日本ヒューレット・パッカードの個人向けノートPC「HP Pavilion Notebook PC」シリーズは、一貫してボディデザインに「ZEN-design」を採用している。これまでに禅寺の石庭で見られる砂紋をイメージした「Zen-design 砂紋(samon)」、池に生じる水面の波紋をイメージした「ZEN-design 雫(shizuku)」をラインアップしていたが、今回紹介する「HP Pavilion Notebook PC dv6500/CT Special Edition」は、ZEN-design 第3弾となる「ZEN-design 雪景(sekkei)」を採用した1000台限定の特別モデルだ。
ZEN-design 雪景は、同社いわく「混沌から静寂へ」というコンセプトに基づき、「降りしきる雪が不規則に風に舞い、深く降り積もる様子」をイメージしたもので、HP Pavilion Notebook PCシリーズにおいて唯一のホワイトボディとなる。グレーとホワイトの楕円形の幾何学模様をランダムに配置した、まさに雪が降り積もるかのようなグラデーション模様が天板に描かれており、和風ともイームズやジョージ・ネルソンに代表されるミッドセンチュリー風とも取れる不思議な模様だ。
この模様は、ボディ外装の樹脂成形と模様の転写を同時に行う「HP Imprint」技術によって実現されており、最終工程で表面に塗装を行う従来の方式よりも色落ちや色はげ、キズなどに強いという特徴がある。携帯電話や化粧品の外装材、自動車の内装材など、高いデザイン性が求められる分野で使われる装飾技術を応用したものでだ。ベースとなる「HP Pavilion Notebook PC dv6500/CT」と同一の丸みを帯びた流線型のボディや真っ白なカラー、つややかなコーティングとあいまって、まさに女性用化粧品のコンパクトのような雰囲気を醸し出している。閉じた状態ではメカっぽさをまったく感じさせないので、インテリアとの調和を考えたPC選びの際には真っ先に候補として名前が挙がることだろう。
ラッチレスの液晶ディスプレイを開けると、液晶の外枠はホワイト、キーボードとパームレスト、タッチパッドなどはメタリックシルバーでまとめられており、一気にシャープな印象となる。パームレスト部分にも“ZEN-design sekkei”が採用されているが、こちらはグラデーションではなく幾何学パターンが取り入れられている。なお、底面部分はほかのHP Pavilion Notebook PCシリーズと同じツヤ消しブラックだ。
前回取り上げた「HP Pavilion Notebook PC dv2405/CT」と同様、DC入力や各種インジケーターランプ、キーボード上部のマルチメディア操作ボタンには、高輝度かつ省電力の青色LEDランプが配置され、さらにシャープさを引き立てる。男性的なブラックボディのdv6500/CTとは見ためがかなり異なるので、ホワイトボディを好むならばぜひ店頭(現状、東京都内のビックカメラ3店舗に限られるが)で実物を見てほしい。
一方、基本的な仕様やBTOオプションについては、HP Pavilion Notebook PC dv6500/CTとほぼ同一だ。357(幅)×257(奥行き)×41(高さ)ミリというボディサイズと、約2.86キロの重量も変わりない。
開発コード名“Santa Rosa”ことCentrino Duoモバイル・テクノロジーが採用され、チップセットはIntel GM965 Express、CPUはCore 2 Duo T7300(2.0GHz/L2キャッシュ4Mバイト)とCore 2 Duo T7100(1.8GHz/L2キャッシュ2Mバイト)からの選択となる。グラフィックス機能は、Intel GM965 Express内蔵のGMA X3100のほか、DirectX 10対応のNVIDIA GeForce 8400M GSが選択可能だ。後者を選ぶとチップセットがIntel PM965 Expressになるとともに、本体左側面に上位機の「HP Pavilion Notebook PC dv9500/CT」と同じHDMI端子(バージョン1.2a準拠)が追加される。
HDMIケーブル1本で、より大きな画面の液晶ディスプレイや液晶TVに映像と音声を伝送できるのは非常に便利だが、以前指摘した時と同様、HDMI経由で液晶TVなどの外部スピーカーからPCの音声を出力させるには、「コントロール パネル」の「サウンド」から「スピーカー」のデバイス使用状況を手動で「無効」に変更する必要がある。ユーティリティやワンタッチボタン/ファンクションキーとの組み合わせで映像出力とともに簡単に切り替えられると利便性はさらに高まるはずだ。
なお、本機のBTOメニューで選択できるのは、前述のCPUとグラフィックス機能のほか、PC2-5300対応のメインメモリ(1024Mバイトか2048Mバイト)、5400rpmのSerial ATA HDD(容量160G/120G/80Gバイト)、Office Personal Edition 2007の有無とシンプルだ。一方、1280×800ドット表示に対応した15.4インチワイド液晶ディスプレイ、OSのWindows Vista Home Premium、無線LANとBluetoothはIntel PRO/Wireless 3945ABGおよびBluetooth 2.0+EDR、光学ドライブはDVD+R DL対応のDVDスーパーマルチドライブに固定となっている。
現状ではSanta Rosaからの新機能である「Intel Turbo Memory」には対応せず、ドラフト11nをサポートした「Intel Pro/Wireless 4950AGN」はBTOオプションに用意されていない。
また、dv6500/CTで選択可能だった液晶ディスプレイ上部に内蔵される30万画素のWebカメラと、右パームレストに配置される指紋認証ユニットのうち、本機では前者が標準装備となり、指紋認証ユニットは搭載できなくなった。
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