統合型グラフィックスは時とともに性能が向上しており、ほとんどの日常的な用途には十分だ。しかし、これらは主にデスクトップのコストを削減するために作られたものであり、ノートPCではバッテリー駆動時間を改善し、スペースを節約する取り組みの一環として広く採用されてきた。こうした目的を考えると、統合型グラフィックスはおおむね、比較的高額なデスクトップ・ノートPCに取り付けられる単体のグラフィックスボードよりも性能が劣っている。
従って、Microsoftの最終決定を聞かなくても、少なくとも高度なAero UIを表示するにはハイエンドグラフィックスカードが必要なようだとDirections on Microsoftのアナリスト、マイケル・チェリー氏。
「この要件は、しばしば『DirectXサポート』という言葉で表される。しかし真の問題は、ビデオチップを統合したマザーボードには、LonghornのAvalon(Windows Presentation Foundation)サブシステムを動かせるリソースがあるのかということだ。通常は、最先端のサポートはアドインビデオカードに搭載されているが、アドインカードでアップグレードできるデスクトップコンピュータを、出荷時のビデオ性能を変えられないノートPCにアップグレードしようと考えている組織はますます増えている。そこで問題は、今ノートPCを買った場合に、内蔵されたビデオ性能が十分なのかどうかだ。『このビデオ性能を提供するチップには、Longhornを走らせるリソースがあるだろうか?』ということだ」(同氏)
Windows Vistaをフルに表示することに関心のあるユーザーは、念のため、「外部グラフィックスチップを搭載したシステムを探すべきだ。こうしたチップのほとんどは必要なだけの性能を提供するだろう」とマカロン氏。
難点は、工場出荷時に単体のグラフィックスボードを搭載したPCモデルは一般に値段が高めだということだ。一方で、グラフィックスボードを追加するためのスロットが付いたモデルもある。ただしすべてではない。
PC購入者は「これらの新機能はどれほど重要なのか?」と自身に問いかけるべきだとマカロン氏は言う。「もしも重要であれば、この問題を考慮して、一番安いノートPCを買わないようにする必要がある」
いずれ、このグラフィックスの問題は自然に解決するかもしれない。
単体のグラフィックスチップは常に性能の限界を押し広げているが、統合型グラフィックスはいつかWindows Vistaの高度なユーザーインタフェースに見合ったレベルに達するかもしれない。デスクトップ・ノートPC向け統合型グラフィックスチップセットの最大手Intelは、およそ1年に1回のペースで新しいチップセットを投入し、Windows Vistaが市場に出回るまでには1、2回新しいものが出るはずだ。
結局は、「何かが壊れるということはない」とマカロン氏。Windows Vistaは「利用できる機能の点では、これまでのバージョンよりもずっと先見の明がある」。
PCモデルがそれに追いつくには、しばらくかかるかもしれない。
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