Blitz Formulaには、グラフィックスカードを2枚差ししにしたCrossFire構成におけるパフォーマンスをアップさせる専用チップ「CrossLinx」が導入されている。先日掲載したレビュー記事のベンチマークにおいても、CrossLinxを実装していないIntel P35 Expressマザーボードより10〜15%のパフォーマンスアップが確認された。
これは、通常のIntel P35 Expressチップセットでは、CrossFire動作時に、PCI Express x16+PCI Express x4で動作するところを、CrossLinxではPCI Express x8+PCI Express x8で動作させることで、PCI Express x4のボトルネックが解消されるためである。
Intel X38 Expressチップセットでは、CrossFire構成において2本のPCI ExpressスロットはPCI Express x16+PCI Express x16として動作する。Core 2 Duo E6700とDDR3-1066MHzの組み合わせで行ったベンチマークにおいて、P5E3 DeluxeのCrossFireによる結果は、Blitz FormulaのCrossLinxのそれを3%ほど上回った。
Intel X38 Expressチップセットから導入される注目の機能として、「Intel Extreme Tuning」と「Intel Extreme Memory」が挙げられる。
Intel Extreme Tuningは、“インテル純正”のオーバークロック機能で、「Extreme Tuning Utility」というユーティリティを使って、Windows上からオーバークロックを設定できる。
Intel Extreme Memoryは、NVIDIAとCORSAIRが提唱した「EPP」のIntel版と言えるもので、SPD情報にオーバークロックにおけるメモリタイミングの情報を格納し、手軽に、かつ安全にオーバークロック設定が試せるようにした技術だ。P5E3 DeluxeのBIOS設定では、「Ai Tweaker」において「Ai Overclocking Tuner=X.M.P」と設定することで、eXtreme Memory Profileが有効になるようだ。
今回評価に用いたP5E3 Deluxeは、初期のエンジニアリングサンプルだったためExtreme Tuning Utilityが付属しておらず、残念ながらIntel Extreme Tuningのテストは行えなかった。また、評価のために用意したDDR3メモリはCORSAIRの「TWIN3X2048-1800C7DF G」だったのだが、BIOSの設定をいろいろ変更してもeXtreme Memory ProfileをEnableに設定することができなかった。
CORSAIRの製品では、Intel Extreme Memoryへの対応をうたった「TWIN3X2048-1800C7DFIN G」が用意されている。やはり、メモリ側がIntel Extreme Memoryに対応していないと、この新機能は利用できないようである。
Intel X38 ExpressチップセットとDDR3メモリを組み合わせた場合、メモリクロックを1333MHzに設定できることでパフォーマンスの向上が見られるようになったが、メモリ個別のベンチマークはともかく、総合的なテストではDDR2-1066MHzを搭載するIntel P35 Expressマザーとの差はわずかに過ぎない。
DDR3に関しては、より高クロックのモジュールが登場したときにその真価が発揮されることになるのだろう。今回の評価作業で、P5E3 DeluexのFSBにおけるオーバークロック耐性は調べていないが、多彩なアクセラレーション機能を有するPE3 Deluxeは、高クロック動作のDDR3が登場したときでもそのパフォーマンスを享受できる可能性が高いと思われる。
CrossFire構成における3D関連のベンチマークにおいては、PCI Express x16×2本という仕様を生かして、これまでのIntelマザーにおけるCrossFireのパフォーマンスを超えることができた。
NVIDIAやAMD(ATI Technologies)のチップセットで「PCI Express x16×2」の仕様をうらやましいと思った“Intelチップセット命”のゲームユーザーにとって、Intel X38 Expressを搭載したP5E3 Deluexは「待った甲斐があった」と思わせる製品となるだろう。
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