今回発表されたPentium XE 965は、基本的には12月に発表されたPentium XE 955と同じ延長線上にある製品だ。ベースとなるコアは65ナノメートルプロセスルールで製造されるPresler(開発コード名)である。デュアルコアでHTテクノロジに対応するので論理コアは4つとして認識されるが、物理的には2つのコアが存在する。そのそれぞれのコアには2MバイトのL2キャッシュが組み込まれるのでCPU全体としては合計4Mバイトとなる。そのほか、仮想化技術のVTに対応やEM64T対応など、実装される機能も従来のPentium XE 955とまったく同じである。
そのため、Pentium XE 965とPentium XE 955の違いはその動作クロックということになる。Pentium XE 955がベースクロックとなる266MHz(FSBのクロックは266MHzの4倍速動作=1066MHz)×13の3.46GHz設定であるのに対して、Pentium XE 965は266MHz×14の3.73GHz設定となっている。両者の違いはそれだけ。Pentium XE 965は単にクロックが上がっただけのバージョンと考えればいい。
ブランド | プロセッサナンバ | クロック周波数 | システムバス | L2キャッシュ | L3キャッシュ | 物理コア数 | 論理コア数 |
Pentium Extreme Edition | 965 | 3.73GHz | 1066MHz | 2MB×2 | - | 2 | 4 |
955 | 3.46GHz | 1066MHz | 2MB×2 | - | 2 | 4 | |
840 | 3.2GHz | 800MHz | 1MB×1 | - | 2 | 4 | |
Pentium 4 Extreme Edition | - | 3.73GHz | 1066MHz | 2MB | - | 1 | 2 |
- | 3.46GHz | 1066MHz | 512KB | 2MB | 1 | 2 | |
- | 3.4GHz | 800MHz | 512KB | 2MB | 1 | 2 | |
- | 3.4GHz | 800MHz | 512KB | 2MB | 1 | 2 | |
- | 3.2GHz | 800MHz | 512KB | 2MB | 1 | 2 |
ブランド | プロセッサナンバ | クロック周波数 | ソケット | プロセスルール | VT | HT | EIST | EM64T | XD |
Pentium Extreme Edition | 965 | 3.73GHz | LGA775 | 65nm | ○ | ○ | - | ○ | ○ |
955 | 3.46GHz | LGA775 | 65nm | ○ | ○ | - | ○ | ○ | |
840 | 3.2GHz | LGA775 | 90nm | - | ○ | - | ○ | ○ | |
Pentium 4 Extreme Edition | - | 3.73GHz | LGA775 | 90nm | - | ○ | - | ○ | ○ |
- | 3.46GHz | LGA775 | 130nm | - | ○ | - | - | - | |
- | 3.4GHz | LGA775 | 130nm | - | ○ | - | - | - | |
- | 3.4GHz | Socket 478 | 130nm | - | ○ | - | - | - | |
- | 3.2GHz | Socket 478 | 130nm | - | ○ | - | - | - |
ただし、CPUコアのステッピングだけは変更されている。従来のPentium XE 955はBステップと呼ばれる初期出荷バージョンを採用していた。このBステップは、Pentium D 920のレビュー記事でも触れたようにC1E(C1ステート時の省電力拡張)とEIST(拡張版Intel SpeedStep テクノロジ)が無効になっていた。Pentium XE 965にはこの問題を改善したCステッピングコアが採用されている。CステッピングコアではC1EやEISTが利用できるようになっている。しかし、Pentium XEはEISTの機能を無効にしているため、実質的にはC1Eが新たに利用できるようになったと考えるべきだろう。
それでは、ベンチマークプログラムを使ってPentium XE 9550の性能に迫ってみよう。今回の評価では、以前掲載したPentium XE 955のレビュー記事と同じベンチマークを利用している。ベンチマークの詳しい環境やそのベンチマークを採用した理由についてそちらの記事も参照していただきたい。
テストは下記のシステム構成でおこなった。比較用CPUとして「Pentium XE 955」「Pentium D 920」「同820」「Pentium 4 670」「同660」「同650」「同640」「同630」「Athlon 64 FX-60」「同FX-57」「Athlon 64 X2 4800+」「同 X2 4400+」「同 X2 3800+」を用意した。
CPU | Athlon 64 FX/Athlon 64 X2 | Pentium D/Pentium 4 | Pentium XE |
チップセット | nForce4 SLI x16 | Intel 945G | Intel 975X |
マザーボード | A8N32-SLI Deluxe | D945GTP | D975XBX |
メモリ | DDR400 | DDR2-667 | DDR2-667 |
メモリモジュール | PC3200(3-3-3) | PC2-5300(5-5-5) | PC2-5300(5-5-5) |
容量 | 1GB | ||
ビデオチップ | NVIDIA GeForce 6600(300MHz) | ||
ビデオメモリ | 256MB(500MHz) | ||
ビデオドライバ | NVIDIA ForceWare 80(v81.89) | ||
標準解像度 | 1024x768ドット、32ビットカラー | ||
ハードディスク | WesterDigital WD360 | ||
フォーマット | NTFS | ||
OS | Windows XP Professional+ServicePack2+DirectX9.0c |
SYSmark2004 SEのOffice Productivityは、Microsoft OfficeやWebブラウザ、Adobe Acrobatなどを利用して、オフィスワーカーが文章を作るまでをシミュレートしたベンチマークテストだ。実在するオフィスアプリケーションを利用しているため、ユーザーの実利用環境に近い結果が出ると言われている。
このテストではPentium XE 965がAthlon 64 FX-60を上回っている。ここ数製品に渡ってインテルのハイエンドCPUがSYSmark2004 SEの両方の結果(Office Productivityも後に出てくるInternet Contents Creationも)でAthlon 64 FXシリーズを下回るということが続いていただけに、Pentium XEが上回ったというのは久々に見る。とはいえ、その差はわずかである。ちょうど、Athlon 64でいうところのワングレード程度の差といえるだろう。
SYSmark2004 SEのInternet Content Creationは、Adobe PhotoshopやPremiereなど実在する作成ソフトウェアを利用してコンテンツを作成し、最終的にWebサイトを作るまでをシミュレートするベンチマークソフトだ。コンテンツデータの編集をする場合の性能の目安になる。
この結果はAthlon 64 FX-60がPentium XE 965を大きく上回った。従来モデルのPentium XE 955はAthlon 64 X2 4800+を下回る結果であるがPentium XE 965はAthlon 64 X2 4800+を上回る値を出している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.