液晶パネルの基本スペックは、輝度が300カンデラ/平方メートル、視野角が上下/左右とも160度、応答速度は中間階調で2msだ。コントラスト比に関しては、表示する映像の内容に応じてコントラストを動的に変化させるダイナミックコントラスト機能により、最大で2000:1を実現している。ダイナミックコントラスト機能はOSDメニューでオフにできるが、オフにした場合のコントラスト比は明らかにされていない。画面の輝度はある程度下げられるが、長時間の文章作成や薄暗い場所での作業を考えると、もう一段階下がってほしかった。
1680×1050ドット表示の22インチワイド液晶パネルは、ドットピッチが0.282ミリと大きめだ。具体的には、17インチSXGAパネルのドットピッチ(0.263ミリ)より大きく、19インチSXGAパネルのドットピッチ(0.294ミリ)より少しだけ小さい。そのため、19インチスクエア液晶ディスプレイからの乗り換えや、デュアルディスプレイ環境の構築に向いている。OSの文字サイズを変更しなくても、小さな文字が読みやすいサイズで表示されるのは、年長者などにとってありがたいだろう。
ただし、初期設定ではDVI接続でもシャープネスが強すぎて、小さな文字のエッジがザワザワと落ち着かない印象だ。シャープネスは5段階に調整できるが、シャープネスを弱めると文字がぼやけてしまうため悩ましいところ。それでも、シャープネスを若干弱めて使うほうが全体に自然な表示になることは覚えておきたい。
画質面での特徴は、NTSC比92%の広色域をサポートしている点と、光沢パネルを採用している点だ。この2つが組み合わさり、特に緑から青にかけての色調は実に鮮やかに表示できる。動画再生や静止画スライドショーなどで威力を発揮してくれるに違いない。応答速度も良好で、PC用の液晶ディスプレイにしては動画ボケが目立たないほうだ。階調表現については、黒に近い暗部の階調がつぶれがちになるものの、全体のバランスは悪くなかった。
一方、光沢パネルにはしっかりした低反射処理が施されていないため、置き場所によっては照明や周囲の風景が映り込みやすい。また、液晶パネルはTN方式なので、視野角は狭いほうだ。動画の再生中に視野角の狭さが目立つことは少ないが、彩度が高い同一の色を広い面積に表示する場合などでは、広色域による豊かな発色がかえって視野角の狭さを強調させる要因になっていると感じた。これはSP2208WFPのみならず、広色域のTNパネル搭載ディスプレイにありがちな表示傾向だ。利用時は、液晶パネルのチルト調整を正確に行う必要がある。
各種設定は本体前面の操作ボタンで行う。入力の切り替えやアナログ接続時の画面自動調整がワンタッチで行えるほか、輝度とコントラストのショートカットメニューも設けられている。使用中の映像入力系統を青色LEDで知らせてくれるのは親切だ。ボタンはクリック感はよいが、ボタンを押すとフレームが少したわむのは惜しい。
画面の調整項目は、明るさ、コントラスト、ズーム、シャープネス、カラー設定などを装備している。カラー設定は、PC接続用の「グラフィックス」とAV機器接続用の「ビデオ」から選択可能。PC接続時のカラー設定では、プリセットの画質モードである「標準」「マルチメディア」「ゲーム」に加えて、色温度を「赤」「青」「ユーザー」(RGBの個別調整)から選べる。AV機器接続時のカラー設定は、「シアター」「スポーツ」「自然」となり、色温度の代わりに色相と彩度を調整できる仕組みだ。
画質モードを変更すると、ガンマカーブやシャープネスが強調されて個性の強い表示傾向になるので、基本的には「標準」モードを常用し、映像コンテンツごとに別のモードを試してみるのがよい。調整項目はそれなりにそろっているが、パワーユーザーから見ると、色温度をケルビン値で指定できない点や、色域を狭めてsRGBにセットする画質モードがない点、入力系統ごとにOSDの設定が記録されない点は物足りなく感じるだろう。
1680×1050ドット未満の解像度を入力した際のスケーリング機能は充実しており、16:9/4:3の映像を問わず、アスペクト比を無視した全画面拡大表示、アスペクト比を維持した状態での全画面拡大表示、ドットバイドット表示から選択できる。さらにユニークなのがズーム機能で、11段階(等倍表示を含む)で表示の拡大が可能だ。たとえば、ズーム機能を使うことで、ドットバイドット表示の設定から黒帯部分を減らして少し大きく表示したり、全画面拡大表示の設定からTVのオーバースキャンのように周辺部分を少し切るなどの微調整が行える。
もちろん、HDMI接続時もスケーリング機能は利用できる。試しにプレイステーション 3とHDMIで接続したところ、1080i/pの信号は問題なく縮小表示が行えた。1080i/pの入力時は、アスペクト比を無視した全画面拡大表示と、アスペクト比を維持した状態での全画面拡大表示が選択可能だ。720pの入力時には、さらにドットバイドット表示も選べる。こちらもズーム機能と組み合わせることができ、表示の融通がきく。
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