ノートPC初の地デジ受信機能を実現──東芝「dynabook Qosmio G30」2006年春の地デジ対応モデル連続レビュー(3/4 ページ)

» 2006年03月16日 17時00分 公開
[八木慎伍,ITmedia]

デジタルもアナログもまとめて使えるQosmio AV Center

 ノートPC初となるデジタル放送受信機能だが、その操作は東芝オリジナルのQosmio AV Centerによってアナログ放送とともにまとめて1つのソフトで利用できる。コントロール画面はもちろん、番組表を表示する「番組ナビ」や予約状態を表示する「録るナビ」、録画済み番組を表示する「見るナビ」などすべてのカテゴリに「地上A」「地上D」のタブと画面が用意される。リモコンでも簡単にアナログ/デジタルの切り替えができる。

アナログ放送とデジタル放送の視聴・録画をまとめて操作できるQosmio AV Center。画面左下には「地上A」「地上D」の切り替えアイコンが、番組リストの上には「地上A」「地上D」のタブが用意されている

G30/596LSのリモコンユニット。下を見ると「地上A」「地上D」のボタンが見える

 Qosmio AV Centerは東芝のHDD/DVDレコーダー「RDシリーズ」のユーザーインタフェースを取り入れている。家電製品の操作体系に似せているだけあってリモコン操作もマウス操作も共に使いやすい。リモコンで扱う「リモコンモード」にマウスで扱う「マウスモード」、Windowsのデスクトップにある子画面表示でTVが視聴できる「ながら見モード」と、多様な使い方に対応したユーザーインタフェースのバリエーションを用意しているので、その使い勝手はいい。

 しかし、評価機での地上デジタル視聴は必ずしもいい印象ではない。操作に対する反応が極端に悪いのだ。評価機材ということで具体的な値は紹介できないが、それぞれの移行中には画面が真っ黒になってしまうので使っているこちらは壊れたのかと不安にかられる。それぐらい操作が移行するのに時間がかかっている状況だ。

 アナログ放送の視聴ではレスポンスがよかっただけに、デジタル放送におけるこのレスポンスの鈍さは際立ってしまう。東芝でもこの状況は把握していて、現在この反応速度を改善するべくソフトウェアのチューニングを行っていると聞く。出荷開始日が当初の予定から3月18日に延期された理由もこのあたりの事情が影響している。そういうわけで、製品版ではこの評価作業で見られたレスポンスに関する問題は改善されている可能性が高い。

 操作のレスポンスだけではなく、デジタル放送ならではの制限も多い。タイムシフトやさかのぼり録画ができないことや、音声付き1.5倍速早見機能、ライブ視聴中の一時停止など、細かい使い勝手がアナログ放送視聴時にできる操作と異なる。Qosmioユーザーだけでなくユーザー層が厚いRDユーザーのデータも加えた番組予約ランキングなどを提供する「番組おすすめサービス」もアナログ放送番組専用となる。

「番組おすすめサービス」はQosmioユーザーとRDユーザーが予約した番組のランキングからいま人気のある番組をユーザーに教えてくれる。集計されるのはアナログ放送に限られる

 気になるデジタル放送のムーブ対応は出荷時点でサポートされていない。3月半ばに、DVD-RAMへのムーブを可能にするアップデートファイルをWebページからのダウンロードによって提供する予定になっている。

 デジタル放送の画質は文句なくいいのだが、本来のHDD録画の持ち味である使い勝手が制限されてしまう。デジタルで見るか、アナログで見るか。この機能差を理解して使い分けるのが、Qosmioを上手く使うコツになるだろう。

 TV利用環境を見事にまとめたQosmio AV Centerであるが、それ以外は、相変わらずサードパーティ製のソフトをそれぞれ独立して起動させるだけだ。音楽ならBeatJam、DVD再生ならWin DVDを起動することになるが、リモコンではこれらのソフトを終了できない。BeatJamで音楽を再生しているときにリモコンのTVボタンを押すとQosmio G30の画面はTVに切り替わるのだが、音はTVとBeatJamの両方が出てしまう。TV操作は優れているQosmio AV Centerだが、ほかの機能は敢えてQosmio AV Centerから使う必要はない。

 Windowsを起動せずに使うインスタント機能「Qosmio Player」も注意が必要だ。Qosmio PlayerでTVを視聴しているときに、Qosmio AV Centerで設定した予約録画の時間が近づくと、約10分前にQosmio Playerが終了してWindowsが起動し、そして予約録画が実行されるのだが、このときQosmio Playerで録画しているとWindowsに移行しないだけではなく、予約録画時間が近づいていることを警告するメッセージすら表示されない。もちろんそのままQosmio Playerで録画を続けていると予約録画は失敗する。

 Qosmio Playerではデジタル放送の視聴と録画ができないことや、Windowsで動く「転送ユーティリティ」を使わないとQosmio Playerで録画したMPEGファイルがWindows上で扱えないなど、利用方法に制約があることを考えると、Qosmio Playerの利用はデジタル放送に対応するQosmio G30としては積極的に勧めることはできない。

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