2スピンドルで1.2キロの“リアルモバイル”PC──エプソンダイレクト「Endeavor NA101」(3/4 ページ)

» 2006年07月28日 13時04分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

活躍の場が増えたBluetoothも内蔵可能

photo 付属コントロールソフト「BlueSoleil」で周囲のBluetoothデバイスを検索できる。この画面はBluetoothレシーバーと接続中であることを示す。なおEndeavor NA701(レビュー参照)とは異なるソフトウェア(プロトコロルスタック)を使用する

 携帯電話などでも採用例が着実に増加し、対応周辺機器も増えてきたBluetooth機能も、同社のB5ノートPCでは初めて内蔵できるようになった。Bluetooth V2.0+EDRとなる最新規格のチップを搭載し、ダイヤルアップ接続(DUP/DualUp netowork Profile)、ヘッドセット接続(HSP/HeadSet Profile)、ファイル転送(FTP/File Transfer Profile)、画像転送(BIP/Basic Imaging Profile)、名刺交換(OPP/Object Push Profile)などBluetoothで主に使用される主要プロファイルに加え、ワイヤレスステレオ音楽再生(A2DP/Advanced Audio Distribution Profile)や、ウォークイン(対応デバイス同士が通信可能になると自動で接続)で通信が行なえるPAN(Private Area Network)にも対応する。

 今回は筆者手持ちのBluetooth機器となる、auの携帯電話「W44T」によるダイヤルアップ接続や画像交換、ハンズフリー機器のプラントロニクス「Discovery 640」「Explorer 320」、ワイヤレスヘッドフォンのW44T付属Bluetoothレシーバーや、モバイルキャスト「mBand(MPX2000)」が問題なく利用できた。モバイル用途を強く意識する同機は、対応携帯電話経由にて、ケーブル接続なしで高速パケット通信によるダイヤルアップ接続が行えることで、Bluetooth機能はとくに相性がいい。

 ただBluetooth機能で若干気になったのは、付属するコントロールソフト「BlueSoleil」ではAVRCPの設定メニューが見つからず、W44T付属のBluetoothレシーバーにおけるリモートコントロール機能は使用できなかった。A2DP対応のBluetoothチップでAVRCPに対応しないものはめったに見かけないため、評価試作機のソフトウェアバージョンの問題だけであればいいのだが。製品版でも非対応となると少々もったいない。

オプションでワンセグ放送にも対応

 本機はビジネス向けのカラーが強い端末だが、エンタテインメントの高いオプションパーツも用意する。それが、PCカードタイプのワンセグチューナーカードだ。

photophoto オプションで用意するピクセラ製のワンセグチューナーカード(プラス2万1000円)。カードサイズがやや長いため、PCカードスロットからはみ出る。ただしアンテナは起倒式で、取り外して携帯できるようになっている

 同カードの利用により、モバイル時でもクリアなTV放送が楽しめるようになる。なお、今のところデジタル放送関係の周辺機器は、PC側とカード、双方での固体認証が要求されるため、PCメーカーから純正オプションとして(本体購入と同時に)しか導入できない。とはいえ、PCカードタイプのオプションとして選択できるようになった意味は大きい。

 ワンセグチューナーカードはピクセラ製で、PCカードスロットに差すタイプとなる。カードサイズはやや長めでカードスロットからは、ややはみ出る。ただし起倒式のアンテナは取り外しも可能なので、携帯にはさほど困らないだろう。視聴ソフトウェアもピクセラ製を採用し、視聴画面サイズは等倍(320×240ドット)、2倍、フルスクリーンでの選択が可能。等倍表示であれば別途作業をしながらの視聴にも向く。

 東京23区の端になる世田谷区は多摩川にほど近い某ファストフードチェーン店の2階席窓際で視聴を試みたがとくに問題なく、東京地区の全チャンネルを視聴できた。2倍表示にすると解像度の低さがやや目立ってくるが、映像・音声共に乱れもなくクリアに視聴できるのはアナログTVチューナーユニットにはない、大きなメリットだ。ちなみに録画には対応しない点は注意したい。

photophoto ワンセグ放送を2倍サイズで表示する。視聴チャンネルの番組表やデータ放送は別ウインドウに表示される仕組みだ。音量調整やミュート操作なども視聴ソフトで行える(画像=左)。バッテリー動作でTV視聴中のCPU使用率。瞬間的に最大69%と高い値を示したが、平均は50%以下。視聴と並行してブラウザなどを起動するような場合でも十分軽快に動作した(画像=右)

 さて、モバイル時でのワンセグ放送視聴となると気になってくるのが「バッテリーの持ち」だろう。バックライトの輝度を4分の3に設定し、軽量バッテリー満充電時から1時間ワンセグ放送の視聴を行った。

 1時間後のバッテリー残量は60%(バッテリーメーターの表示)。2時間視聴をしても20%は残る計算である。また、大容量バッテリーならば4〜5時間はバッテリー動作で視聴できそうだ。これを十分とするかどうかは使い方にもよると思うが、出先の空き時間などに喫茶店などで視聴するというようなシチュエーションであれば十分といえるのではないだろうか。

 なおBluetoothを搭載するということで、音声をワイヤレスで聴けるのではという期待もあったが、残念ながらこれはできなかった。Windows XPの操作音やWindows Media Playerの楽曲はBluetooth出力できるが、ワンセグ放送の音声はPC内蔵スピーカーもしくはヘッドフォン端子にのみ出力されるようだ。おそらくは著作権保護のため、サウンドチップに強制的に出力する仕様となっているためと考えられる。それはさておき、デジタル放送はとにかく融通が利かないものであると、モバイルノートPCのレビュー時に改めて思い知らされた。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー