EPSON Scanには大きな変革はないが、新機能としてカラーパレット調整機能が追加されている。これはプレビューエリアから任意の色を選択して、CMYRGBの六角パレットで微調整していく機能だ。ネガフィルムや退色復元時の補助調整として用いるとよいだろう。
透過原稿と反射原稿のスキャン速度の実測値も掲載しておく。結果を見れば分かるようにスキャンスピードに不満はない。
35mmフィルム (36×24mm) | |
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ポジ | |
プレスキャン(全体) | 26秒0 |
プレスキャン(thumb) | 54秒7 |
1600dpi | 43秒78 |
3200dpi | 1分15秒2 |
6400dpi | 2分26秒7 |
6400dpi(Digital ICE) | 10分56秒2 |
ネガ | |
プレスキャン(全体) | 17秒1 |
プレスキャン(thumb) | 38秒8 |
1600dpi | 27秒8 |
3200dpi | 49秒4 |
6400dpi | 1分32秒8 |
6400dpi(Digital ICE) | 12分46秒1 |
反射原稿 | |
L判 | |
300dpi | 8秒1 |
600dpi | 12秒8 |
1200dpi | 1分13秒8 |
2400dpi | 2分48秒1 |
A4 | |
300dpi | 14秒2 |
600dpi | 25秒9 |
さて、現存のスキャナは素材を作成するためのスキャナと、最終出力を手軽に作成するためのスキャナに大別されるが、GT-X900は間違いなく前者にあたる製品だ。ただし、本機が手軽な作業に向かないわけではない。GT-Xシリーズの卓越した色再現性は、いまだ他社の追随を許さず、デフォルトの設定でも大方満足の行く結果が得られる。また、スキャンスピードが速く、作業効率が良いという従来からの長所は受け継いでいる。だが、これらは下位モデルでもある程度は享受できる要素である。
本機の最大の魅力は、積年の課題であった透過原稿スキャン時のフォーカス性能向上と、6400dpiもの高解像度を実現したことにある。多少のレタッチではヘコたれない素材が、この価格帯のフラットベッドスキャナで作成できるようになったのは衝撃と言うしかない。やはり、これらの要素を渇望してきたユーザにこそおすすめしたい。
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