インフラ整備で一躍ヒット商品に──いまどきのWebカメラ事情(2/2 ページ)

» 2004年12月13日 19時56分 公開
[粕川満,ITmedia]
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インフラの整備で需要に火が付く

 これら3つのカメラはそれぞれに売れているようだが、中でもWebカメラの躍進ぶりが目立つ。

 実は、WebカメラあるいはUSBカメラという商品自体の歴史はかなり古く、5〜6年以上も前から存在した。しかし、ここ2年ほどの間に売り場の占有面積が増えているところを見ると、PCの主要な周辺機器としての座を固めつつあるようだ。

 このように急速にWebカメラが普及した背景にはブロードバンドの存在がある。インターネットを経由して動画を送るためには、小さい画面サイズであったとしても、それなりの帯域が必要となるからだ。以前のナローなインターネット環境では“カクカク”した動画しかやりとりできず、せっかくWebカメラを購入しても、動画をメールに添付する「動画メール」や静止画を撮影する「スナップショット」機能を使うのみ……といったケースが多かった。

 これではあまり面白くない。そういうわけで長い間Webカメラはぱっとしない存在だったのだが、ブロードバンドの有り余る帯域によって、一躍ヒット商品に躍り出たのである。

 もう一つ、Windows XPに標準でバンドルされる「Windows Messenger」や「MSN Messenger」、あるいは「Yahoo! Messenger」などのソフトウェアが手軽に、そして無料で入手できるようになったことも大きな要因だ。おもなメッセンジャーソフトでは、ビデオチャット機能がサポートされているからだ。

メッセンジャーソフト「MSN Messenger」のビデオチャット画面

 これらのソフトが出た当初は、動画を使ったビデオチャットではルータを越えられないなどの問題もあったが、現在ではルータ側の対応やソフトのバージョンアップによって、Webカメラを取り付ければすぐにビデオチャットが行えるようになっている。

 店頭での評判を聞いてみても、「購入する方の9割はビデオチャットで使用されるようです(ビックカメラ新宿西口店・岸田耕太氏)」とのことなので、やはりメッセンジャーの登場がWebカメラの普及に大きく貢献しているようだ。

ビデオチャット以外にも、さまざまな用途に活用可能

 Webカメラというとビデオチャットばかりが注目されるが、もちろん他の用途にも使える。たとえば、静止画の撮影はもちろんのこと、動画を撮影してファイルに保存したり、動画をメールで送信したり、あるいはWeb上のサービスと連携させて動画を公開したり、動くものだけを検知させて監視カメラのように使ってみたり……と、さまざまなことができるのだ。

 これらの機能はほとんどがソフトウェアで実現されているので、購入時にはどんなソフトが付属しているのかもチェックしたほうがいい。また、ソフトが付属していない場合でも、同様の機能を持ったソフトがオンラインで入手できることがあるので、それらを使うのも手だ。

 ちなみにWebカメラには、マイクロフォンを内蔵しているものもある。もちろん、アナログマイクをPCのマイク端子に接続して使ってもいいのだが、わざわざマイクを購入するくらいならマイク付きのものを買った方がいい。ビデオチャット以外にも、音声チャットやP2P無料通話ソフト「Skype」などで使えるので、マイク付きのほうが何かと便利なのだ。

気軽に買える価格が普及に一役

 Webカメラは画素数や受光素子の違いなどによって価格に差があるが、おおむね1万円以下で入手できるようだ。「気軽に買える価格」であることも、Webカメラがヒットしている大きな要因であろう。

 640×480ドットで撮影できる30万画素クラスならば、CCD素子のもので7000円〜1万円、CMOS素子であれば5000円前後が相場だ。中には2000円以下というものもあるが、これらはほとんどが10万画素で、画質が劣るためか、前出の岸田氏によれば「安くはあるものの、売れ行きは30万画素クラスほどではない」とのことだった。

 CCD素子とCMOS素子の違いは、主にコストの差である。一般にはCCDの方が感度が高いので画質も良いと言われているが、CMOS素子も性能改善が著しいので、仕様だけで判断せず、実際に自分の目で画質を見比べてから購入した方がいいだろう。

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