さて、実際に組み立ててどんなものなのか見てみよう。まずは本体のカバーを外し、さらにドライブのマウンタを外してしまうと、内部はもうすっからかんになる。これぐらいスカスカだと、CPUの取り付けや配線などはマザーボードをケースに設置したままでできそうだが、実際にはマザーボードを外さないと作業は面倒。なぜならば、USBやIEEE 1394、ケースファンなどの端子がそのままでは手が入らないような位置にあったからである。
マウンタがない状態なら、マザーボードを外すのはさほどやっかいではないが、唯一、背面インタフェースの手前にあるネジだけは、かなり苦しい角度でドライバーを回さないといけなかった。真上に電源ユニットが位置するためである。もっとも、マザーボードの穴の位置はそう簡単に変えるわけにいかないので、これはソルダムに非があるわけではないのだが。
マザーボードを取り外してしまうと、あとの作業は非常に楽である。マニュアルに従ってCPUやメモリを取り付け、マニュアル上で指示されたとおりにケーブルを配線するだけ。作業としてはケーブルをマザーボード上の所定のピンに差し込んでいくだけで済む。なにかの端子がない、あるいは余るということがほとんどないのがベアボーンのよいところだ。マザーボードとケースを別々に買ってきたのではこうはいかないだろう。
再び組み立てたのち、電源を入れてみる。CPUファンの音がけっこう大きい。この冷却ファンは回転数可変のタイプで電源を入れた直後にとりわけ高回転で回るせいもあるが、SC-JU100に搭載されたほかのファン(12cmの排出ファンと電源ユニット内蔵の冷却ファン)が比較的静かなために少々気になる。もっともPrescottコアのPentium 4対応なので仕方がないといえばそうなのだが。
分解・組み立てを通じて評価したいのは「作業の容易さ」である。単にスペースが広いというだけではなく、細かい部分──それはネジであったり、ドライブマウンタの接合部分であったりする──が実にていねいに作られていて、作業がやりやすいのである。
たとえば、ドライブ類のマウンタは上部をネジで留めるのだが、それとは別に前面にある突起と穴がかみ合う構造になっているため、ズレたりすることもなく気持ちよくすっぽりと収まる。
カタログスペックには現れにくい部分だが、こうした質の高いつくりに自信を持っているからこそ「ケースで勝負」に出られるのだろう。
SC-JU100の実売価格は今のところ5万円半ばが多いようだ。かたや同じマザーボード+電源ユニット+CPUファンを使ったAOpenのXC CUBE EZ915が3万円代前半。2万円以上の価格差は無視できないほど大きいが、デザインや作業のしやすさ、ケースの仕上がりなどを考えると、XC CUBEが無条件勝利とも言い切れない。
デザイン以外の部分では、SC-JU100がウリのひとつにしているRAID対応は正直いってそれほど魅力的とは思えないが、HDDと記録型DVDを2台ずつ組み込んだメディアサーバ用、あるいはHDDを3台組み込んだファイルサーバ用として使うのであればかなり魅かれる存在だ。あるいはクライアントPCとして使う場合でも、必要にして十分なインタフェース類はそろっているので、機能面で困ることはないだろう。
世間にはSC-JU100よりも安いPCはいくらでも存在するが、机やオーディオラックに置いても違和感がなく、なおかつこれだけの数のドライブを収納できるケースはそう多くはない。万人に向くとは思えないが、このようなケースを待ち望んでいた人はあんがい多のではないだろうか。
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