本格的に星空を撮りたくなったら、やはり天体望遠鏡だ。実は今の天体望遠鏡の多くに「デジカメ用のアダプター」が用意されている。それを使わない手はない。
ただし、天体望遠鏡といっても、その価格と性能と大きさと重さはピンキリ。本格的なものは何十万円もする。
その中から、この世界でもっともポピュラーで手頃な天体望遠鏡であるミードのETXシリーズをちょっと紹介しよう。
ETXシリーズは軽量コンパクトな天体望遠鏡。普通の天体望遠鏡は専用の三脚が必要だが、ETXシリーズは底面がフラットなので机の上などに置いて天体を見られるのだ(もちろん三脚も利用できる)。2003年の火星ブームのときは真っ先に売り切れたほどの製品。
写真はその中でちょっと上のクラスの「ETX-105」。
単3アルカリ乾電池8本で電動で動くのである。重さは約6.1キロ。クルマでちょっと運んで、空気がきれいなところで天体鑑賞って使い方も簡単にできる。価格は13万円ちょっと。赤道儀式ではないが(赤道儀というのは地球の自転に沿って……というか星の動きに合わせて動かせるもの。星は大きく弧を描いて動くので、縦横の位置調整では動きを追うのが難しい)、電動で星を終えるし、別売りのオートスターというリモコンを使えば自動的に目的の星に合わせてくれるのがいい。
ミードの製品を選んだのは、実はほとんどのデジカメで使える「デジカメアダプター」が用意されているから。多くの天体望遠鏡がデジカメに対応しているのだが、どうしてもレンズ部にアダプターをつける必要があるので、コンパクトデジカメには向いていないのだ。でもミードの「デジカメアダプターII」は三脚穴さえあれば強引に普通のコンパクトデジカメを天体望遠鏡につけちゃえるのである。
接眼部にアダプターを取り付け、L字型の金具に手持ちのデジカメをのせて、ちょうどレンズと接眼部がうまく一致するように位置調整をするだけなのだ。
まあ、普通のコンパクトデジカメはこういう用途を想定して作られていないのでうまく位置合わせをして撮るのは難しいけれども、手持ちのカメラでも挑戦できるというのはうれしい。しかも、ミラーの切り替えで接眼レンズを2つ使い分けられるので片方を肉眼で覗きつつ、もう片方にデジカメをつないで切り替えながら撮ることもできるのだ。
もう1つ、星座早見表や天体観測用の本は用意すること。PC用のフリーウエアもあるので、ノートPCにそれを入れて一緒に使うのもいい。今回は「Stella Theater Lite」を使って星を確認した。
では実際にどんな風に撮れるのか。ソニーの「DSC-W7」を装着して月を撮影してみた。三日月ではあったが、天体望遠鏡を使えば月をここまで大きく撮れる。
問題はピントが合ってるかどうかよく分からないこと。マニュアル露出機能がなければ、目いっぱいマイナスの露出補正をかけてやると、月のクレーターまではっきりと見える。
しかし注意すべき点が3点ほどありそうだ。まずは天体の動きは予想以上に速いということ。特に超望遠で見ているとちょっと気を抜くと視界から消えてしまう。2つめは超望遠なので、ほんのちょっとした振動でブレるということ。3つめはピントがなかなか合わないということ。コンパクトデジカメで、しかもこういう汎用のアダプターで天体を撮るのはなかなか大変である。
ちなみに本格的な天体写真を撮るなら、赤道儀がついた大口径で明るい望遠鏡に専用のアダプターでデジタル一眼レフをつけるべきだろう(キヤノンからは天体撮影向けの「EOS 20Da」が発表されたほどだ)。でも気が向いたときにさっとベランダに持ち出して星を見たり、クルマで出かけるとき持って行ったりするには、このくらいがちょうどいいかもしれない。
(協力:ミックインターナショナル)
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