステムよりも、高度で安全なバックアップが可能となる。

Ligitec NAS Assitantを起動すれば、ネットワーク上のLHD-NAS250Vが検索され、管理ボタンを押せば設定メニューが開く
設定メニューはWebブラウザ経由で開かれる。こちらで、ユーザー登録やアクセス制限などの設定が行える
ユーザーごとにアクセス可能なフォルダや権限などの設定が可能
シリアルポートが用意され、UPSを接続して運用できる。設定メニューにもUPS関連の設定項目が用意されている
クライアント側のデータをNASに自動的にバックアップする「LogitecNAS Client Backup」。最大20世代まで世代をさかのぼって管理できる
NASに保存されているデータをバックアップする「LigotecNAS Backup」。NASに保存されているデータも簡単にバックアップ可能だ

本質はNASだが、小型PCとして利用するのも面白い!?

 さて、このLHD-NAS250V、本体背面にVGA、USBなどの各種ポートが用意されている。NASとして利用するには、これらポートは不必要なのだが、なぜか各ポートとも隠されることなくアクセスできるようになっている。また、既に書いたように、USBキーボードと外部ディスプレイを接続して起動すると、ディスプレイにBIOSメニューやOSの起動画面などが表示され、キーボードを使ってBIOSもしっかりと操作可能だった。

 そこで、内蔵HDDを手持ちのHDDに交換し、キーボード、USB接続のCD-ROMドライブなどを接続し、Windows XPのインストールディスクを利用して起動してみたところ、正常にWindows XPのセットアップメニューが起動し、インストールおよび動作が可能だった。つまり、NASとしては当然だが、超小型PCとしても活用できる可能性が非常に高いのである。

 自由にOSをインストールして遊んでみるのもいいし、ギガビットEthernetカードが取り付けられているPCIスロットに、LowProfileのTVキャプチャカードを取り付け小型のTV録画マシンを作ってみるのもいいかもしれない。

 当然、NAS以外の用途で利用するのはメーカー保証外となるので、自己責任のもとで試す必要がある。また、内蔵されているHDDに別OSをインストールした場合には、NASシステムも復元できないことになってしまうため、内蔵HDD以外に別途HDDを用意する必要もあるだろう。当然だが機能面の拡張はかなり厳しい。しかも、オンボードの100BASE-TXのLANポートは外部からアクセスできないため、1000BASE-TのLANカードを外すとネットワーク機能も利用できなくなってしまう。とはいえ、超小型PCに興味のあるユーザーにとっては、かなり魅力的な製品と言えるかもしれない。

 NASとしての機能面は申し分なく、ギガビットEthernet対応によってファイル転送速度も向上。アクセス管理やセキュリティ機能も充実しており、個人ユースやSOHOユースはもちろん、企業ユースにも十分対応可能と言える。そして、一部のユーザーにとっては、NASとしてはもちろん、超小型PCとして利用できる可能性も秘めている。そういった意味ではNASを増設・新設しようと考えているユーザーはもとより、小型PCで遊びたいというユーザーも取り込める、なかなか魅力的な製品と言えるのではないだろうか。

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