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SOHO向けの“全部入り”新型複合機「MFC-8870DW」(2/2 ページ)

» 2006年09月27日 09時00分 公開
[小川夏樹,ITmedia]
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同社自慢の高速プリントエンジンを複合機にまで拡大

 本機はHL-5200シリーズと同等の高速エンジンを搭載しているため24ppmの印刷/コピーが可能となっている。以前も紹介したように、「ファーストプリント10秒」「24ppmの高速出力」の謳い文句は伊達ではなく、非常にストレスのない印刷が可能である。ただし、この高速エンジンが登場してからおよそ半年ほど経過しているため、細かなブラッシュアップを検証すべくベンチマークテストを行ってみた。

プリント速度ベンチマーク
電源オンから印刷可能になるまで 13.7秒
A4/モノクロのファーストプリント 10.2秒
A4/モノクロのファーストコピー 10.3秒
JEITA J1(A4/モノクロ24部印刷 ※1) 61.1秒
JEITA J1(A4/モノクロ24部印刷 ※2) 57.9秒
JEITA J1(A4/モノクロ24部コピー) 61.5秒
使用したマシン構成:CPU:Athlon64 3200+(2GHz)、メモリ:512Mバイト、HDD:Seagate Barracuda 7200.7(ST3160021A、160GB)、OS:Windows XP Professional SP2 ※1はファーストプリントを含めた計測、※2はファーストプリントを含めない計測である

 計測したのは「電源オンから印刷可能になるまで」「A4/モノクロのファーストプリント」「A4/モノクロのファーストコピー」「JEITA J1(A4/モノクロ24部印刷)」「JEITA J1(A4/モノクロ24部コピー)」にかかった時間、これにJEITA J1の25部印刷でファーストプリント時間を含めない計測も行った(1枚目が排出されてから計測を開始し最後の用紙が排出されるまで)。計測はストップウォッチによる手動計測で、Word2003の印刷画面で「OK」をクリックした時点で計測を開始。最後の用紙が排出された段階までを5回計測してその中間値を掲載している。

 結果を見ると電源オンから印刷可能になるまでの時間が単機能モデルのHL-5200シリーズよりも約5秒近くも短縮されている。そしてA4モノクロのファーストプリント/コピーは約10秒、ファーストプリントを含めない24部印刷では1分を切る約58秒と、非常に高速な印刷/コピーが可能であることが分かる。なお、FAXの送受信に関しては33.6KbpsのSuperG3規格まで対応しているが、送信先相手の対応速度や回線状況によって速度が異なるため検証を行わなかった。

高精細出力や最大500ページのメモリ代行受信が可能

HQ1200で出力した文字を本機の1200dpiでスキャンした文字の一部。HL-5200シリーズ同様、初期印刷時にはブラックの発色がやや淡い感じがする。初期状態ではトナー濃度の調整で濃いめに設定し、発色が落ち着いてきたら標準に戻すような使い方をするとよいかもしれない。小さなポイントでも文字潰れは少なく、十分に満足できるクオリティだ

 単機能モデルを譲りの高速出力は理解してもらえたと思うが、プリンタ部分とFAX機能についてもう少し補足しておこう。本機の印刷方式は半導体レーザー+乾式電子写真方式で、出力可能な印刷解像度は300dpi×300dpi、600dpi×600dpi、2400dpi×600dpi(HQ1200)に加え1200dpi×1200dpiのTrue1200dpiとなっている。ただし、HQ1200までの解像度は24ppmの出力が可能だがTrue1200dpi設定の出力時には印刷速度が約半分程度に低下してしまう点はHL-5200シリーズと同様であることに注意してもらいたい。

 標準で搭載するメモリーは32Mバイトで増設にはノートPC向け144ピンのSO-DIMM(PC133 SDRAM)を利用する。内蔵の32Mバイトと合わせて最大544Mバイトまで増設可能だ。内蔵メモリはFAXの代行受信用としても割り当てることができ、容量次第で最大500ページまでのメモリ代行受信が可能となっている。FAX機能で登録可能なワンタッチダイヤルは20×2の40件まで、短縮ダイヤルは300件まで登録できるためSOHOユースや企業の部署利用などでも十分に対応可能だろう。

ビジネス用途に必要十分なスキャン&コピー機能

 本機にはNECのMIPS CPU「VR5500」(266MHz)が搭載されており、PC側のプリンタドライバの処理に頼らずに各種処理を本体側で行えるようになっている。このCPUの搭載は複合機化にも役立っている。

 例えばスキャンしたデータをPDFにしてPCに送ったり、スキャンしたデータをプリンタ本体だけで指定したアドレスに電子メールで送信するといったことが可能だ。こうした処理はマイクロチップとファームウェアでも可能だが、本機はOS(ファームウェア)を入れ換えるだけで、さまざまな処理に対応させることができる。いわば内部に専用のPCを搭載しているのと同じなわけで、そうした自由度の高い面が大きなメリットとなる。

 本機のスキャナ機能は撮像素子にCCDを採用しており光学解像度は600dpi×2400dpi、ソフトウェア補間によって19200dpi×19200dpiのスキャンが可能だ。入力は48ビットで出力はRGB各色8ビットの24ビット出力となる。ネガ/ポジフィルムのスキャンに非対応など、最新のフラットベッドスキャナには及ばないものの、ビジネス用途では必要十分な性能と言える。

 このスキャナ部分には自動両面読み取りが可能なADFが搭載され、プリンタ標準搭載の両面印刷ユニットとあわせて、両面印刷された原稿を手軽にコピーできるようになっている。また最大99枚までのソート機能や、25〜400%の任意倍率指定によるコピー、「A4→B5」などの拡大/縮小、複数の原稿を1ページでコピーする「2in1」や「4in1」もサポートしており、ビジネスで利用するモノクロコピー機として十分な機能を持っている。

両面読み取りに対応したADFを搭載。ビジネスユースに重宝する

 MFC-8870DWは、印刷/コピーとFAX機能、有線/無線LAN、両面対応ADFの標準搭載まで、豊富な機能と高速印刷性能を両立した製品である。確かにSOHOユースではオーバースペックとも思える機能も搭載しているが、そうした機能をユーザーが積極的に使いこなせるかどうかで、本機の価値は大きく変わってくる。ビジネスユース向けの“全部入り”複合機が欲しいというのであれば選択候補に入れておいて損はない。

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