きょうはPentium Extreme Edition 965の性能を試してみた(1/4 ページ)

» 2006年03月23日 19時30分 公開
[笠原一輝,ITmedia]

動作クロックが向上した「だけ」の新しいPentium XE 965

 今回発表されたPentium XE 965は、基本的には12月に発表されたPentium XE 955と同じ延長線上にある製品だ。ベースとなるコアは65ナノメートルプロセスルールで製造されるPresler(開発コード名)である。デュアルコアでHTテクノロジに対応するので論理コアは4つとして認識されるが、物理的には2つのコアが存在する。そのそれぞれのコアには2MバイトのL2キャッシュが組み込まれるのでCPU全体としては合計4Mバイトとなる。そのほか、仮想化技術のVTに対応やEM64T対応など、実装される機能も従来のPentium XE 955とまったく同じである。

 そのため、Pentium XE 965とPentium XE 955の違いはその動作クロックということになる。Pentium XE 955がベースクロックとなる266MHz(FSBのクロックは266MHzの4倍速動作=1066MHz)×13の3.46GHz設定であるのに対して、Pentium XE 965は266MHz×14の3.73GHz設定となっている。両者の違いはそれだけ。Pentium XE 965は単にクロックが上がっただけのバージョンと考えればいい。

ブランドプロセッサナンバクロック周波数システムバスL2キャッシュL3キャッシュ物理コア数論理コア数
Pentium Extreme Edition9653.73GHz1066MHz2MB×2-24
9553.46GHz1066MHz2MB×2-24
8403.2GHz800MHz1MB×1-24
Pentium 4 Extreme Edition-3.73GHz1066MHz2MB-12
-3.46GHz1066MHz512KB2MB12
-3.4GHz800MHz512KB2MB12
-3.4GHz800MHz512KB2MB12
-3.2GHz800MHz512KB2MB12

ブランドプロセッサナンバクロック周波数ソケットプロセスルールVTHTEISTEM64TXD
Pentium Extreme Edition9653.73GHzLGA77565nm-
9553.46GHzLGA77565nm-
8403.2GHzLGA77590nm--
Pentium 4 Extreme Edition-3.73GHzLGA77590nm--
-3.46GHzLGA775130nm----
-3.4GHzLGA775130nm----
-3.4GHzSocket 478130nm----
-3.2GHzSocket 478130nm----

 ただし、CPUコアのステッピングだけは変更されている。従来のPentium XE 955はBステップと呼ばれる初期出荷バージョンを採用していた。このBステップは、Pentium D 920のレビュー記事でも触れたようにC1E(C1ステート時の省電力拡張)とEIST(拡張版Intel SpeedStep テクノロジ)が無効になっていた。Pentium XE 965にはこの問題を改善したCステッピングコアが採用されている。CステッピングコアではC1EやEISTが利用できるようになっている。しかし、Pentium XEはEISTの機能を無効にしているため、実質的にはC1Eが新たに利用できるようになったと考えるべきだろう。

クロックが上昇してAthlon 64 FX-60との差は縮まったか

 それでは、ベンチマークプログラムを使ってPentium XE 9550の性能に迫ってみよう。今回の評価では、以前掲載したPentium XE 955のレビュー記事と同じベンチマークを利用している。ベンチマークの詳しい環境やそのベンチマークを採用した理由についてそちらの記事も参照していただきたい。

 テストは下記のシステム構成でおこなった。比較用CPUとして「Pentium XE 955」「Pentium D 920」「同820」「Pentium 4 670」「同660」「同650」「同640」「同630」「Athlon 64 FX-60」「同FX-57」「Athlon 64 X2 4800+」「同 X2 4400+」「同 X2 3800+」を用意した。

CPUAthlon 64 FX/Athlon 64 X2Pentium D/Pentium 4Pentium XE
チップセットnForce4 SLI x16Intel 945GIntel 975X
マザーボードA8N32-SLI DeluxeD945GTPD975XBX
メモリDDR400DDR2-667DDR2-667
メモリモジュールPC3200(3-3-3)PC2-5300(5-5-5)PC2-5300(5-5-5)
容量1GB
ビデオチップNVIDIA GeForce 6600(300MHz)
ビデオメモリ256MB(500MHz)
ビデオドライバNVIDIA ForceWare 80(v81.89)
標準解像度1024x768ドット、32ビットカラー
ハードディスクWesterDigital WD360
フォーマットNTFS
OSWindows XP Professional+ServicePack2+DirectX9.0c

SYSmark2004 SE/Office Productivity

 SYSmark2004 SEのOffice Productivityは、Microsoft OfficeやWebブラウザ、Adobe Acrobatなどを利用して、オフィスワーカーが文章を作るまでをシミュレートしたベンチマークテストだ。実在するオフィスアプリケーションを利用しているため、ユーザーの実利用環境に近い結果が出ると言われている。

 このテストではPentium XE 965がAthlon 64 FX-60を上回っている。ここ数製品に渡ってインテルのハイエンドCPUがSYSmark2004 SEの両方の結果(Office Productivityも後に出てくるInternet Contents Creationも)でAthlon 64 FXシリーズを下回るということが続いていただけに、Pentium XEが上回ったというのは久々に見る。とはいえ、その差はわずかである。ちょうど、Athlon 64でいうところのワングレード程度の差といえるだろう。

SYSmark2004 SE/Internet Content Creation

 SYSmark2004 SEのInternet Content Creationは、Adobe PhotoshopやPremiereなど実在する作成ソフトウェアを利用してコンテンツを作成し、最終的にWebサイトを作るまでをシミュレートするベンチマークソフトだ。コンテンツデータの編集をする場合の性能の目安になる。

 この結果はAthlon 64 FX-60がPentium XE 965を大きく上回った。従来モデルのPentium XE 955はAthlon 64 X2 4800+を下回る結果であるがPentium XE 965はAthlon 64 X2 4800+を上回る値を出している。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月27日 更新
最新トピックスPR

過去記事カレンダー