「いつか見たハコ」マザー逆さケース再び──Enermax「CS-718シリーズ」PCケース(2/3 ページ)

» 2005年03月02日 11時44分 公開
[河野寿,ITmedia]

パテントを持っているアナタは誰ですか

 外側はこれくらいにして、内部を見てみよう。

 サイドカバーを外すと、真っ先に目にはいるのが透明なダクトである。SilverStoneのSST-TJ06と同じように前方から外気を吸い込み、背面へ熱気を排出する仕組みだ。このような位置にCPUを持ってくるためには、マザーボードを通常とは逆の向きで収納する必要がある。っというわけで、拡張スロットが上に、I/Oパネルが下に来ていたのだ。このあたりの構造もSST-TJ06とまったく同じである。

サイドパネルを開けた状態

 さてこのダクト、やや青みがかっている点を除けばあまりにSilverStoneのSST-TJ06とよく似ている。側面に「Patent No.093106090」と書いてあるところまでそっくりだ。念のため、パテントの番号をSST-TJ06と比べてみると……「!!」

 そう、まるで同じなのだ。よくよく考えてみれば、このダクト、パテントと書いてあるものの「一体誰のパテントなのか」ということにはまったく触れられていない(以前のレビューでもそう思った)。

 「これが台湾」と言ってしまえばそれまでだが、きっと「パテントを持っている人が作っているダクト」という意味なのだろう。この問題に深入りをするとわけが分からなくなりそうな気がするので、今回はさらりと流しておくことにする。

パテントナンバーはいずれも同じ…(上がEnermax下がSilverStone)

 CS-718は、SST-TJ06のようにファンレスのCPUヒートシンクなどがオプションで用意されていないようなので、リテールのCPUクーラーをそのまま使用するか、適当なクーラーユニットを取り付けるしかない。

 しかし、一番いいのはSilverStoneのファンレスヒートシンク(SST-NT01)を使うことかもしれない。なにしろ、ダクト部分はほぼ同じだからすでに動作が検証されているようなものだ。

 サーバとして使うユーザーも多そうなケースなのでExtebded ATXのマザーボードを使うこともできるが、この場合にはダクトの一部にパーツが引っかかるため、ダクトの上部をふくらませる部品と交換して使うようになっている。

 SST-TJ06の場合にはこれが標準では取り付けられていなかったので取り替える必要があったが、CS-718は最初から付けられていた。もっとも、これを付けたところでほど邪魔になるとも思えない部品なので、最初から付けたままの形で成形しておけばよいのではないかとも思うのだが。

Extended ATXに対応した部品ではダクトがふくらんでいる

 ダクトのそばにぶら下がっていた(本来は両面テープで適当な位置に貼り付けられていたらしい)のが、フロントパネルにあった回転ノブで冷却ファンをコントロールするためのカード。すでにダクトの吸入と排出用12センチファンへのケーブルが接続されていた。このあたりもCS-718のオリジナルな部分である。

ファンをコントロールするカード。12センチ冷却ファン2つがすでに配線されていた

 もうひとつCS-718の特徴として、最初からEnermax製の電源ユニットが搭載されているという点も挙げておこう。Enermaxはご存じのように電源メーカーとして有名であるし、ここの電源ユニットを好むファンも多い。

 CS-718に搭載されているのは460ワットの「EG465P-VE(FMA)24P」というモデル。型番からもわかるようにLGA775にも対応した24ピン(20ピンにもなる)のメインコネクタを装備しており、冷却ファンは底面部に9センチ、背面部に8センチのものを使用している。

 また、背面にある回転つまみでファンの回転数を1200〜2500rpmの範囲で変えることができるほか、8センチのファンについてはマザーボードへ回転数を知らせる信号線も出ている。単に大容量というだけではなく、積極的に静音化を狙っている電源ユニットのようである。

電源ユニットのファンは背面にあるつまみでコントロール可能

 このほかの細かい点としては、内部用の温度センサを標準で装備していることや、ケースオープンを検知するためのスイッチが取り付けられていること(これはSST-TJ06にもあった)がちょっと目を惹いた。

HDDや電源回りなどの好きな位置取り付けて温度を調べられる

 ケースの背面部分にある検知スイッチは、もしもケースが開けられた場合に、次回のBIOSの起動時にその旨を表示して知らせる機能を利用するためのもの。スイッチだけあってもマザーボードがそれに対応していないと使えないが、「Chassis Intruder」や「INT Open」といったケースオープン検知用の端子を用意しているマザーボードであれば、たとえPCの電源が入っていなくとも内蔵バッテリによってこのスイッチに感応するため、誰かが開けたことがわかる。

 もっとも、マザーボードごとごっそり持って行かれてしまったら意味はないので、効果は不正なデータコピーが行われた場合などのケースに限るだろうが、サーバとしても使われることが多そうなCS-718だけに、あってもよい機能だろう。

ケースオープンスイッチ

ケースを開けられると「ひゃらららら」という派手なアラームとともにこのような表示がなされる

 これ以外の内部の仕組みはSST-TJ06とほとんど同じだから、簡単に説明することにしよう。3.5インチHDD用の内部ベイは6台分、5インチのオープンベイは4台分、3.5インチのオープンベイは2台分ある。これらドライブ類のマウントは付属の金具で行う。

 ドライブ類やPCI、AGPカードの取り付けは、ネジが必要ない構造になっているので、ドライバーを要するのは、マザーボードの取り付けやケースの開閉、それにケース前面のベイを覆っているメッシュのカバーを取り外すときくらいである。

メッシュのカバーは内側から外せる

使ってみるとけっこう違う

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