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大画面にはミニPCがよく似合う――進化した「Endeavor ST110」を試す2007年PC秋冬モデル連続レビュー(2/2 ページ)

» 2007年12月13日 15時30分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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全般にわたって改良されたパフォーマンス

 それでは、気になるパフォーマンスはどうだろうか。評価機はCPUがCore 2 Duo T7250(2.0GHz)、メモリ1Gバイト(512Mバイト×2)、120GバイトHDD、DVDスーパーマルチドライブを搭載した構成だ。幸い旧モデルのST100でもWindows Vistaプリインストールモデルのレビューを行っているので、この時のベンチマーク結果と比較してみた。なお、レビュー時のST100はメモリは同じく1Gバイト(512Mバイト×2)だが、CPUはCore 2 Duo T5500(1.66GHz)なので、この点を注意して結果を参照していただきたい。

 まず、Windows エクスペリエンス インデックスは、最も低いサブスコアがグラフィックスの2項目の3.5となり、Windows Aeroが快適に動作する指標の3.0を余裕を持ってクリアした。ST100ではWindows Aeroのデスクトップパフォーマンスが2.2と気になるスコアだったが、一気に底上げされた形になる。また、ほかのサブスコアを見ても、CPUはクロック比をそのまま反映しているが、メモリは2.9から4.5へ一気に向上し、HDDも着実な向上を見せている。グラフィックスとメモリは明らかにチップセットの変更によるスコアの向上ということになる。

左が今回のST110、右がST100のWindows エクスペリエンス インデックス。CPUの動作クロックが異なる点を考慮しても、本機のほうがオンボードグラフィックス、メモリのパフォーマンスが確実に向上している

 PCMark05の結果は、総合処理能力を示すPCMarkで4193を記録。ST100は2936だったので約30%の性能向上が見られる。これに対してCPUクロックの向上幅は約20%なので、CPUクロックの違い以上に総合処理能力が向上していることになる。サブスコアを確認するとグラフィックスが約98%、メモリが約36%、HDDが約40%スコアが上がっている。HDDに関しては、世代の新しい製品が使用されている点が大きいとは思うが、ほかはチップセットの変更が影響を与えている見て間違いない。

 一方、3Dmark06のスコアは429と、やはりチップセット統合グラフィックスの宿命として、最新の3Dゲーム向けでないことを再確認させられた。ただし、ST100に比べれば3倍近い向上となっており、CPUの動作クロックの違いを考慮しても大幅にパフォーマンスが改善されていることが分かる。その半面、CPU依存度が高いとされるFFベンチ(Vana'diel Bench 3)では高解像度のHighでCPUクロック比と同程度、低解像度のLowではクロック比以下のスコア向上にとどまった。FFベンチの結果は気になるものの、PCMark05、3Dmark06のスコアを見る限り、チップセットの変更で総合的にパフォーマンスが向上していることははっきりと分かる結果になった。

PCMark05(画面=左)。3DMark06(画面=中央)。FFベンチ(画面=右)

 またCPUに高い負荷がかかるベンチマークテスト実行時に静音性もチェックしてみたが、ノートPC向けのコンポーネントを利用していることもあって、CPUファンのノイズはマルチスレッドで実行される一部のテスト項目実行時にわずかにもれ聞こえてくる程度であった。ST100で実現していた静音性は健在だ。

パフォーマンスの向上で魅力を増したミニPC

 本機は旧モデルのST100からデザインこそまったく変更がないものの、プラットフォームの刷新でパフォーマンスが底上げされた中身の濃いモデルチェンジになった。またデュアルディスプレイに対応した点は、おそらく最も要望の多かった部分であり、この点だけでも本機を“買い”と判断する人がいるのではないだろうか。最小構成価格もWindows XP/Vistaともに6万5100円からと手頃だ。

 もちろん、さらに小型化をめざすという方向性もあったとは思う。しかし、十分なシャーシ剛性、高いメンテナンス性、内部のエアフローをしっかりと確保することで実現した静音性などをすべて満たすには、本機のサイズが限界なのかもしれない。内部構造を見れば(横置き時の)高さ方向をさらに圧縮することはできそうだが、あまり薄くしてしまうと縦置き時にスタンドが必要となり、実質のフットスペースは変わらないといったことになるだろう。現在のケースサイズは、mini-ITXマザーと言う汎用パーツを採用する限りにおいて、ベターな選択と言えそうだ。

 本機は設置スペースが重要となるオフィスへの大量導入はもちろん、新たに装備したDVI-D出力によって大型TVなどとの接続性も向上し、そのサイズや静音性を生かしたリビングPCとしての魅力も増した。定評のある同社のサポート面も含め、安心して買えるミニPCと言える。

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