PCユーザーにとって重視したいポイントとしては、BDにしろHD DVDにしろ、DVD読み込みに関しては互換性を持たせているという部分だ。しかし、PC向けのドライブとしては、CD-ROMの読み込みやCD-R/RWへの対応は必須と言えるだろう。
このCD-ROMやCD-R/RWに対応させるには、ピックアップを3波長対応にする必要があり、そのため余計にコストがかかってしまう。ただ、多くのメーカーのプロトタイプドライブにはCompactDiskのロゴが付いており、3波長で行く模様だ。
しかし、2波長のドライブ(BD、HD DVD共)をリリースする予定のメーカー(BDではパイオニア、HD DVDではNEC)がある。奇しくも両陣営に別れた形だが、2波長を採用する理由は同じで、すでにCD-ROM、CD-R/RW、DVD±RWなどに対応するドライブを所有しているユーザーが多く、それに追加する形でBDまたはHD DVDドライブを購入するだろうという予測をしているためだ。
NECのプロトタイプのように、外付けにすることで、5インチベイが足りなくてPC本体に内蔵できない場合への対応を考えているようだが、説明員によると、このまま2波長で行く予定だが、場合によっては3波長への対応も検討するということだ。これはパイオニアも同様で、3波長にした場合のコストの問題が解決できれば、すぐにでも対応したいという話である。
両陣営の対決は、BDとHD DVDに両対応したドライブをリリースすれば解決してしまう。しかし、東芝にその意志はないようだ(関連記事参照)。ソニーとしてもディズニーを引っ張り込んだ以上、おいそれとHD DVDに傾くわけにはいかないだろう。そうであるならば、その間を取り別のメーカーがBD/HD DVD両対応ドライブを出してしまえばよい。
今回のCESの取材で、HD DVD陣営でピックアップに関する仕事を行っている人に話を聞くことができたが、彼は「コスト面ではHD DVDが圧倒的に有利です。なので当初はHD DVDが優勢であることは間違いないと思います」という。
しかし、BDを否定せず、その優位性も認識していた。「BDのポテンシャルは高いと認識しています。コストを考慮しなければ、容量的な面でも有利です。この先5〜6年、HD DVDが先行したからといって、コストの解決ができれば10年後にはBDが主流になっているかもしれない」というのだ。
次期プレイステーションへの採用によりBDの価格が一気に低下するなどの追い風が吹けば、BD陣営が民生用でもリードする可能性はあるかもしれない。しかし、いつまでも消費者を右往左往させるような真似だけはしてもらいたくない。いっそのこと民生機にはHD DVDを標準とし、PC用には容量的なメリットを持つBDを搭載するということで、両陣営の住み分けを行ってしまえばよいと考えるのは、虫が良すぎるであろうか。
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