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4万円台で買える「Inspiron Mini 9」のUbuntuモデルを試す元麻布春男のWatchTower(1/2 ページ)

» 2008年11月05日 11時11分 公開
[元麻布春男,ITmedia]

UbuntuモデルのNetbookを用意するデル

8.9型ワイド液晶ディスプレイを搭載した「Inspiron Mini 9」

 先進国、新興国を問わず世界的なヒットとなっているNetbook。日本でも東芝NECと国内メジャーベンダーが参入し、大きな動きになろうとしている。しかし、世界と日本で大きく異なるのが、採用するOSだ。わが国で販売されるNetbookが圧倒的にWindows XP Home Editionをプリインストールしているのに対し、海外ではLinuxをプリインストールしたNetbookも珍しくない。米国の大手スーパーマーケット(非食品)大手の1つであるTargetで店頭販売されるNetbookにさえ、Linux版があるほどだ。普通にLinuxをインストールしたNetbookが、一般の人を対象に売られている。

 そのような中、わが国でLinuxをプリインストールしたNetbookを販売しているのがデルだ。発売時のプレスリリースでは、Ubuntu Linuxをプリインストールしたベーシックパッケージの価格は4万9980円。だが、発売されているWindows XPをプリインストールしたプレミアムパッケージの価格が発表時の5万7980円から5万4980円に引き下げられていることを考えれば、もう少し安くなるのではないかと期待する。今回、このUbuntu LinuxをプリインストールしたInspiron Mini 9の試作機を試す機会があったので、その印象を紹介しよう。なお、もう1つのInspiron Miniシリーズである「Inspiron Mini 12」は、現時点でUbuntuモデルは用意されていない。

2種類のカラーバリエーションが用意されているのはWindows XPモデルと同じだ。左からピュア・ホワイト、オブシディアン・ブラックで、どちらも光沢塗装が施されている


ややゆとりがある英語キーボードでも配列は不規則

 ここで試用したシステムは、1Gバイトのメモリと8GバイトのSSDに、Webカメラ(130万画素)とBluetooth(V2.1+EDR)の2つのオプションを追加したプラチナパッケージに近い構成だ。インストールされていたのはUbuntu Linux 8.04で、デルによるカスタマイズが加えられたバージョン、ということになっている。デルの構成表にあるベーシックパッケージは、メモリとSSDの容量が半分(4Gバイト)になるほか、評価機に含まれる2つのオプションが含まれない。ただし、Web直販モデルのBTOメニューは豊富で、このあたりの仕様は自由に変更が可能だ。

Inspiron Mini 9は容量別に3種類のSSD(16Gバイト/8Gバイト/4Gバイト)が用意されている。4GバイトのSSDはUbuntuモデルでのみ選択が可能だ(写真=左)。こちらは16GバイトのSSDモジュール(写真=中央と右)

8.9型ワイドの光沢液晶ディスプレイを採用する

 このInspiron Mini 9では、BTOオプションとして日本語キーボード(標準)の代わりに英語キーボード(無料オプション)を選択することもできる(店頭モデルは日本語キーボードのみ)。今回はこの英語キーボードを選んでみた。キーピッチが15.6ミリの日本語キーボードに対して、英語キーボードのキーピッチは17ミリで、若干だがゆとりがある。

 実際に触ってみた感触だが、英語キーボードになったからといって、タイピングのしやすさが格段に向上する、というわけではなかった。キーピッチが広がった恩恵は確かにあるのだが、日本語キーボードと同様にキーが均等ピッチでない点(一部のキーが小さくなっていること)に変わりはないからだ。さらに一部のキーは場所が変更されており、通常のキーボードでは「0」の隣にある「-」が「P」の隣に配置され、「-」の位置にDeleteキーがあるのは相当に慣れを要する。音引きの多いカタカナ語の入力には相当気を使う。

 また「A」キーの左にあるCapsLockキーも、英語キーボードだと小さくなっており、CtrlキーとCapsLockキーを入れ替える習慣のあるユーザーは要注意だ。ちなみに、こうしたキーの入れ替えそのものは、OS側に豊富なオプションが用意されており、キーボードの設定にあるレイアウトのオプションでカスタマイズすることができる。同様に付属の日本語入力システムであるAnthyも、豊富なカスタマイズオプションを持っており、Windows上でほかのIMEを使っていたユーザーも、カスタマイズすることにより、慣れたキーアサインに設定することができるだろう。

英語キーボードは直販モデルで選択が可能で(写真=左)で、店頭モデルは日本語キーボードのみとなる(写真=中央)。前者は61キー、後者は68キーあり、どちらもDeleteキーがBackSpaceキーの左側にあるなど不規則な配列が気になる。キーピッチはアルファベットキーでこそ 15.6〜17ミリ前後あるが、そのほかはまちまちで最小12ミリのキーピッチもある。ちなみに、英語キーボードのスペースバーは80ミリ、日本語キーボードのものは52ミリで、パームレストの奥行きは50ミリだ。キーボードや入力メソッドを含め、カスタマイズの自由度は高い(写真=右)

一通りのアプリケーションが標準でそろっているUbuntuモデル

起動直後の画面。Ubuntu Linuxでおなじみの鶴(?)の壁紙ではなく、ブドウ農園の風景が広がる。

 さて、システムが起動した直後は、画面の情報にアプリケーションを起動する太いバーが表示された状態になる。このバーを使ったシェルが、デルによるカスタマイズが目に見えている部分だと思われる(ほかに無線LANなどプロプライエタリドライバが追加されていることが確認できた)。アプリケーションの呼び出しは、通常のメニューバーから行うことも可能だが、画面が8.9型ワイドと小さい本機では、アイコンを大きく表示できるシェルを追加した方がよい、と配慮したのかもしれない。

 インストールされているアプリケーションは、オープンソースのOffice SuiteであるOpenOffice.org 2.4をはじめ、Ubuntuのパッケージでおなじみのものばかりだ。ゲーム(多数)やメディアプレーヤーも含まれている。これらを含めてLinuxのイメージは約2.5Gバイトで、4GバイトのSSDに十分収まる見込みだ。

 インターネット接続を前提に、Webアプリケーションを利用する端末というインテルによるNetbookの定義に従うなら、Ubuntu LinuxをプリインストールしたInspiron Mini 9は十分その定義を満たしている。Webページのブラウズやメールの読み書きに不足はないし、付属のRhytmboxで音楽CDや音楽ファイルの再生も可能だ。DVD-Videoの再生は、デフォルト状態ではサポートされていないが、追加のソフトウェアをインストールすることで可能になる。ただし、これを含めてソフトウェアの追加インストールを行うことは、デルのサポート対象外となる点に注意が必要だ。

デスクトップにランチャ機能を備えたバーが用意されている(写真=左)。写真は試作機のため英語版のままだが、実際の製品では日本語化されている。製品コーデックがない場合は自動的に探し出してくれるが、プロプライエタリなソフトウェアについては警告が表示される(写真=中央)。DVD-Videoの再生はサポートされない(写真=右)

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